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Yasunori Murakami (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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4、比較形態学・発生学からみた間脳の形態 | 4、比較形態学・発生学からみた間脳の形態 | ||
間脳の領域構成については、形態学、組織学、そして発生学の観点から様々な研究が行われてきた。Rendahl(1924)は間脳がsynencephalonとposterior/anterior parencephalonに分けられることを指摘している[19]。近年の分子発生学の発展に伴い、ニワトリやマウス、アフリカツメガエル等を用いて、間脳の領域が転写因子などの領域マーカー遺伝子の発現と照らし合わせて調べられ、発生期にみられるプロソメアとの対応関係が示されてきた。synencephalonとposterior/anterior parencephalonはプロソメア1とプロソメア2/3におおよそ対応している。プロソメア1に含まれる領域はさらにprecommissural、juxtacommissural、commissuralの三つの領域に細分されている[8][20]。 | 間脳の領域構成については、形態学、組織学、そして発生学の観点から様々な研究が行われてきた。Rendahl(1924)は間脳がsynencephalonとposterior/anterior parencephalonに分けられることを指摘している[19]。近年の分子発生学の発展に伴い、ニワトリやマウス、アフリカツメガエル等を用いて、間脳の領域が転写因子などの領域マーカー遺伝子の発現と照らし合わせて調べられ、発生期にみられるプロソメアとの対応関係が示されてきた。synencephalonとposterior/anterior parencephalonはプロソメア1とプロソメア2/3におおよそ対応している。プロソメア1に含まれる領域はさらにprecommissural、juxtacommissural、commissuralの三つの領域に細分されている[8][20]。 | ||
こうした知見を基に、現在では、成体の羊膜類、両生類、魚類の間脳は後ろから視蓋前域(Pretectum)、視床(Thalamus)、視床前域(Prethalamus)に分けられており、これらはそれぞれプロソメア1、2、3の背側要素(翼板)に対応している[1][2][6][7][8][20][21][22][23]。これらの構成は解剖学の教科書に見られる形態学的単位と対応しない場合がある。例えば従来の考えでは視蓋前域と松果体は共に視床上部に含まれているが、後者では視蓋前域(プロソメア1)と松果体(プロソメア2)は異なる領域である。また、腹側視床と視床(背側視床)は視床前域と視床という名称に変更されている[2]。最近の比較形態学的研究や発生学的研究ではプロソメアに基づくモデルが使われる場合が多いようである。プロソメアはPuellesとRubensteinによって発表されてから、間脳から終脳をカバーする大規模な分節として、菱脳のロンボメアと同じく重要な脳分節として捉えられてきた。プロソメア1から3の三つについては、現在ではこれらの領域は多くの研究者によって認められている。ただし、プロソメア3より前方にあるコンパートメントについては、現在も議論が続けられている(6、視床下部と終脳に関する発生基盤参照)。 | |||
5、魚類の間脳の形態と発生 | 5、魚類の間脳の形態と発生 | ||
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6、視床下部と終脳に関する発生基盤 | 6、視床下部と終脳に関する発生基盤 | ||
視床下部は、前脳の前方腹側で発生するが、他の間脳領域(プロソメア1〜3)とは発現する遺伝子の種類が異なる例が多い。視床下部は少なくともその一部は神経管の腹側の要素(基板)であると考えられており、基板を特徴づける''Shh''の発現が見られる。ただし''Shh''は視床下部の全域に発現するわけではない。また、転写因子である''Nkx2.1''が発現していることも視床下部の特徴である[28]。この遺伝子は実際に前脳腹側の形成に関わっている[29][30]。そして、視床下部領域と終脳とを合わせたものをひとつのコンパートメントと捉える考えが、プロソメアモデルを提唱したPuellesらの研究グループから出されている[2][31](図)。この視床下部−終脳コンパートメントはsecondary procencephalonと名付けられている。このモデルでは発生期の前脳は間脳(プロソメア1〜3)とsecondary procencephalonに分化するとされる。つまり、従来のモデルでは視床下部は間脳に含まれるが、このモデルでは視床下部はsecondary procencephalonに含まれる。前脳が後方の「間脳」と前方の「secondary procencephalon」にわかれるとする形態発生学的な根拠として、「間脳」領域の発生は腹側にある脊索の影響を受け、「secondary procencephalon」は脊索前板(prechordal plate)の影響を受けることが挙げられる。このモデルに従うなら、secondary procencephalonの背側部分が柊脳で、その腹側部分が視床下部となり、同時に視床下部が神経管の最も前方の領域となる[31]。secondary procencephalonはさらにhypotyalamo-telencephalic prosomere 1と2(HP1とHP2)に細分されている。HP1が後方でHP2が前方である。視床下部はHP1に含まれる部分がpeduncular hypothalamus(PHy)、HP2に含まれる部分がterminal hypothalamus(THy)と名付けられている(図)。終脳ではHP1が外套(Pallium)と外套下部(subpallium)の多くの領域を占め、HP2は視索前野と前交連を含む領域を占める。さらに真骨魚類では終脳と視床下部の間にあるoptic recess region(視交叉陥凹部;目の網膜も含む)を一つのユニットとして認め、secondary procencephalonを三つのパートに分ける考えも出されている[32]。 | |||
7、間脳発生機構の起源 | 7、間脳発生機構の起源 |
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