「アルコール依存症」の版間の差分

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 アルコールは[[感覚]]、[[知能]]、[[wj:循環器|循環]]、[[消化管|消化]]、[[wj:代謝|代謝]]、[[運動]]にかかわる器官のほぼ全てに影響を与える。そのため、飲酒の制御困難による大量飲酒は、様々な機能障害を起こす。WHOによれば、アルコールは60以上もの疾患の原因になると言われている。代表的なものを挙げると、[[肝臓障害]]、[[膵炎]]、[[糖尿病]]、[[痛風]]、[[消化管出血]]、[[癌]]、[[脳萎縮]]、[[wj:骨粗鬆症|骨粗鬆症]]、[[wj:大腿骨頭壊死|大腿骨頭壊死]]など多くの臓器に渡ってその影響が出る。
 アルコールは[[感覚]]、[[知能]]、[[wj:循環器|循環]]、[[消化管|消化]]、[[wj:代謝|代謝]]、[[運動]]にかかわる器官のほぼ全てに影響を与える。そのため、飲酒の制御困難による大量飲酒は、様々な機能障害を起こす。WHOによれば、アルコールは60以上もの疾患の原因になると言われている。代表的なものを挙げると、[[肝臓障害]]、[[膵炎]]、[[糖尿病]]、[[痛風]]、[[消化管出血]]、[[癌]]、[[脳萎縮]]、[[wj:骨粗鬆症|骨粗鬆症]]、[[wj:大腿骨頭壊死|大腿骨頭壊死]]など多くの臓器に渡ってその影響が出る。


 以上のような身体面への影響だけではない。以下に精神面への影響について述べる。健常者に対する飲酒実験によると、10名の健常者を対象に、2時間ごとに飲酒を行う(24時間で最大25ドリンクまでの上限)実験を連日続けた結果、全員が[[抑うつ症状]]を認め、4名が最初の1週間で[[希思念慮]]を認めたため実験が中止になり、飲酒を中止したところ、抑うつ症状は改善したとの報告がある<ref><pubmed>19909688</pubmed></ref>。したがって大量飲酒は一過性の抑うつ症状を引き起こすことがあり、連続飲酒に陥っているアルコール依存症者は抑うつ症状を伴うことがしばしばある。またアルコール依存症の既往がある者では、ない者に比べて、[[大うつ病性障害]]を発症する危険性は4倍高いとする報告があり<ref><pubmed>2232018</pubmed></ref>、アルコール依存症は、将来の[[うつ病]]発症リスクに関連する可能性がある。
 以上のような身体面への影響だけではない。以下に精神面への影響について述べる。健常者に対する飲酒実験によると、10名の健常者を対象に、2時間ごとに飲酒を行う(24時間で最大25ドリンクまでの上限)実験を連日続けた結果、全員が[[抑うつ症状]]を認め、4名が最初の1週間で[[希死念慮]]を認めたため実験が中止になり、飲酒を中止したところ、抑うつ症状は改善したとの報告がある<ref><pubmed>19909688</pubmed></ref>。したがって大量飲酒は一過性の抑うつ症状を引き起こすことがあり、連続飲酒に陥っているアルコール依存症者は抑うつ症状を伴うことがしばしばある。またアルコール依存症の既往がある者では、ない者に比べて、[[大うつ病性障害]]を発症する危険性は4倍高いとする報告があり<ref><pubmed>2232018</pubmed></ref>、アルコール依存症は、将来の[[うつ病]]発症リスクに関連する可能性がある。


 アルコール依存症が[[自殺]]や[[自殺企図]]のリスク因子であることも多くの研究から確認されている。アルコール依存症、[[気分障害]]、[[統合失調症]]で自殺の生涯リスクを比較した研究によるとアルコール依存症で7%、気分障害で6%、[[統合失調症]]で4%と推計されており、アルコール依存症は気分障害より自殺のリスクが高いとされる<ref><pubmed>9534829</pubmed></ref>。また、入院治療を受けたアルコール依存症の国内調査では、アルコール依存症群は一般人口に比べて男性で約9倍、女性で35倍高い自殺の危険があるという研究結果がある<ref><pubmed>3435274</pubmed></ref>。
 アルコール依存症が[[自殺]]や[[自殺企図]]のリスク因子であることも多くの研究から確認されている。アルコール依存症、[[気分障害]]、[[統合失調症]]で自殺の生涯リスクを比較した研究によるとアルコール依存症で7%、気分障害で6%、[[統合失調症]]で4%と推計されており、アルコール依存症は気分障害より自殺のリスクが高いとされる<ref><pubmed>9534829</pubmed></ref>。また、入院治療を受けたアルコール依存症の国内調査では、アルコール依存症群は一般人口に比べて男性で約9倍、女性で35倍高い自殺の危険があるという研究結果がある<ref><pubmed>3435274</pubmed></ref>。

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