16,040
回編集
細編集の要約なし |
|||
98行目: | 98行目: | ||
1997年、Freyと[[w:Richard G. Morris|Morris]]は[[急性海馬スライス]]を用いて、[[CA1]]の独立した2つの[[Schaffer側枝]]を刺激する[[2経路実験]](two-pathway protocol)によって、独立した2つの入力が同じ神経細胞の異なるシナプスに収束した場合の各経路に誘導されたLTPに対する効果を検討した <ref name=ref37 /><ref name=ref39><pubmed> 9020359 </pubmed></ref> 。 | 1997年、Freyと[[w:Richard G. Morris|Morris]]は[[急性海馬スライス]]を用いて、[[CA1]]の独立した2つの[[Schaffer側枝]]を刺激する[[2経路実験]](two-pathway protocol)によって、独立した2つの入力が同じ神経細胞の異なるシナプスに収束した場合の各経路に誘導されたLTPに対する効果を検討した <ref name=ref37 /><ref name=ref39><pubmed> 9020359 </pubmed></ref> 。 | ||
彼らは、弱いテタヌス刺激によって誘導され数時間で減退する[[early-phase LTP]] ([[E-LTP]])は、異なる経路から同じ神経細胞集団に短い時間間隔(1時間以内)で[[late-phase LTP]] ([[L-LTP]])を誘導する強い入力が入ることで、新規タンパク質合成依存的に数時間から一日以上持続するL-LTPに固定化されることを示した。この結果から、弱いテタヌス刺激によって、タグがセッティングされたシナプスは、時間限定的かつ新規タンパク質合成依存的な神経可塑性関連遺伝子群(plasticity-related proteins; PRPs)のリクルート(ハイジャック)を経て安定化するという「シナプスタグ仮説」が提唱された('''図3''')。シナプスタグ機構は、L-LTPの入力特異性を保証すると共に、記憶を正確に脳内に保存する仕組みであると考えられる<ref name=ref40><pubmed>19443779</pubmed></ref> <ref name=ref41 | 彼らは、弱いテタヌス刺激によって誘導され数時間で減退する[[early-phase LTP]] ([[E-LTP]])は、異なる経路から同じ神経細胞集団に短い時間間隔(1時間以内)で[[late-phase LTP]] ([[L-LTP]])を誘導する強い入力が入ることで、新規タンパク質合成依存的に数時間から一日以上持続するL-LTPに固定化されることを示した。この結果から、弱いテタヌス刺激によって、タグがセッティングされたシナプスは、時間限定的かつ新規タンパク質合成依存的な神経可塑性関連遺伝子群(plasticity-related proteins; PRPs)のリクルート(ハイジャック)を経て安定化するという「シナプスタグ仮説」が提唱された('''図3''')。シナプスタグ機構は、L-LTPの入力特異性を保証すると共に、記憶を正確に脳内に保存する仕組みであると考えられる<ref name=ref40><pubmed>19443779</pubmed></ref> <ref name=ref41>'''Okada D, Inokuchi K'''<br>Activity-Dependent Protein Transport as a Synaptic Tag.<br>In ''Synaptic Tagging and Capture From Synapses to Behavior'' | ||
Edited by Sajikumar, Sreedharan: Springer; 2015:79-98. | Edited by Sajikumar, Sreedharan: Springer; 2015:79-98.</ref>。 | ||
=== 行動タグ === | === 行動タグ === |