「遺伝子多型」の版間の差分

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連鎖解析とは異なり、遺伝的関連解析の原理は連鎖不平衡である。このことから、SNPについてもこれまでに述べた連鎖解析用のマーカーとは異なる特徴が見られる。すなわち、全ゲノムを調べたいからと言って全てのSNPを実験的に得る必要はない。なぜなら、連鎖不平衡(有限集団において、減衰した連鎖の影響が集団レベルで観察されることによりみられる近傍の遺伝的多型同士の相関関係)を考えると、相関の強い一群のSNPセットの中から数個のSNP(tagSNP)だけを得れば、そのtagSNPと連鎖不平衡にあるSNPについては見たも同然なのである。逆にいうと、あまり何も考えずSNP密度を増やしたからと行って解像度が高まるわけではない。したがって、遺伝的多型の中でもtagSNPであるかどうか、がGWASにおいては重要である。
連鎖解析とは異なり、遺伝的関連解析の原理は連鎖不平衡である。このことから、SNPについてもこれまでに述べた連鎖解析用のマーカーとは異なる特徴が見られる。すなわち、全ゲノムを調べたいからと言って全てのSNPを実験的に得る必要はない。なぜなら、連鎖不平衡(有限集団において、減衰した連鎖の影響が集団レベルで観察されることによりみられる近傍の遺伝的多型同士の相関関係)を考えると、相関の強い一群のSNPセットの中から数個のSNP(tagSNP)だけを得れば、そのtagSNPと連鎖不平衡にあるSNPについては見たも同然なのである。逆にいうと、あまり何も考えずSNP密度を増やしたからと行って解像度が高まるわけではない。したがって、遺伝的多型の中でもtagSNPであるかどうか、がGWASにおいては重要である。


その後現在では、CNVアレイ結果を用いたGWAS<ref><pubmed> 2036073</pubmed></ref>17、さらにはエクソームシークエンスやWGSによるGWAS<ref><pubmed>25487149</pubmed></ref><ref><pubmed></pubmed></ref>18,19が行われていたり、レアバリアントを搭載したアレイであるエクソームチップが使用されていて<ref name=Marouli2017/>11、これらはSNPに限らず幅広い種類の遺伝的バリアントを用いて、多型マーカーに頼らず原因バリアントを直接観察しようとしていることを意味する。
その後現在では、CNVアレイ結果を用いたGWAS<ref><pubmed> 2036073</pubmed></ref>17、さらにはエクソームシークエンスやWGSによるGWAS<ref><pubmed>25487149</pubmed></ref><ref><pubmed>27398621</pubmed></ref>18,19が行われていたり、レアバリアントを搭載したアレイであるエクソームチップが使用されていて<ref name=Marouli2017/>11、これらはSNPに限らず幅広い種類の遺伝的バリアントを用いて、多型マーカーに頼らず原因バリアントを直接観察しようとしていることを意味する。


とはいえ、エクソームシークエンスと比べるとSNPアレイは非遺伝子領域をきちんとカバーするし、WGSと比べるとSNPアレイはいまでもかなり安価である。CNVについては、結局SNPと連鎖不平衡にあるという評価であり、全ゲノムCNVを調べなくとも、GWASが検出した有意SNP周囲のCNVを探索(ファインマッピング)すれば足りそうだ。さらに、LDスコア回帰法<ref><pubmed>25642630</pubmed></ref>20のような最新の手法においては、たとえWGSの数千万バリアントの解析結果があったとしても、そこからわざわざ100万のtagSNPに結果を減らした方が遺伝統計学的に安定した妥当な結果を得られることが示されたり、あるいはWGSを元にしたシミュレーション解析によれば、WGS解析はSNPアレイを用いたGWASに対して、多因子形質マッピングにおけるアドバンテージはほとんどないとの推定がなされている(imputationをした場合<ref><pubmed>26323059</pubmed></ref>21)。遺伝統計学・量的遺伝学の界隈においては、SNPの役割はいまだ少しも減るところがない。
とはいえ、エクソームシークエンスと比べるとSNPアレイは非遺伝子領域をきちんとカバーするし、WGSと比べるとSNPアレイはいまでもかなり安価である。CNVについては、結局SNPと連鎖不平衡にあるという評価であり、全ゲノムCNVを調べなくとも、GWASが検出した有意SNP周囲のCNVを探索(ファインマッピング)すれば足りそうだ。さらに、LDスコア回帰法<ref><pubmed>25642630</pubmed></ref>20のような最新の手法においては、たとえWGSの数千万バリアントの解析結果があったとしても、そこからわざわざ100万のtagSNPに結果を減らした方が遺伝統計学的に安定した妥当な結果を得られることが示されたり、あるいはWGSを元にしたシミュレーション解析によれば、WGS解析はSNPアレイを用いたGWASに対して、多因子形質マッピングにおけるアドバンテージはほとんどないとの推定がなされている(imputationをした場合<ref><pubmed>26323059</pubmed></ref>21)。遺伝統計学・量的遺伝学の界隈においては、SNPの役割はいまだ少しも減るところがない。

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