「微小透析法」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/tatsushionaka 尾仲 達史]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/tatsushionaka 尾仲 達史]</font><br>
''自治医科大学 医学部''<br>
''自治医科大学 医学部''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年2月1日 原稿完成日:2016年月日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年2月1日 原稿完成日:2016年2月16日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
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 プローブの周辺の細胞外液中に、プローブの膜を透過できる物質が潅流液に比べ高い濃度で存在すれば、拡散の原理(principle of diffusion)に従い、その物質はプローブの膜を透過し潅流液中に入る。プローブに膜があることで潅流による組織への損傷や刺激を少なくすることができる。潅流させる流速をゼロにし長時間置くことで、分解と生成がなければ原理的には潅流液中の濃度は細胞外液中の濃度と等しくなるはずである。潅流液を収集し、潅流液に含まれる物質の濃度を測定することで、刺入部位の局所の細胞外液中に含まれる物質の濃度の指標とする。一定時間間隔で連続して潅流液を採取し、潅流液中の物質の濃度を測定することで、プローブ周辺の細胞外液中の物質の濃度の時間経過を推測することができる。
 プローブの周辺の細胞外液中に、プローブの膜を透過できる物質が潅流液に比べ高い濃度で存在すれば、拡散の原理(principle of diffusion)に従い、その物質はプローブの膜を透過し潅流液中に入る。プローブに膜があることで潅流による組織への損傷や刺激を少なくすることができる。潅流させる流速をゼロにし長時間置くことで、分解と生成がなければ原理的には潅流液中の濃度は細胞外液中の濃度と等しくなるはずである。潅流液を収集し、潅流液に含まれる物質の濃度を測定することで、刺入部位の局所の細胞外液中に含まれる物質の濃度の指標とする。一定時間間隔で連続して潅流液を採取し、潅流液中の物質の濃度を測定することで、プローブ周辺の細胞外液中の物質の濃度の時間経過を推測することができる。


 採集する物質の回収率は、膜と標的とする物質の化学的特徴、濃度、そして潅流流速に依存する。潅流速度を遅くすれば理論的には回収率は上昇する。潅流液をポンプを用いて一定流速で押し出す、或は、潅流液の押し出しと共にプローブの出口に陰圧負荷をかける出口からの引きとを組み合わせる(push-pull法)ことで、潅流液を一定時間間隔で回収する。分子量が1000程度までの低分子量の物質の採取には、潅流流速が遅く、プローブの出口側の抵抗が充分小さく(プローブからサンプル採取までの間の管の径が太くて短く)プローブ内の圧力によるプローブ膜から生体側への潅流液の漏れが問題とならない場合、押し出しのみを用いることが多い。高分子量の物質を収集する場合には、高分子量の物質が透過できるよう透過性の高い膜(例えば、ポアサイズが1,000kDa)を用いる必要があり、潅流液が膜を通して生体側に漏れ出すことを防ぐ目的で、プローブ内側の圧が細胞外より高くなることを避けるために陰圧を懸けるpush-pull法を用いる必要がある。
 採集する物質の回収率は、膜と標的とする物質の化学的特徴、濃度、そして潅流流速に依存する。潅流速度を遅くすれば理論的には回収率は上昇する。潅流液をポンプを用いて一定流速で押し出す、或は、潅流液の押し出しと共にプローブの出口に陰圧負荷をかける出口からの引きとを組み合わせる(push-pull法)ことで、潅流液を一定時間間隔で回収する。分子量が1000程度までの低分子量の物質の採取には、潅流流速が遅く、プローブの出口側の抵抗が充分小さく(プローブからサンプル採取までの間の管の径が太くて短く)プローブ内の圧力によるプローブ膜から生体側への潅流液の漏れが問題とならない場合、押し出しのみを用いることが多い。高分子量の物質を収集する場合には、高分子量の物質が透過できるよう透過性の高い膜(例えば、ポアサイズが1,000kDa)を用いる必要があり、潅流液が膜を通して生体側に漏れ出すことを防ぐ目的で、プローブ内側の圧が細胞外より高くなることを避けるために陰圧をかけるpush-pull法を用いる必要がある。


 また、外傷などで脳圧が亢進しプローブ膜の外側(組織側)の圧が膜の内側よりも高く、膜のポサイズが大きい(例えば、100kDa以上)と、細胞外液がプローブ内に流入する可能性が出てくる。また、高分子の回収効率を上げるため潅流液にalbumin、あるいは3% w/v Dextran 500kDaを加えることがある<ref name=ref6 />が、この場合、潅流液の膠質浸透圧のために組織からプローブ内に細胞外液が流入する可能性が出てくる。いずれにしても、プローブ内に流した量と等しい容量の潅流液が回収できているか確認する必要がある。
 また、外傷などで脳圧が亢進しプローブ膜の外側(組織側)の圧が膜の内側よりも高く、膜のポサイズが大きい(例えば、100kDa以上)と、細胞外液がプローブ内に流入する可能性が出てくる。また、高分子の回収効率を上げるため潅流液にalbumin、あるいは3% w/v Dextran 500kDaを加えることがある<ref name=ref6 />が、この場合、潅流液の膠質浸透圧のために組織からプローブ内に細胞外液が流入する可能性が出てくる。いずれにしても、プローブ内に流した量と等しい容量の潅流液が回収できているか確認する必要がある。

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