「Held萼状シナプス」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
64行目: 64行目:
カリックスシナプスにおける短期抑圧の主な要因は、[[放出可能プール]]の枯渇、シナプス前終末[[カルシウムチャネル]]の不活性化<ref name=ref49><pubmed> 9581770 </pubmed></ref>、シナプス後細胞の[[AMPA型グルタミン酸受容体]]の脱感作<ref name=ref9/><ref name=ref20/>である。聴覚獲得前のカリックスシナプス前終末は、放出確率が高く、放出可能プールが小さく<ref name=ref35/>、またシナプス小胞の補充再利用も遅いため、短期抑圧を示す。聴覚獲得前のカリックスシナプスにおける[[カルシウム]]チャネルの不活性化は、カルモジュリンによって誘導されるが、カルモジュリンの役割は生後発達と共に減弱する<ref name=ref50><pubmed> 18238813 </pubmed></ref>。AMPA型受容体の脱感作は高頻度入力の場合に重要となる<ref name=ref20/>。
カリックスシナプスにおける短期抑圧の主な要因は、[[放出可能プール]]の枯渇、シナプス前終末[[カルシウムチャネル]]の不活性化<ref name=ref49><pubmed> 9581770 </pubmed></ref>、シナプス後細胞の[[AMPA型グルタミン酸受容体]]の脱感作<ref name=ref9/><ref name=ref20/>である。聴覚獲得前のカリックスシナプス前終末は、放出確率が高く、放出可能プールが小さく<ref name=ref35/>、またシナプス小胞の補充再利用も遅いため、短期抑圧を示す。聴覚獲得前のカリックスシナプスにおける[[カルシウム]]チャネルの不活性化は、カルモジュリンによって誘導されるが、カルモジュリンの役割は生後発達と共に減弱する<ref name=ref50><pubmed> 18238813 </pubmed></ref>。AMPA型受容体の脱感作は高頻度入力の場合に重要となる<ref name=ref20/>。


シナプス促通は、初回の活動電位によって流入したCa<sup>2+</sup>が原因となって生じる。[[シナプス前終末内]]に残存したCa<sup>2+</sup>が2回目の活動電位によって流入するCa<sup>2+</sup>に加算され、小胞のCa<sup>2+</sup>センサーはより高濃度のCa<sup>2+</sup>を感知する。また残存Ca<sup>2+</sup>はカルシウムチャネルの開口速度を速めて<ref name=ref51><pubmed> 9769416 </pubmed></ref>、シナプス促通をもたらす<ref name=ref44/>。生後発達に伴い[[放出確率]]が低下し[[放出可能プール]]が大きくなるため、聴覚獲得後の萼状シナプスでは、促通傾向が優勢になる。
シナプス促通は、初回の活動電位によって流入したCa<sup>2+</sup>が原因となって生じる。[[シナプス前終末内]]に残存したCa<sup>2+</sup>が2回目の活動電位によって流入するCa<sup>2+</sup>に加算され、小胞のCa<sup>2+</sup>センサーはより高濃度のCa<sup>2+</sup>を感知する。また残存Ca<sup>2+</sup>はカルシウムチャネルの開口速度を速めて<ref name=ref51><pubmed> 9769416 </pubmed></ref>、シナプス促通をもたらす<ref name=ref44/>。生後発達に伴い[[放出確率]]が低下し[[放出可能プール]]が大きくなるため、聴覚獲得後のカリックスシナプスでは、促通傾向が優勢になる。


なお聴覚獲得前のカリックスシナプスでは、連続高頻度刺激によってシナプス伝達の数分にわたる増強(postsynaptic potentiation; PTP)が誘発可能である<ref name=ref52><pubmed> 15695246 </pubmed></ref>。このメカニズムはCa<sup>2+</sup>濃度上昇によって活性化したPKCが小胞Ca<sup>2+</sup>センサーのCa<sup>2+</sup>感受性を高めることによる<ref name=ref46/>。
なお聴覚獲得前のカリックスシナプスでは、連続高頻度刺激によってシナプス伝達の数分にわたる増強(postsynaptic potentiation; PTP)が誘発可能である<ref name=ref52><pubmed> 15695246 </pubmed></ref>。このメカニズムはCa<sup>2+</sup>濃度上昇によって活性化したPKCが小胞Ca<sup>2+</sup>センサーのCa<sup>2+</sup>感受性を高めることによる<ref name=ref46/>。
29

回編集

案内メニュー