「認知症」の版間の差分

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 認知症の50%を占めるアルツハイマー病に対し本邦で承認されているのは[[コリンエステラーゼ]](cholinesterase:ChE)阻害薬とN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体[[拮抗薬]]である。ChE阻害薬は「アルツハイマー病においてMeynert核の[[アセチルコリン]]([[acetylcholine]]:[[ACh]])作動性神経細胞の脱落とACh合成系の活性低下が病態に関連する」という[[コリン]]仮説を基に開発され、[[シナプス]]間隙のACh量を増加させる。一方、NMDA受容体拮抗薬は「アルツハイマー病において、脳内[[グルタミン酸]]濃度の持続的上昇やNMDA受容体へのアミロイドβの結合により[[CA2|Ca2]]+が細胞内に過剰流入し、シナプス後膜電位変化が増大して(シナプティックノイズ)記憶・学習の形成を阻害したり、[[酸化ストレス]]増大や神経[[細胞死]]を招く」というグルタミン酸仮説に基づき開発されている。本剤は持続性の病的な低濃度グルタミン酸刺激に対してはNMDA受容体に結合して過剰Ca2+流入による神経毒性を防ぐが、生理的な神経興奮による一過性の高濃度グルタミン酸刺激に対しては電位依存性にNMDA受容体から解離するため、正常な神経伝達や記憶形成には影響しない。'''表5'''に各薬剤の特徴を示す。<br>
 認知症の50%を占めるアルツハイマー病に対し本邦で承認されているのは[[コリンエステラーゼ]](cholinesterase:ChE)阻害薬とN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体[[拮抗薬]]である。ChE阻害薬は「アルツハイマー病においてMeynert核の[[アセチルコリン]]([[acetylcholine]]:[[ACh]])作動性神経細胞の脱落とACh合成系の活性低下が病態に関連する」という[[コリン]]仮説を基に開発され、[[シナプス]]間隙のACh量を増加させる。一方、NMDA受容体拮抗薬は「アルツハイマー病において、脳内[[グルタミン酸]]濃度の持続的上昇やNMDA受容体へのアミロイドβの結合により[[CA2|Ca2]]+が細胞内に過剰流入し、シナプス後膜電位変化が増大して(シナプティックノイズ)記憶・学習の形成を阻害したり、[[酸化ストレス]]増大や神経[[細胞死]]を招く」というグルタミン酸仮説に基づき開発されている。本剤は持続性の病的な低濃度グルタミン酸刺激に対してはNMDA受容体に結合して過剰Ca2+流入による神経毒性を防ぐが、生理的な神経興奮による一過性の高濃度グルタミン酸刺激に対しては電位依存性にNMDA受容体から解離するため、正常な神経伝達や記憶形成には影響しない。'''表5'''に各薬剤の特徴を示す。<br>


{| cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" width="800" height="20""
{| cellspacing="1" cellpadding="1" border="1" width="850" height="20""
|+ '''表5.アルツハイマー病([[Alzheimer's disease]] ; AD)治療薬の特徴'''  
|+ '''表5.アルツハイマー病([[Alzheimer's disease]] ; AD)治療薬の特徴'''  
! style="width:15%" | 一般名 !! style="width:12%" | 作用機序 !! style="width:15%" | 適応 !! style="width:24%" | 副次的効果 !! style="width:18%" | 剤型 !! style="width:10%" | 用法(回/日) !! style="width:6%" | 代謝・排泄
! style="width:14%" | 一般名 !! style="width:12%" | 作用機序 !! style="width:14%" | 適応 !! style="width:23%" | 副次的効果 !! style="width:13%" | 剤型 !! style="width:12%" | 用法(回/日) !! style="width:12%" | 代謝・排泄
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! ドネペジル
! ドネペジル
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