「サイクリックAMP応答配列結合タンパク質」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
30行目: 30行目:
== 発現 ==
== 発現 ==
=== CREBの組織分布 ===
=== CREBの組織分布 ===
 CREBファミリー遺伝子は進化的によく保存されており、単一細胞である酵母から多細胞生物である植物や動物にいたる生物まで広く存在する。哺乳類においてCREBはほとんどの臓器、そしてそれらを構成する多様な細胞で発現しており、広範な生体機能に関わっている。例えば、CREBはマクロファージやT細胞およびB細胞に発現し、分化、増殖、生存を調節することにより免疫系制御に重要な役割を果たしている<ref name=Wen2010/>[5]。
 CREBファミリー遺伝子は進化的によく保存されており、単一細胞である酵母から多細胞生物である植物や動物にいたる生物まで広く存在する。哺乳類においてCREBはほとんどの臓器、そしてそれらを構成する多様な細胞で発現しており、広範な生体機能に関わっている。例えば、CREBは[[マクロファージ]]や[[T細胞]]および[[B細胞]]に発現し、分化、増殖、生存を調節することにより免疫系制御に重要な役割を果たしている<ref name=Wen2010/>[5]。


 神経系においては発生初期の神経板においてすでにCREBの発現が認められる。成熟した脳においては大脳、小脳、間脳、中脳などのほぼすべての脳領域でCREBの発現がみられる。また、これら脳領域において神経細胞およびグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト)ともにCREBを恒常的に発現している。なお、CREBを活性化させる主要なシグナル経路は細胞種によって異なり、このため細胞種あるいは領域特異的なCREBの多様な機能が実現されていると考えられている<ref name=Lonze2002><pubmed>12194863</pubmed></ref>[11]。
 神経系においては発生初期の[[神経板]]においてすでにCREBの発現が認められる。成熟した脳においては[[大脳]]、[[小脳]]、[[間脳]]、[[中脳]]などのほぼすべての脳領域でCREBの発現がみられる。また、これら脳領域において神経細胞および[[グリア細胞]]([[アストロサイト]]、[[オリゴデンドロサイト]])ともにCREBを恒常的に発現している。なお、CREBを活性化させる主要なシグナル経路は細胞種によって異なり、このため細胞種あるいは領域特異的なCREBの多様な機能が実現されていると考えられている<ref name=Lonze2002><pubmed>12194863</pubmed></ref>[11]。


=== CREBの細胞内分布 ===
=== CREBの細胞内分布 ===
 恒常的に転写されているCREB mRNAは細胞体にて翻訳された後、合成されたCREBタンパク質は速やかに核に移行し、その後は核内に存在する。核内においてCREBは2量体を形成しDNAに結合した状態にあると考えられている。このためNF-κBやエストロゲン受容体など他の転写因子にみられるような細胞質-核移行による活性化様式ではなく、リン酸化などのタンパク質翻訳後修飾がCREBによる転写活性化を制御する主な機構となっている(次項参照)。
 恒常的に転写されているCREB mRNAは細胞体にて翻訳された後、合成されたCREBタンパク質は速やかに核に移行し、その後は核内に存在する。核内においてCREBは2量体を形成しDNAに結合した状態にあると考えられている。このため[[NF-κB]]や[[エストロゲン受容体]]など他の転写因子にみられるような細胞質-核移行による活性化様式ではなく、リン酸化などのタンパク質[[翻訳後修飾]]がCREBによる転写活性化を制御する主な機構となっている(次項参照)。


== リン酸化による制御 ==
== リン酸化による制御 ==

案内メニュー