「瞬目反射条件づけ」の版間の差分

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==== 小脳皮質の重要性についての議論 ====
==== 小脳皮質の重要性についての議論 ====
 小脳皮質の中でも特に重要な領域とされるのが、第VI半球[[小葉]]と[[前葉]]である。これらの部位の損傷・除去、不活性化、もしくは発現分子の欠損によって、瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習が阻害されるとの多くの報告がある。LavondとSteinmetzは、小脳核を残したまま、第VI半球小葉と小脳前葉を含む大きな領域を吸引除去したところ、瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習が著明に障害されることを示した<ref><pubmed> 2765164 </pubmed></ref>。ただし、一度学習が成立した後に、こうした領域を除去してもCRの発現に大きな影響は見られないことから、学習の保持には重要ではないとされた。また、GABA<sub>A</sub>受容体アゴニストである[[ムシモル]]や[[AMPA型グルタミン酸受容体]][[アンタゴニストCNQX]]を小脳第VI半球小葉に注入しても、同様に瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習が阻害される<ref name=ref6 />。ただし、こうした方法論も、小脳核の機能を完全に保持したままでの実行が難しい可能性があり、小脳皮質の小脳核に対する相対的優位性については未だに評価が定まっていない。なお、小脳皮質の唯一の出力細胞であるプルキンエ細胞が欠落した[[wikipedia:ja:pcdマウス|''pcd''マウス]]でも、小脳皮質除去動物と同様に、瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習獲得が著明に障害されていた <ref><pubmed> 8786457 </pubmed></ref>。とはいえ、この実験結果も、学習が完全に抑制されるわけではなかったことから、むしろ小脳皮質が遅延課題の記憶形成に必須ではないとの文脈で参照されることが多いようである(要引用)。また、平行線維からプルキンエ細胞に対する[[神経伝達物質]]の放出を可逆的に阻害できるマウスを利用した研究によれば、小脳皮質における神経伝達が瞬目反射条件づけの記憶成立には必須でなく、CRの表出に重要であることが示唆されている<ref name=ref15 />。
 小脳皮質の中でも特に重要な領域とされるのが、第VI半球[[小葉]]と[[前葉]]である。これらの部位の損傷・除去、不活性化、もしくは発現分子の欠損によって、瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習が阻害されるとの多くの報告がある。LavondとSteinmetzは、小脳核を残したまま、第VI半球小葉と小脳前葉を含む大きな領域を吸引除去したところ、瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習が著明に障害されることを示した<ref><pubmed> 2765164 </pubmed></ref>。ただし、一度学習が成立した後に、こうした領域を除去してもCRの発現に大きな影響は見られないことから、学習の保持には重要ではないとされた。また、GABA<sub>A</sub>受容体アゴニストである[[ムシモル]]や[[AMPA型グルタミン酸受容体]][[アンタゴニストCNQX]]を小脳第VI半球小葉に注入しても、同様に瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習が阻害される<ref name=ref6 />。ただし、こうした方法論も、小脳核の機能を完全に保持したままでの実行が難しい可能性があり、小脳皮質の小脳核に対する相対的優位性については未だに評価が定まっていない。なお、小脳皮質の唯一の出力細胞であるプルキンエ細胞が欠落した[[wikipedia:ja:pcdマウス|''pcd''マウス]]でも、小脳皮質除去動物と同様に、瞬目反射条件づけ(遅延課題)の学習獲得が著明に障害されていた <ref><pubmed> 8786457 </pubmed></ref>。とはいえ、この実験結果も、学習が完全に抑制されるわけではなかったことから、むしろ小脳皮質が遅延課題の記憶形成に必須ではないとの文脈で参照されることが多い<ref><pubmed> 21969489 </pubmed></ref>。また、平行線維からプルキンエ細胞に対する[[神経伝達物質]]の放出を可逆的に阻害できるマウスを利用した研究によれば、小脳皮質における神経伝達が瞬目反射条件づけの記憶成立には必須でなく、CRの表出に重要であることが示唆されている<ref name=ref15 />。


==== 小脳核(中位核)の重要性についての議論 ====
==== 小脳核(中位核)の重要性についての議論 ====
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