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Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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<font size="+1">[https://researchmap.jp/read0119388 田岡三希]</font><br> | <font size="+1">[https://researchmap.jp/read0119388 田岡三希]</font><br> | ||
'' | ''理化学研究所 生命機能科学研究センター 象徴概念発達研究チーム''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:20018年3月12日 原稿完成日:<br> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:20018年3月12日 原稿完成日:<br> | ||
担当編集委員<br> | 担当編集委員<br> | ||
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英語名:primary somatosensory cortex<br> | 英語名:primary somatosensory cortex、 first somatosensory cortex<br> | ||
同義語:第一次体性感覚野、第一体性感覚野 | 同義語:第一次体性感覚野、第一体性感覚野 | ||
{{box|text= | |||
{{box|text= 一次体性感覚野は、頭頂葉最前部に位置し、中心溝に沿って内外側に帯状に広がる大脳皮質の脳領域で、ブロードマン脳地図の3a、3b、1、2野から構成される。視床中継核を経由して入力する末梢からの体性感覚情報を処理し、二次体性感覚野、頭頂連合野、運動野等に対象物の触識別や運動制御に必要な体性感覚情報を出力する重要な一次感覚皮質である。} | |||
== 一次体性感覚野とは == | == 一次体性感覚野とは == | ||
一次体性感覚野は[[頭頂葉]]前部の[[中心後回]]のうち、[[ブロードマン脳地図]]の[[3a]]、[[3b]]、[[1野|1]]、[[2野]]を含む領域をさす。[[中心溝]]に沿って内外側に帯状に広がる大脳皮質の領域で、[[視床中継核]]を経由して入力する末梢からの体性感覚情報を処理し、対象物の触識別や運動制御に必要な体性感覚情報を二次体性感覚野、頭頂連合野、運動野等に出力する重要な一次感覚皮質である。 | |||
人を含む多くの[[哺乳類]]の[[大脳皮質]]で存在が確認されているが、ここでは主に[[マカク属]][[サル]]、[[ヒト]]の研究から得られた知見を中心にして説明する。 | 人を含む多くの[[哺乳類]]の[[大脳皮質]]で存在が確認されているが、ここでは主に[[マカク属]][[サル]]、[[ヒト]]の研究から得られた知見を中心にして説明する。 | ||
==構造== | ==構造== | ||
[[ファイル:Postcentral gyrus animation small.gif|サムネイル|'''図1. 一次体性感覚野'''<br>Wikipediaより。]] | [[ファイル:Postcentral gyrus animation small.gif|サムネイル|'''図1. 一次体性感覚野'''<br>Wikipediaより。]] | ||
<u> | <u>(編集部コメント:図以外のコメントがありませんでした。)</u> | ||
===肉眼解剖=== | ===肉眼解剖=== | ||
一次体性感覚野は大脳皮質頭頂葉の前部の前頭葉に接する位置に存在し、中心溝に沿って内外側に帯状に広がる。内側は大脳半球内側面に、外側は[[シルヴィウス裂]]に達する。一般的には前方からブロードマン脳地図の3a、3b、1、2野の領域から構成されるとされている。前方は[[一次運動野]]([[4野]])、後方は[[頭頂連合野]]([[ブロードマン5野|5]]、[[ブロードマン7野|7野]])と接する。 | |||
===組織構築=== | ===組織構築=== | ||
<u> | 一次体性感覚野を構成する領野のうち、3b野はIV層が発達した典型的な顆粒皮質である。その前方の一次運動野と接する3a野は無顆粒皮質である4野との中間的特徴を示す。すなわち、IV層の顆粒細胞が減り、大型の錐体細胞が見られるようになる。3b野から後方に続く1野、2野では錐体細胞が増加し、頭頂連合野の特徴に近づく。これらの細胞構築学的特徴はマカク属サルで詳細な報告がある (Jones et al 1978, Powell and Mountcastle 1959, 岩村 2017)<u>編集部:リンクつける</u>。 | ||
===入出力=== | ===入出力=== | ||
