「ZOファミリー」の版間の差分

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==ZOタンパク質==
==ZOファミリーとは==
 [[wikipedia:ja:多細胞生物|多細胞生物]]の[[wikipedia:ja:上皮組織|上皮組織]]では、[[wikipedia:ja:上皮細胞|上皮細胞]]が単層あるいは重層に配列し、互いに接着したシート状構造を呈する。上皮シート構造の形成・維持には、頂端側に存在する[[密着結合]]・[[接着結合]]・[[接着斑]]からなる接着複合体が重要な役割を果たしている。
 
 ZOファミリータンパク質は、[[細胞膜]]側で密着結合や接着結合を構成するタンパク質群と結合し、細胞質側で[[細胞骨格]]と結合する。これにより、細胞間接着構造を細胞の適切な位置に維持している。また、密着結合の形成により[[膜タンパク質]]の拡散が抑えられ、細胞の頂端側と基底側で膜組成に差が生まれることから、細胞[[極性]]形成にも関与すると考えられる。近年では、ZOタンパク質が核内に移動することにより、細胞内シグナル伝達や[[転写調節]]を担うことも報告されている<ref name=ref3><pubmed>20224657</pubmed></ref>。
 
==構造==
[[image:zo-1-1.png|thumb|350px|'''図1.ZOタンパク質構造'''<ref name=ref4><pubmed>12141438</pubmed></ref>]]
[[image:zo-1-1.png|thumb|350px|'''図1.ZOタンパク質構造'''<ref name=ref4><pubmed>12141438</pubmed></ref>]]
[[image:zo-1-2.png|thumb|350px|'''図2.ZO-1タンパク質の構造'''<br>N末端側にPDドメイン(1、2、3の数字で示す)、SH3ドメイン、GUK(GK)ドメインが存在する。C末端側にはプロリンリッチな領域(P)、選択的スプライシング部位(α、β、γ)が存在する。+、-はそれぞれ塩基性領域、酸性領域を表す<ref name=ref11><pubmed>10966866</pubmed></ref>。]]
[[image:zo-1-2.png|thumb|350px|'''図2.ZO-1タンパク質の構造'''<br>N末端側にPDドメイン(1、2、3の数字で示す)、SH3ドメイン、GUK(GK)ドメインが存在する。C末端側にはプロリンリッチな領域(P)、選択的スプライシング部位(α、β、γ)が存在する。+、-はそれぞれ塩基性領域、酸性領域を表す<ref name=ref11><pubmed>10966866</pubmed></ref>。]]


 ZOタンパク質(図1)は、[[membrane-associated guanylate kinase]](MAGUK)ファミリーに分類される。ZOタンパク質には、分子量220kDaのZO-1<ref name=ref29><pubmed>3528172</pubmed></ref> <ref name=ref18><pubmed>8486731</pubmed></ref>、160kDaの[[ZO-2]]<ref name=ref12><pubmed>2014265</pubmed></ref> <ref name=ref20><pubmed>8132716</pubmed></ref>、130kDaの [[ZO-3]]<ref name=ref13><pubmed>9531559</pubmed></ref>の3種類がある。これらに共通の構造として、3個の[[PDZドメイン]]、1個の[[Src homology 3(SH3)ドメイン]]、1個の[[guanylate kinase]]([[GUKドメイン|GUK]]または[[GKドメイン|GK]])ドメインが挙げられる。また、プロリンリッチ領域が、ZO-1、ZO-2ではカルボキシル末端側、ZO-3では2nd PDZドメインと3rd PDZドメインの間に存在する<ref name=ref11 />。
 ZOファミリータンパク質(図1)は、[[membrane-associated guanylate kinase]](MAGUK)ファミリーに分類される。ZOタンパク質には、分子量220kDaのZO-1<ref name=ref29><pubmed>3528172</pubmed></ref> <ref name=ref18><pubmed>8486731</pubmed></ref>、160kDaの[[ZO-2]]<ref name=ref12><pubmed>2014265</pubmed></ref> <ref name=ref20><pubmed>8132716</pubmed></ref>、130kDaの [[ZO-3]]<ref name=ref13><pubmed>9531559</pubmed></ref>の3種類がある。これらに共通の構造として、3個の[[PDZドメイン]]、1個の[[Src homology 3(SH3)ドメイン]]、1個の[[guanylate kinase]]([[GUKドメイン|GUK]]または[[GKドメイン|GK]])ドメインが挙げられる。また、プロリンリッチ領域が、ZO-1、ZO-2ではカルボキシル末端側、ZO-3では2nd PDZドメインと3rd PDZドメインの間に存在する<ref name=ref11 />。


 3種のZOタンパク質を区別するのはC末端領域の構造である。ZO-1のC末領域は他の2種よりも長い。また、ZO-1では[[選択的スプライシング部位]]が3カ所あるが、ZO-2では2カ所、ZO-3にはない<ref name=ref11 />。これらの違いが、3種のタンパク質の機能の違いを生み出すと考えられている。
 3種のZOタンパク質を区別するのはC末端領域の構造である。ZO-1のC末領域は他の2種よりも長い。また、ZO-1では[[選択的スプライシング部位]]が3カ所あるが、ZO-2では2カ所、ZO-3にはない<ref name=ref11 />。これらの違いが、3種のタンパク質の機能の違いを生み出すと考えられている。


 [[wikipedia:ja:多細胞生物|多細胞生物]]の[[wikipedia:ja:上皮組織|上皮組織]]では、[[wikipedia:ja:上皮細胞|上皮細胞]]が単層あるいは重層に配列し、互いに接着したシート状構造を呈する。上皮シート構造の形成・維持には、頂端側に存在する[[密着結合]]・[[接着結合]]・[[接着斑]]からなる接着複合体が重要な役割を果たしている。ZOタンパク質は、[[細胞膜]]側で密着結合や接着結合を構成するタンパク質群と結合し、細胞質側で[[細胞骨格]]と結合する。これにより、細胞間接着構造を細胞の適切な位置に維持している。また、密着結合の形成により[[膜タンパク質]]の拡散が抑えられ、細胞の頂端側と基底側で膜組成に差が生まれることから、細胞[[極性]]形成にも関与すると考えられる。近年では、ZOタンパク質が核内に移動することにより、細胞内シグナル伝達や[[転写調節]]を担うことも報告されている<ref name=ref3><pubmed>20224657</pubmed></ref>。
 


===ZO-1の概要===
===ZO-1の概要===