「電気けいれん療法」の版間の差分

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治療抵抗性うつ病に対しての有効性も確立しており(24,25,26)、抑うつ症状の改善以外にも社会機能やQOLを改善させる(27)ことが報告されている。また、一般に抗うつ薬に対して治療反応の乏しい精神病像を伴う重症うつ病にもECTは有効である (28,29,30)。<br>
治療抵抗性うつ病に対しての有効性も確立しており(24,25,26)、抑うつ症状の改善以外にも社会機能やQOLを改善させる(27)ことが報告されている。また、一般に抗うつ薬に対して治療反応の乏しい精神病像を伴う重症うつ病にもECTは有効である (28,29,30)。<br>
ECTは単極性うつ病、双極性うつ病の双方のうつ状態に有効であり、寛解率はともにほぼ同等で約50%と報告されている(31)。Keitnerらのメタ解析(32)によると、うつ病へのECTの反応率は53~80%、寛解率は27~56%と推定さればらつきが大きい。ECTの施行方法が報告によって異なり、有効性や有害事象に施行方法による差異が出やすいため、有効率にばらつきが出ていることも指摘されている(33)。<br>
ECTは単極性うつ病、双極性うつ病の双方のうつ状態に有効であり、寛解率はともにほぼ同等で約50%と報告されている(31)。Keitnerらのメタ解析(32)によると、うつ病へのECTの反応率は53~80%、寛解率は27~56%と推定さればらつきが大きい。ECTの施行方法が報告によって異なり、有効性や有害事象に施行方法による差異が出やすいため、有効率にばらつきが出ていることも指摘されている(33)。<br>
このようにECTは気分障害のうつ状態に対し高い有効性を持つが、同時に双極性障害の躁状態への効果も知られている。躁状態への比較対照研究は少ないものの、ECTの抗躁効果は確立しており、Mckherjeeらは過去50年間にECTを施行された約600例の急性躁病患者の転機を調査し、約80%が著明改善または完全寛解したことと報告しており(34)、躁鬱混合状態への有効性も報告されている(35)。<br>
生命が脅かされるような状態を伴う重症躁病や薬物治療抵抗性の遷延性躁状態への二次的なECTの適応があるとされる(36,37) が、躁状態では意識障害、頭部外傷、HIV感染等の器質疾患の術前の鑑別に十分な注意を要する。一般的にECTが抗躁効果を示すためにはうつ状態より時間がかかり両側性で6~10回の治療回数が必要とされる(38)。躁状態に対して施行する問題点としては、患者本人からの同意が得にくいこと(39)、覚醒状態でECT施行室に搬送することが困難であることが挙げられる。<br>
またカタトニア(緊張病)への高い効果も知られている。カタトニアを呈する疾患として、統合失調症の緊張病型がよく知られるが、カタトニアは症候群で気分障害の躁状態やうつ状態、抗NMDA関連脳炎などの器質性精神疾患(40)、自閉症スペクトラム障害などでも起こりうる。4つの研究によるカタトニアのロラゼパムでの寛解率は80-100%と高く(40)、通常のカタトニアではロラゼパム等のベンゾジアゼピン系薬剤が優先して使用され反応しない場合にECTが検討されるが、生命に危険の強い悪性緊張病ではECTは一時的選択になりうる(41)。5つの研究でのECTでのカタトニアの寛解率は82-96%とされる(40)。統合失調症、気分障害、統合失調感情障害、器質性精神障害を含む28例のカタトニアにECTを行った研究では、93%が緊張病症候群の症状消失がみられ、特に気分障害におけるカタトニアの寛解率は96%と高かったと報告されている(43)。自閉症スペクトラム障害に伴うカタトニア(43)や抗NMDA関連脳炎に伴うカタトニアへのECTの有効性の知見の蓄積はまだ乏しい。<br>
統合失調症では前述のように緊張病型には著効することが多く、また精神運動興奮や昏迷を伴う場合も興奮や意思発動性低下が改善・軽減する。一部のアルゴリズムには薬物治療抵抗性統合失調症の治療として、ECTが位置づけられているが、慢性的な幻覚妄想や陰性症状および認知機能低下には効果が乏しいことが多い。<br>
19) Janicak PG, Davis JM, Gibbons RD, et al.: Efficacy of ECT: a meta-analysis. Am J Psychiatry 142: 297-302, 1985
19) Janicak PG, Davis JM, Gibbons RD, et al.: Efficacy of ECT: a meta-analysis. Am J Psychiatry 142: 297-302, 1985
20)Pagnin D, de Queiroz V, Pini S, et al. Efficacy of ECT in depression: a meta-analytic review. J ECT 20: 13-20, 2004.
20)Pagnin D, de Queiroz V, Pini S, et al. Efficacy of ECT in depression: a meta-analytic review. J ECT 20: 13-20, 2004.
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32) Keitner GI, Ryan CE, Solomon DA: Realistic expectations and a disease management model for depressed patients with persistent symptoms. J Clin Psychiatry 67: 1412-1421, 2006
32) Keitner GI, Ryan CE, Solomon DA: Realistic expectations and a disease management model for depressed patients with persistent symptoms. J Clin Psychiatry 67: 1412-1421, 2006
33) Lisanby SH: Electroconvulsive therapy for depression. N Engl J Med 357: 1939-1945, 2007
33) Lisanby SH: Electroconvulsive therapy for depression. N Engl J Med 357: 1939-1945, 2007
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