「見つめ合い」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
34行目: 34行目:
 2000年から[[wikipedia:ja:京都大学霊長類研究所|京都大学霊長類研究所]]において、[[チンパンジー]]認知発達研究プロジェクトが進められた。このプロジェクトでは3組のチンパンジー母子を対象にさまざまな縦断的な観察と実験が行われてきた。母親に育てられ、チンパンジーの社会で暮らすチンパンジーの子どもの認知発達が、ヒトと直接的に比較できる発達心理学的手法を用いることによって明らかにされている。
 2000年から[[wikipedia:ja:京都大学霊長類研究所|京都大学霊長類研究所]]において、[[チンパンジー]]認知発達研究プロジェクトが進められた。このプロジェクトでは3組のチンパンジー母子を対象にさまざまな縦断的な観察と実験が行われてきた。母親に育てられ、チンパンジーの社会で暮らすチンパンジーの子どもの認知発達が、ヒトと直接的に比較できる発達心理学的手法を用いることによって明らかにされている。


 第一に、チンパンジー新生児は、ヒト新生児と同様に、母親の顔とそれ以外のチンパンジーの顔(平均顔のチンパンジーと他個体の顔)を区別することが可能であることが報告された。この研究では、生後0ヶ月から、チンパンジー乳児にこれらの顔写真をとりつけたCCD[[カメ]]ラを左右に動かして見せ、追従反応が起きるか調べた。その結果、生後1ヶ月の時点で母親に対する追従反応が増加することが分かった<ref name=ref17>'''Tomonaga, M., Tanaka, M., Matsuzawa, T., Myowa-Yamakoshi, M., Kosugi, D., Mizuno, Y. U. U., et al. ''' <br>Development of social cognition in infant chimpanzees (Pan troglodytes): Face recognition, smiling, gaze, and the lack of triadic interactions<br>''Blackwell Publishing Asia Pty Ltd.'' 2004</ref>。
 第一に、チンパンジー新生児は、ヒト新生児と同様に、母親の顔とそれ以外のチンパンジーの顔(平均顔のチンパンジーと他個体の顔)を区別することが可能であることが報告された。この研究では、生後0ヶ月から、チンパンジー乳児にこれらの顔写真をとりつけた[[CCDカメラ]]を左右に動かして見せ、追従反応が起きるか調べた。その結果、生後1ヶ月の時点で母親に対する追従反応が増加することが分かった<ref name=ref17>'''Tomonaga, M., Tanaka, M., Matsuzawa, T., Myowa-Yamakoshi, M., Kosugi, D., Mizuno, Y. U. U., et al. ''' <br>Development of social cognition in infant chimpanzees (Pan troglodytes): Face recognition, smiling, gaze, and the lack of triadic interactions<br>''Blackwell Publishing Asia Pty Ltd.'' 2004</ref>。


 また、生後10~32週齢のチンパンジー乳児に、こちらを見ているヒトの顔と見ていないヒトの顔を対提示すると、チンパンジー乳児は前者を見るというヒト乳児と同じ結果を示した<ref name=ref17 />。さらにチンパンジー乳児においても、生後2ヶ月ごろから生理的微笑が消え、社会的微笑が見られ始めることも報告された。また、見つめ合いはヒトの母子に見られるだけでなく、チンパンジーの母子間でも見られ、たとえばTomonaga et al. (2004)では生後0~2ヶ月の間に母子間の見つめ合いは増加し、母親による揺らしてあやすような身体的な関わりの増加とともに減少するこことが報告されている<ref name=ref2><pubmed>16060808</pubmed></ref>。
 また、生後10~32週齢のチンパンジー乳児に、こちらを見ているヒトの顔と見ていないヒトの顔を対提示すると、チンパンジー乳児は前者を見るというヒト乳児と同じ結果を示した<ref name=ref17 />。さらにチンパンジー乳児においても、生後2ヶ月ごろから生理的微笑が消え、社会的微笑が見られ始めることも報告された。また、見つめ合いはヒトの母子に見られるだけでなく、チンパンジーの母子間でも見られ、たとえばTomonaga et al. (2004)では生後0~2ヶ月の間に母子間の見つめ合いは増加し、母親による揺らしてあやすような身体的な関わりの増加とともに減少するこことが報告されている<ref name=ref2><pubmed>16060808</pubmed></ref>。

案内メニュー