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Tomokouekita (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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8方向放射状迷路(Olton,1978)での空間課題の遂行時に、動物がおかすエラーのパターン分析から、空間記憶は参照記憶と作業記憶に分類された。例えば、8走路のうちの特定の4走路に報酬を置き、これらを選択させる課題の訓練をする時、動物が報酬のない走路を選択せず、報酬のある走路のみに一度だけ訪れれば、この課題を最も効率よく解決したといえる。そのためには、動物はその試行で既に訪れた走路はどこであるかを記憶する必要があり、これが空間作業記憶である。また、報酬が置かれる走路、または決して置かれることない走路はどこであるかを記憶する必要があり、これが空間参照記憶である。空間作業記憶は、その試行で選択した走路と選択していない走路を、装置の外にある環境刺激との位置関係において保持し、その次の試行ではキャンセルされる記憶である。このように1試行にのみ有効な空間作業記憶に対して、空間参照記憶は訓練期間中、全試行にわたって有効な記憶である。この二つの空間記憶を要する課題の遂行に及ぼす海馬損傷の効果が検討された結果、海馬は空間作業記憶にも空間参照記憶の両機能を有していると考えられた(Okaichi & Oshima, 1990)。 | 8方向放射状迷路(Olton,1978)での空間課題の遂行時に、動物がおかすエラーのパターン分析から、空間記憶は参照記憶と作業記憶に分類された。例えば、8走路のうちの特定の4走路に報酬を置き、これらを選択させる課題の訓練をする時、動物が報酬のない走路を選択せず、報酬のある走路のみに一度だけ訪れれば、この課題を最も効率よく解決したといえる。そのためには、動物はその試行で既に訪れた走路はどこであるかを記憶する必要があり、これが空間作業記憶である。また、報酬が置かれる走路、または決して置かれることない走路はどこであるかを記憶する必要があり、これが空間参照記憶である。空間作業記憶は、その試行で選択した走路と選択していない走路を、装置の外にある環境刺激との位置関係において保持し、その次の試行ではキャンセルされる記憶である。このように1試行にのみ有効な空間作業記憶に対して、空間参照記憶は訓練期間中、全試行にわたって有効な記憶である。この二つの空間記憶を要する課題の遂行に及ぼす海馬損傷の効果が検討された結果、海馬は空間作業記憶にも空間参照記憶の両機能を有していると考えられた(Okaichi & Oshima, 1990)。 | ||
=== | === 自己中心的枠組みと他者中心的枠組み === | ||
空間情報は、自己中心的枠組みに基づくものと他者中心的枠組みに基づくものに分類される。自己中心的枠組みとは、空間を移動する動物自身を基軸として右方向、左方向といった空間情報であり、その情報処理には海馬の機能を必要としない。これに対して、他者中心的枠組みとは、絶対空間内の空間表象に基づく空間情報であり、海馬がその機能を担う。 | |||
== 空間記憶の神経基盤 == | == 空間記憶の神経基盤 == | ||
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神経毒の微量投与による局所破壊法を用いた研究でも、海馬を構成する3領域(CA1,CA3,歯状回)の機能が異なることが水迷路課題を行動指標として示された。訓練前に各領域を損傷されたラットの空間記憶障害の重篤さは歯状回を破壊したラットで最もひどく、CA1損傷ラットでは全海馬損傷ラットと同程度であり、CA3損傷ラットでは障害は示されなかった(Okada & Okaichi, 2009)。したがって、空間記憶の形成に歯状回とCA1領域は役割を担う一方で、CA3領域は空間記憶の形成に関与しないといえる。ただし、歯状回損傷の効果は障害の程度が著しく、空間記憶以外の行動障害をもたらしている可能性も残る。 | 神経毒の微量投与による局所破壊法を用いた研究でも、海馬を構成する3領域(CA1,CA3,歯状回)の機能が異なることが水迷路課題を行動指標として示された。訓練前に各領域を損傷されたラットの空間記憶障害の重篤さは歯状回を破壊したラットで最もひどく、CA1損傷ラットでは全海馬損傷ラットと同程度であり、CA3損傷ラットでは障害は示されなかった(Okada & Okaichi, 2009)。したがって、空間記憶の形成に歯状回とCA1領域は役割を担う一方で、CA3領域は空間記憶の形成に関与しないといえる。ただし、歯状回損傷の効果は障害の程度が著しく、空間記憶以外の行動障害をもたらしている可能性も残る。 | ||
Moserらの研究、東北大飯島らの研究 | Moserらの研究、東北大飯島らの研究 | ||
背側と腹側の機能分離 | 背側と腹側の機能分離 |
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