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:'''妄想'''は、「街ですれ違う人に紛れている敵が自分を襲おうとしている」([[迫害妄想]])、「近所の人の咳払いは自分への警告だ」([[関係妄想]])、「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」([[注察妄想]])、「警察が自分を尾行している」([[追跡妄想]])などの内容が代表的で、被害妄想と総称する。ときに「自分には世界を動かす力がある」といった[[誇大妄想]]のこともある。 | :'''妄想'''は、「街ですれ違う人に紛れている敵が自分を襲おうとしている」([[迫害妄想]])、「近所の人の咳払いは自分への警告だ」([[関係妄想]])、「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」([[注察妄想]])、「警察が自分を尾行している」([[追跡妄想]])などの内容が代表的で、被害妄想と総称する。ときに「自分には世界を動かす力がある」といった[[誇大妄想]]のこともある。 | ||
:'''自我障害'''は、「考えていることが声となって聞こえてくる」([[考想化声]])、「自分の意思に反して誰かに考えや体を操られる」(作為体験)、「自分の考えが世界中に知れわたっている」([[考想伝播]])などで、精神と身体についてのコントロール感の喪失 (a loss of control over mind and body)であり、思考や行動の自己能動感・自己所属感が障害されて疎隔化され、それが他の人や力に帰せられるという被動感を伴うことに特徴がある。なお、自我障害は、DSM-IVまで「奇異な妄想 (bizzare delusion) | :'''自我障害'''は、「考えていることが声となって聞こえてくる」([[考想化声]])、「自分の意思に反して誰かに考えや体を操られる」(作為体験)、「自分の考えが世界中に知れわたっている」([[考想伝播]])などで、精神と身体についてのコントロール感の喪失 (a loss of control over mind and body)であり、思考や行動の自己能動感・自己所属感が障害されて疎隔化され、それが他の人や力に帰せられるという被動感を伴うことに特徴がある。なお、自我障害は、DSM-IVまで「奇異な妄想 (bizzare delusion)」と記載されていたが、これは、他の妄想が可能性は乏しくとも現実にありうる内容であるのに対して、自我障害は全くあり得ない内容であるため、この症状を一般にわかりやすく説明するためだったようである。 | ||
このように、統合失調症の幻覚妄想は「他人が自分に危害を加える」という内容で、対人関係において他人が自分に対して持つ意図がテーマとなっている。自我障害における[[能動感]]の喪失と合わせて、脳機能における対人関係システム([[社会脳]])や自我機能システム([[自我脳]])の機能失調が背景にあることが推察できる。 | このように、統合失調症の幻覚妄想は「他人が自分に危害を加える」という内容で、対人関係において他人が自分に対して持つ意図がテーマとなっている。自我障害における[[能動感]]の喪失と合わせて、脳機能における対人関係システム([[社会脳]])や自我機能システム([[自我脳]])の機能失調が背景にあることが推察できる。 |