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ボールドウィン効果
ボールドウィン効果


ボールドウィン効果とは1896年に、Baldwin,Osborn,Morganがそれぞれ独自に提唱した生物の可塑性による獲得形質が進化に与える影響を考察した理論。当時はボールドウィン効果との名前は用いられなかったが、1950年にアメリカの進化生物学者○☓が再定義の上、ボールドウィン効果と名づけたことから知られるようになった。
ボールドウィン効果(the Baldwin Effect)とは1896~1897年に、Baldwin(1896),Osborn(1897a,b),Morgan(1896a,b)がそれぞれ独自に提唱した、生物の可塑性による獲得形質が進化に与える影響を考察した理論である。当時はボールドウィン効果との名前は用いられなかったが、1953年にアメリカの進化生物学者Simpson(1953)が現代的進化理論を用いて再定義の上、ボールドウィン効果と名づけたことから知られるようになった。


生物の可塑性が進化に与える影響は、獲得形質の遺伝を論じたラマルクの理論がよく知られている。しかしながら、体細胞に関する獲得形質が生殖細胞内の遺伝子に影響を与えることが熱力学第二法則の観点から原理的に不可能であることをWeissmanが示して以降、ラマルク理論は現在に至るまでほぼ否定されている。一方、ボールドウィン効果は生物の可塑性が直接的に遺伝子に影響を及ぼすことはないとしても、可塑性によってもたらされた獲得形質が適応度に寄与し、かつ獲得の過程において適応上何らかのコストが生じるのであれば、そのコストをターゲットとした適応進化が起こりうることを示している。コストには獲得の失敗や、可塑性自体がもたらす生理学的負担、獲得完了までの機会喪失等が考えられる。適応進化によってこれらのコストが圧縮されるということは、すなわち獲得を可能にした可塑性が失われ,結果としてより生得的になったということである。このことからボールドウィン効果は一般的には獲得形質の生得化と理解されている。
生物の可塑性が進化に与える影響は、獲得形質の遺伝を論じたJ. B. Lamarckの用不用説がよく知られている。しかしながら、Weissman(1883)が多細胞生物において遺伝は生殖細胞のみで起こる現象であり、体細胞に関する獲得形質が遺伝に影響を与えることを主張して以降、獲得形質の遺伝は現在に至るまでほぼ否定されている。一方、ボールドウィン効果は生物の可塑性が直接的に遺伝子に影響を及ぼすことはないとしても、可塑性によってもたらされた獲得形質が適応度に寄与し、かつ獲得の過程において適応上何らかのコストが生じるのであれば、そのコストをターゲットとした適応進化が起こりうることを示している。コストには獲得の失敗や、可塑性自体がもたらす生理学的負担、獲得完了までの機会喪失等が考えられる。適応進化によってこれらのコストが圧縮されるということは、すなわち獲得を可能にした可塑性が失われ,結果としてより生得的になったということである。このことからボールドウィン効果は一般的には獲得形質の生得化と理解されている。


Hinton & Nowlanの実験
Hinton & Nowlanの実験
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