末梢からの体性感覚情報のうち[[視床中継核]]を経由して、[[深部感覚]]は[[3a野]]に[[皮膚感覚]]は[[3b野]]に主に入力する。これらの情報は1、2野に運ばれる。また、3a野は4野にも連絡する。これらの各領野はその外側に存在する二次体性感覚野を含む頭頂弁蓋部体性感覚野に連絡している。また、最後部の2野には5野7野などの頭頂連合野及び運動野と連絡がある。 | |||
=== 他のほ乳類の一次体性感覚野とKaasの説 === | |||
霊長類以外のほ乳類でも一次体性感覚野の報告が多数ある。Kaasは種々のほ乳類の一次体性感覚野を系統樹に沿って比較検討し、ほぼ共通する特徴として、以下の点を明らかにした<ref name=Kaas2004><pubmed>15470673</pubmed></ref> [1]。それによると一次体性感覚野とひとくくりにされた領域には、IV層が発達し視床中継核から直接投射を受ける領域とその前方(SR rostral somatosensory area)及び後方(SC、caudal somatosensory area)に位置する領域の計3領域があるという。そして、神経連絡や細胞構築的特徴および触刺激に対する応答性からSRは3a野に、SCは1野に、そしてSRとSCによって前後に挟まれる領域は3b野にそれぞれ相当する領域とした。更に、このSRとSCに挟まれた3b野に相当する領域が、発達したIV層と視床からの直接投射という一次感覚皮質としての特徴を持つことから一次体性感覚野とすべきであるとした。げっ歯類等で見られる[[バレル皮質]]については、高[[チトクロームオキシダーゼ]]活性を示す領域が3b野に相当し、その周辺領域はSC(1野)に相当するという。 | |||
==機能== | ==機能== | ||
身体反対側の各体部位からの情報は、おおよその身体の配置に従って一次体性感覚野に入力するため、反対側の[[体部位再現]]図が存在する。マカク属サルを用いた麻酔下で行われた多くの電気生理学的研究は、各領野にそれぞれ体部位再現図が存在することを明らかにした<ref name=Kaas2004 | === 体部位再現 === | ||
身体反対側の各体部位からの情報は、おおよその身体の配置に従って一次体性感覚野に入力するため、反対側の[[体部位再現]]図が存在する。マカク属サルを用いた麻酔下で行われた多くの電気生理学的研究は、各領野にそれぞれ体部位再現図が存在することを明らかにした<ref name=Kaas2004/>( Kaas 2004)。 | |||
=== 階層的情報処理 === | === 階層的情報処理 === | ||
無麻酔下のマカク属サルから単一神経活動を記録し、種々の体性感覚刺激に対する応答を詳細に解析する研究が多数行われた。岩村らのグループは、主に手指を再現する領域を調べた結果、3b野では、例えばある指の一つの指節の掌側などに限局した非常に狭い[[受容野]] | 無麻酔下のマカク属サルから単一神経活動を記録し、種々の体性感覚刺激に対する応答を詳細に解析する研究が多数行われた。岩村らのグループは、主に手指を再現する領域を調べた結果、3b野では、例えばある指の一つの指節の掌側などに限局した非常に狭い[[受容野]]を持つニューロンが記録されるが、1野、2野に行くに従い、複数の指にまたがる大きな受容野を持つニューロンが記録されることを明らかにした<ref><pubmed>8454001</pubmed></ref>(Iwamura et al. 1993)。 | ||
また、2野では、受容野の拡大に加え、皮膚感覚と深部感覚の統合、物体のエッジや特殊な材質、皮膚上を動く刺激など複雑な刺激に対する特異的な応答など対象物の特徴抽出に関連した性質を示すニューロンが存在することから、視床中継核からの体性感覚情報が一次体性感覚野の3b野から後方の1野や2野に運ばれる過程で徐々に統合されるという階層的情報処理が行われていることを明らかにした<ref name=Iwamura1998><pubmed>9751655</pubmed></ref><ref name=Iwamura2000><pubmed>10724460</pubmed></ref>(Iwamura 1998, 2000)。この階層的情報処理は、無麻酔マカク属サルを用いた体幹、下肢、口腔など他の体部位再現領域を対象にした研究でも確認された <ref name=Taoka1998><pubmed>9860270</pubmed></ref><ref name=Taoka2000><pubmed>11037280</pubmed></ref><ref><pubmed>12410339</pubmed></ref><ref><pubmed>15014923</pubmed></ref><ref><pubmed>16307237</pubmed></ref>(Taoka et al. 1998、2000、Toda and Taoka 2002, 2004,2006)。 | |||
これらの情報が他の高次の領域に運ばれ、対象物の触識別に貢献していると考えられる。 | |||
<u>編集部:ここまで改稿確認。</u> | |||
=== 身体両側の統合 === | === 身体両側の統合 === |