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[[ファイル:記憶想起図2.png|サムネイル|右|350px|'''図2. 記憶痕跡細胞のセルアセンブリモデル'''<br> 学習時に活動したニューロン(オレンジ)の間のシナプス結合が強まり、セルアセンブリを形成し、記憶がセルアセンブリとして[[符号化]]されて脳内に蓄えられる。そのため、なんらかのきっかけでこれらのニューロンの一部が活動すると、強いシナプス伝達で連絡されたニューロンセット(オレンジ)が再び同時活動する。これにより記憶が想起される。]] | |||
脳内には学習時の刺激に応答して活動するニューロン群が存在するが、それら活動したニューロン群は強い[[シナプス]]結合で結ばれ、[[セルアセンブリ]]([[細胞集成体]])を形成し、記憶はその中に[[符号化]]して蓄えられると想定されている。つまり記憶は、学習時に活動した特定のニューロンの集団という形で脳のなかに保存される。 | 脳内には学習時の刺激に応答して活動するニューロン群が存在するが、それら活動したニューロン群は強い[[シナプス]]結合で結ばれ、[[セルアセンブリ]]([[細胞集成体]])を形成し、記憶はその中に[[符号化]]して蓄えられると想定されている。つまり記憶は、学習時に活動した特定のニューロンの集団という形で脳のなかに保存される。 | ||
このような学習時に活動した特定のニューロン集団という形で脳内に残った物理的な痕跡のことを[[記憶痕跡]](memory engram)と呼び、2012年、[[wj:利根川進|利根川進]]らのグループにより記憶痕跡の物理的存在が示された<ref name=ref1><pubmed>22441246</pubmed></ref>。何らかのきっかけでこのニューロン集団に属する一部のニューロンが活動すると、強いシナプス結合で結ばれたニューロン集団全体が活動し、その結果として記憶が[[想起]]されると考えられている(図2)。また、記憶は学習した当時とまったく同じ状況ではなくとも類似した状況など一部の手がかりでその記憶全体を想起することが可能である。 | このような学習時に活動した特定のニューロン集団という形で脳内に残った物理的な痕跡のことを[[記憶痕跡]](memory engram)と呼び、2012年、[[wj:利根川進|利根川進]]らのグループにより記憶痕跡の物理的存在が示された<ref name=ref1><pubmed>22441246</pubmed></ref>。何らかのきっかけでこのニューロン集団に属する一部のニューロンが活動すると、強いシナプス結合で結ばれたニューロン集団全体が活動し、その結果として記憶が[[想起]]されると考えられている('''図2''')。また、記憶は学習した当時とまったく同じ状況ではなくとも類似した状況など一部の手がかりでその記憶全体を想起することが可能である。 | ||
このように不完全な情報から完全な情報の神経活動パターンを再現し、記憶を想起する働きは[[パターン完成]] (pattern completion)と呼ばれ,[[海馬]][[CA3]]領域内のフィードバック機能をもつ[[リカレント回路]]([[反回性回路]])にその機能があると想定されている<ref name=ref2><pubmed>24198767</pubmed></ref>。 | このように不完全な情報から完全な情報の神経活動パターンを再現し、記憶を想起する働きは[[パターン完成]] (pattern completion)と呼ばれ,[[海馬]][[CA3]]領域内のフィードバック機能をもつ[[リカレント回路]]([[反回性回路]])にその機能があると想定されている<ref name=ref2><pubmed>24198767</pubmed></ref>。 |