「統合失調症」の版間の差分

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 会話や行動については、話のピントがずれる、話題が飛ぶ、相手の話のポイントや考えがつかめない、作業のミスが多い、行動の能率が悪いなどの形で認められる。注意を適切に働かせながら会話や行動を目標に向けてまとめあげるという、目標志向性の知的な側面についての症状である。感情についての症状は、自分と他人の感情にいずれについても認められ、物事に適切な感情がわきにくい、感情をうまく表せずに表情が乏しく硬い、不安や緊張が強く慣れにくい、他人の感情についての理解が苦手になり、相手の気持ちに気づかなかったり、誤解することが増える。物事を行うために必要な意欲にも影響が表れ、仕事や勉強をしようとする意欲が出ずにゴロゴロする([[無為]])、部屋が乱雑でも整理整頓する気になれない、入浴や洗面などの身辺の清潔にも構わない([[身辺自立]])、というように生活の仕方に症状が表れる。さらに対人関係についての意欲の症状として、他人と交流をもとうとする意欲、会話をしようとする意欲が乏しくなり、無口で閉じこもった生活となる場合もある([[自閉]])。
 会話や行動については、話のピントがずれる、話題が飛ぶ、相手の話のポイントや考えがつかめない、作業のミスが多い、行動の能率が悪いなどの形で認められる。注意を適切に働かせながら会話や行動を目標に向けてまとめあげるという、目標志向性の知的な側面についての症状である。感情についての症状は、自分と他人の感情にいずれについても認められ、物事に適切な感情がわきにくい、感情をうまく表せずに表情が乏しく硬い、不安や緊張が強く慣れにくい、他人の感情についての理解が苦手になり、相手の気持ちに気づかなかったり、誤解することが増える。物事を行うために必要な意欲にも影響が表れ、仕事や勉強をしようとする意欲が出ずにゴロゴロする([[無為]])、部屋が乱雑でも整理整頓する気になれない、入浴や洗面などの身辺の清潔にも構わない([[身辺自立]])、というように生活の仕方に症状が表れる。さらに対人関係についての意欲の症状として、他人と交流をもとうとする意欲、会話をしようとする意欲が乏しくなり、無口で閉じこもった生活となる場合もある([[自閉]])。


 こうした陰性症状は、意欲低下avolition・快楽消失anhedonia・社会性障害asociality・制限された感情restricted affect・会話の貧困alogiaの5領域にまとめられることが多く、前三者を動機づけディメンションmotivational dimension、後二者を表出減弱ディメンションdiminished expressivity dimensionとまとめる考え方がある。
 こうした陰性症状は、[[意欲低下]] (abolition)・[[快楽消失]] (anhedonia)・[[社会性障害]] (sociality)・[[制限された感情]] (restricted affect)・[[会話の貧困]] (logia)の5領域にまとめられることが多く、前三者を[[動機づけディメンション]] (motivational dimension)、後二者を[[表出減弱ディメンション]] (diminished expressivity dimension)とまとめる考え方がある。


 なお、統合失調症の快楽消失については、現在についての[[情動]]体験は保たれているのに対して、将来の出来事を予想や期待する場合など非現在についての情動体験が減弱しており、そうした過小評価のために行動への動機づけが弱まると考えられるようになってきている。そのため、快楽追求行動の減弱reduced pleasure-seeking behaviorあるいは快楽を低く予想する信念beliefs of low pleasureと呼ぶ方が正確だとする提唱もある。
 なお、統合失調症の快楽消失については、現在についての[[情動]]体験は保たれているのに対して、将来の出来事を予想や期待する場合など非現在についての情動体験が減弱しており、そうした過小評価のために行動への動機づけが弱まると考えられるようになってきている。そのため、快楽追求行動の減弱 (reduced pleasure-seeking behavior)あるいは快楽を低く予想する信念 (beliefs of low pleasure)と呼ぶ方が正確だとする提唱もある。


===認知機能障害===
===認知機能障害===

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