「DARPP-32」の版間の差分

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380 バイト追加 、 2016年4月1日 (金)
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0096096 首藤 隆秀]、[http://researchmap.jp/Akinori_Nishi 西 昭徳]</font><br>
''久留米大学医学部薬理学講座''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年3月30日 原稿完成日:2016年月日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
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首藤隆秀、西昭徳
英語名:dopamine- and [[cAMP]]-regulated phosphoprotein, M''<sub>r</sub>'' 32 kDa
英語名:dopamine- and [[cAMP]]-regulated phosphoprotein, M''<sub>r</sub>'' 32 kDa
英略語:DARPP-32
英略語:DARPP-32
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== がんにおけるDARPP-32とt-DARPPの役割 ==
== がんにおけるDARPP-32とt-DARPPの役割 ==
 t-DARPP (truncated isoform of DARPP) は、DARPP-32のスプライスバリアントであり、Thr34を含むN末端の36アミノ酸が欠失している<ref name=ref16><pubmed> 26872373 </pubmed></ref>。胃がんでDARPP-32およびt-DARPPの発現が増加していることが報告されて以来<ref><pubmed> 12124342 </pubmed></ref>、t-DARPPが注目されるようになった。胃がん(腺癌)の3分の2でDARPP-32およびt-DARPPの発現が増加している<ref><pubmed> 16061638 </pubmed></ref>。また、乳がんや前立腺がん、大腸がんにおいてもDARPP-32およびt-DARPPの発現増加が報告されている<ref><pubmed> 14508844 </pubmed></ref>。DARPP-32およびt-DARPPの発現増加は、PP1抑制とは異なる発がん経路の活性化(PI3K/Aktシグナルの活性化、Bcl2の発現など)により、腫瘍細胞の増殖・浸潤・転移や腫瘍血管新生を促進し、また、抗がん剤耐性の獲得にも関与することが明らかにされている<ref name=ref16 />。
 t-DARPP (truncated isoform of DARPP) は、DARPP-32のスプライスバリアントであり、Thr34を含むN末端の36アミノ酸が欠失している<ref name=ref16><pubmed> 26872373 </pubmed></ref>。胃がんでDARPP-32およびt-DARPPの発現が増加していることが報告されて以来<ref><pubmed> 12124342 </pubmed></ref>、t-DARPPが注目されるようになった。胃がん(腺癌)の3分の2でDARPP-32およびt-DARPPの発現が増加している<ref><pubmed> 16061638 </pubmed></ref>。また、乳がんや前立腺がん、大腸がんにおいてもDARPP-32およびt-DARPPの発現増加が報告されている<ref><pubmed> 14508844 </pubmed></ref>。DARPP-32およびt-DARPPの発現増加は、PP1抑制とは異なる発がん経路の活性化(PI3K/Aktシグナルの活性化、Bcl2の発現など)により、腫瘍細胞の増殖・浸潤・転移や腫瘍血管新生を促進し、また、抗がん剤耐性の獲得にも関与することが明らかにされている<ref name=ref16 />。
==関連項目==
*[[ドパミン]]
*[[グルタミン酸]]
*[[プロテインキナーゼ]]
*[[プロテインホスファターゼ]]
*[[線条体]]
*[[大脳基底核]]
*[[t-DARPP]]


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references/>
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重要な関連語:ドパミン、グルタミン酸、プロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ、線条体、大脳基底核、t-DARPP<br />
(執筆者:首藤隆秀、西昭徳、担当編集委員:柚崎通介)

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