「パーソナリティ障害」の版間の差分

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 代替診断基準ではさらに、病的パーソナリティ特性が認められることが診断に必要とされる。それらは、否定的感情、離脱、対立、脱抑制、および精神病性の5つの特性である。それぞれの特性には、総計25種の特性側面が含まれている。病的パーソナリティ特性とその特性側面を表2に示す。
 代替診断基準ではさらに、病的パーソナリティ特性が認められることが診断に必要とされる。それらは、否定的感情、離脱、対立、脱抑制、および精神病性の5つの特性である。それぞれの特性には、総計25種の特性側面が含まれている。病的パーソナリティ特性とその特性側面を表2に示す。


表2. 5種の病的パーソナリティ特性と25種の特性側面
{|class="wikitable"
 
|+表1. 表2. 5種の病的パーソナリティ特性と25種の特性側面
|-
|
|style="text-align:center" |説明
|style="text-align:center" |特性側面
|-
|否定的感情 (vs 感情安定)
|不安、抑うつ、罪悪感、羞恥心、怒りといった否定的感情が広範囲で高度である。さらにそれに基づく自傷行為などの行動や依存などの対人関係が見られる。
|不安傾向、分離不安、従順さ、敵意、固執、抑うつ傾向、猜疑心、感情不安定(制限された感情の欠如)
|-
|離脱 (vs 外向性)
|社会的感情的関わりの忌避。引きこもる、楽しみなどの感情体験を避ける。
|親密さ回避、アンヘドニア、抑うつ傾向、制限された感情、猜疑心
|-
|対立 (vs 協調)
|自己イメージが尊大で、自分に特別な取り計らいを求める、他者に嫌悪感・反感を抱く、他者に配慮せず他者を自分のために利用する。
|虚偽性、誇大性、注意喚起、冷淡、敵意
|-
|脱抑制 (vs 誠実性)
|直接的に欲求の充足を求めて、その場の考えや感情、状況からの刺激に反応して衝動的な行動に走る。
|衝動性、転導性、無謀さ、硬直した完璧主義(の欠如)
|-
|精神病性 (vs 明晰性)
|文化にそぐわない奇妙な、普通でない行動や認知を示す。
|奇妙さ、認知と知覚の統制障害
|}


 病的パーソナリティ特性は、表2において「否定的感情 vs 感情安定」といった形で示されているように、パーソナリティ障害のディメンジョンを表すものである。それらは、Costa  & McCraeの性格評価のための主要5 因子モデルのディメンジョン(神経症傾向、 内向性、 調和性(調和性のなさ)、 誠実性(誠実性のなさ)、 開放性(開放性のなさ))とほぼ対応がとれていると考えられる7。ここでは、病的パーソナリティ特性とは一般に見られるパーソナリティ傾向の極端な病的側面を取り上げたものと捉えられている。
 病的パーソナリティ特性は、表2において「否定的感情 vs 感情安定」といった形で示されているように、パーソナリティ障害のディメンジョンを表すものである。それらは、Costa  & McCraeの性格評価のための主要5 因子モデルのディメンジョン(神経症傾向、 内向性、 調和性(調和性のなさ)、 誠実性(誠実性のなさ)、 開放性(開放性のなさ))とほぼ対応がとれていると考えられる7。ここでは、病的パーソナリティ特性とは一般に見られるパーソナリティ傾向の極端な病的側面を取り上げたものと捉えられている。
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 DSM- 5第2部のパーソナリティ障害では、10のタイプが措定されている。それらの特徴を表3に示す。ICD-10のパーソナリティ障害タイプは、DSM-5第2部のものとほぼ同じであるが、名称が異なるものはICD-10の名称を括弧に入れて示す。
 DSM- 5第2部のパーソナリティ障害では、10のタイプが措定されている。それらの特徴を表3に示す。ICD-10のパーソナリティ障害タイプは、DSM-5第2部のものとほぼ同じであるが、名称が異なるものはICD-10の名称を括弧に入れて示す。
表3.DSM-5 第2部におけるパーソナリティ障害のタイプ
{|class="wikitable"
 
|+表3.DSM-5 第2部におけるパーソナリティ障害のタイプ
|-
|style="text-align:center" |
|style="text-align:center" |
|style="text-align:center" |
|style="text-align:center" |
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| rowspan="3" |
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| rowspan="4" |
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| rowspan="3" |
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|}


 DSM-5第3部の代替診断基準では、表2の5つの病的パーソナリティ特性の強弱によって、特定のパーソナリティ障害タイプが記述されている。それを表4に示す。
 DSM-5第3部の代替診断基準では、表2の5つの病的パーソナリティ特性の強弱によって、特定のパーソナリティ障害タイプが記述されている。それを表4に示す。


表4. DSM-5第3部の代替診断モデルの6種のパーソナリティ障害と病的パーソナリティ特性との関連
{|class="wikitable"
 
|+表4. DSM-5第3部の代替診断モデルの6種のパーソナリティ障害と病的パーソナリティ特性との関連
|-
|病的パーソナリティ特性
|反社会性パーソナリティ障害
|回避性パーソナリティ障害
|境界性パーソナリティ障害
|自己愛性パーソナリティ障害
|強迫性パーソナリティ障害
|統合失調型パーソナリティ障害
|-
|否定的感情
|
|style="text-align:center" |高
|style="text-align:center" |高
|
|style="text-align:center" |高
|
|-
|離脱
|
|style="text-align:center" |高
|
|
|style="text-align:center" |高
|style="text-align:center" |高
|-
|対立
|style="text-align:center" |高
|
|style="text-align:center" |高
|style="text-align:center" |高
|
|
|-
|脱抑制
|style="text-align:center" |高
|
|style="text-align:center" |高
|
|style="text-align:center" |低
|
|-
|精神病性
|
|
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|
|style="text-align:center" |高
|-
|}


 この表4に見られるように、例えば、反社会性パーソナリティ障害は対立と脱抑制というように、パーソナリティ障害タイプのそれぞれは、5種の病的パーソナリティ特性の高低によって特徴づけられる。
 この表4に見られるように、例えば、反社会性パーソナリティ障害は対立と脱抑制というように、パーソナリティ障害タイプのそれぞれは、5種の病的パーソナリティ特性の高低によって特徴づけられる。

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