「コモンマーモセット」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
57行目: 57行目:
 近年、脳科学や再生医療を中心にバイオメディカル研究でのマーモセットの使用が急増している<ref>'''伊藤豊志雄・森脇和郎'''<br>コモンマーモセットの歴史と展望-Biomedical Super Modelの期待<br>''実験医学''28(18):3029-3032(2010)</ref> <ref>'''谷岡功邦 編'''<br>マーモセットの飼育繁殖・実験手技・解剖組織<br>''アドスリー''(1996)</ref> <ref>'''谷岡功邦,野村達次 編'''<br>コモンマーモセットの特性と実験利用<br>''ソフトサイエンス社''(1989)</ref>。2009年には世界初となる霊長類での[[遺伝子改変動物]]の作製と継代(導入遺伝子の生殖系への伝達)が報告され、[[脳神経]]疾患モデルや脳機能解析などに遺伝子改変マーモセットが応用され始めている。
 近年、脳科学や再生医療を中心にバイオメディカル研究でのマーモセットの使用が急増している<ref>'''伊藤豊志雄・森脇和郎'''<br>コモンマーモセットの歴史と展望-Biomedical Super Modelの期待<br>''実験医学''28(18):3029-3032(2010)</ref> <ref>'''谷岡功邦 編'''<br>マーモセットの飼育繁殖・実験手技・解剖組織<br>''アドスリー''(1996)</ref> <ref>'''谷岡功邦,野村達次 編'''<br>コモンマーモセットの特性と実験利用<br>''ソフトサイエンス社''(1989)</ref>。2009年には世界初となる霊長類での[[遺伝子改変動物]]の作製と継代(導入遺伝子の生殖系への伝達)が報告され、[[脳神経]]疾患モデルや脳機能解析などに遺伝子改変マーモセットが応用され始めている。


 ヒトに近縁な真猿類であるマーモセットは実験結果のヒトへの外挿性が高い。代謝経路、生理学的、解剖学的特徴がヒトと類似しているため、古くから神経学、繁殖学、感染症の研究、行動学などに多く使われてきた。マーモセットは1970年前後に欧米で使用され始め、ヒトおよび[[チンパンジー]]以外では報告されなかった[[wj:A型肝炎|A型肝炎]]に対する感受性や[[wj:げっ歯類|げっ歯類]]や[[wj:ウサギ|ウサギ]]ではみられなかった[[wj:サリドマイド剤|サリドマイド剤]]による催奇形性が注目された。
 ヒトに近縁な真猿類であるマーモセットは実験結果のヒトへの外挿性が高い。代謝経路、生理学的、解剖学的特徴がヒトと類似しているため、古くから神経学、繁殖学、感染症の研究、行動学などに多く使われてきた。マーモセットは1970年前後に欧米で使用され始め、ヒトおよび[[チンパンジー]]以外では報告されなかった[[wj:A型肝炎|A型肝炎]]に対する感受性や[[wj:げっ歯類|げっ歯類]]や[[ウサギ]]ではみられなかった[[wj:サリドマイド剤|サリドマイド剤]]による催奇形性が注目された。


 特に、脳神経科学は、現在マーモセットの利用が最も多い分野である。マーモセットの脳は[[大脳皮質]]の拡大で生じた霊長類に特異的な機能を持つ。よって[[認知]]機能、社会的行動などの脳高次機能に関してヒトと類似しており、認知科学などの脳高次機能の研究や、ヒト神経疾患研究のための[[動物モデル]]として適している。ヒトの疾患モデルとしては、特に[[パーキンソン病]]、[[脊髄損傷]]、[[多発性硬化症]]などの神経変性疾患などのモデルとして用いられている。また、前述のとおり、霊長類では唯一次世代への導入遺伝子の伝達が認められた[[トランスジェニック動物]]が作製され<ref><pubmed>19478777</pubmed></ref>、遺伝子改変技術を用いたモデル開発が行われている。
 特に、脳神経科学は、現在マーモセットの利用が最も多い分野である。マーモセットの脳は[[大脳皮質]]の拡大で生じた霊長類に特異的な機能を持つ。よって[[認知]]機能、社会的行動などの脳高次機能に関してヒトと類似しており、認知科学などの脳高次機能の研究や、ヒト神経疾患研究のための[[動物モデル]]として適している。ヒトの疾患モデルとしては、特に[[パーキンソン病]]、[[脊髄損傷]]、[[多発性硬化症]]などの神経変性疾患などのモデルとして用いられている。また、前述のとおり、霊長類では唯一次世代への導入遺伝子の伝達が認められた[[トランスジェニック動物]]が作製され<ref><pubmed>19478777</pubmed></ref>、遺伝子改変技術を用いたモデル開発が行われている。

案内メニュー