「恐怖条件づけ」の版間の差分

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== ヒトにおける恐怖条件づけ ==
== ヒトにおける恐怖条件づけ ==
 ヒトにおける最初の恐怖条件づけの実験は、心理学者[[wj:ジョン・ワトソン (心理学)|ジョン・ワトソン]]が1920年に行ったリトルアルバートの実験である<ref name=ref7>'''Watson, J.B. and Rayner, R.'''<br>Conditioned emotional reactions.<br>''Journal of Experimental Psychology'': 1920, 3, 1–14.</ref>。この実験では、生後11ヶ月の乳児(アルバート)に対して、白ネズミを条件刺激、一方、乳児を恐がらせるに十分な、ハンマーで鋼鉄の棒を叩くことによる大音量の音を非条件刺激とする恐怖条件づけに成功した<ref name=ref7 />。まず、アルバートが白ネズミを怖がっていない(アルバートにとって白ネズミが恐怖を感じさせる非条件刺激ではない)ことを確認した。この条件下で、アルバートがネズミを触ろうとする時に、背後においてハンマーで鋼鉄の棒を叩いて大きな音をたてた。このような、白ネズミ(条件刺激)と大きな音(非条件刺激)との提示を何度か行った結果、アルバートは白ネズミと音の提示に反応して泣き出すようになった(恐怖反応を示した)。さらに、ついには、アルバートは白ネズミ(条件刺激)を見せられるだけで、泣き出すようになった。興味深いことに、白ネズミによる恐怖条件づけ成立後には、アルバートはウサギ、犬、毛皮のコートなど、白ネズミを連想させるものを見せられても、泣き出した。このような実験結果は、恐怖条件づけのみならず、強い恐怖条件づけ後に観察される条件刺激の[[普遍化]](generalization)を示唆していると言えよう。
 ヒトにおける最初の恐怖条件づけの実験は、心理学者[[wj:ジョン・ワトソン (心理学)|ジョン・ワトソン]]が1920年に行ったリトルアルバートの実験である<ref name=ref7>'''Watson, J.B. and Rayner, R.'''<br>Conditioned emotional reactions.<br>''Journal of Experimental Psychology'': 1920, 3, 1–14.</ref>。この実験では、生後11ヶ月の乳児(アルバート)に対して、白ネズミを条件刺激、一方、乳児を恐がらせるに十分な、ハンマーで鋼鉄の棒を叩くことによる大音量の音を非条件刺激とする恐怖条件づけに成功した<ref name=ref7 />。まず、アルバートが白ネズミを怖がっていない(アルバートにとって白ネズミが恐怖を感じさせる非条件刺激ではない)ことを確認した。この条件下で、アルバートがネズミを触ろうとする時に、背後においてハンマーで鋼鉄の棒を叩いて大きな音をたてた。このような、白ネズミ(条件刺激)と大きな音(非条件刺激)との提示を何度か行った結果、アルバートは白ネズミと音の提示に反応して泣き出すようになった(恐怖反応を示した)。さらに、ついには、アルバートは白ネズミ(条件刺激)を見せられるだけで、泣き出すようになった。興味深いことに、白ネズミによる恐怖条件づけ成立後には、アルバートは[[ウサギ]]、[[イヌ|犬]]、毛皮のコートなど、白ネズミを連想させるものを見せられても、泣き出した。このような実験結果は、恐怖条件づけのみならず、強い恐怖条件づけ後に観察される条件刺激の[[普遍化]](generalization)を示唆していると言えよう。


 ヒトにおける実験的な恐怖条件づけの場合、例えば、コンピューターの画面上にある模様が出てきた時に腕に軽い電気ショックを与え、条件刺激(模様)と非条件刺激(電気ショックによる恐怖)との関連性を条件づけする<ref name=ref8><pubmed>20010606</pubmed></ref>。恐怖反応の評価としては、[[皮膚]]電気伝導度を中心に、口頭報告や[[脳画像解析]]、[[筋電図]]検査を介した筋肉応答の変化も用いられる<ref name=ref4 /> <ref name=ref8 /> <ref name=ref9><pubmed>18006874</pubmed></ref> <ref name=ref10><pubmed>9844434</pubmed></ref>。
 ヒトにおける実験的な恐怖条件づけの場合、例えば、コンピューターの画面上にある模様が出てきた時に腕に軽い電気ショックを与え、条件刺激(模様)と非条件刺激(電気ショックによる恐怖)との関連性を条件づけする<ref name=ref8><pubmed>20010606</pubmed></ref>。恐怖反応の評価としては、[[皮膚]]電気伝導度を中心に、口頭報告や[[脳画像解析]]、[[筋電図]]検査を介した筋肉応答の変化も用いられる<ref name=ref4 /> <ref name=ref8 /> <ref name=ref9><pubmed>18006874</pubmed></ref> <ref name=ref10><pubmed>9844434</pubmed></ref>。

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