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Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細 (→RNAの編集) |
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==== CRISPR/Cas13(C2c2)システム ==== | ==== CRISPR/Cas13(C2c2)システム ==== | ||
Feng Zhangのグループは微生物ゲノムデータベースを探索し、クラス2タイプⅥ型CRISPR/CasシステムのCas13(C2c2)が、標的RNAに相補的なRNA依存性に一本鎖RNAを切断する酵素であることを見つけた<ref><pubmed>27256883</pubmed></ref>[16]。Leptotrichia wadei由来のCas13a(LwaCas13a)をCRISPRシステムに組み込んだ系は、標的RNAを高効率かつ高い特異性でノックダウンすることができる<ref name=Abudayyeh2017><pubmed>28976959</pubmed></ref>[17]。CRISPR/Cas13aを用いた標的RNAのノックダウンはRNA干渉法(RNAi)に比べ、1)オフターゲットが少ない、2)長鎖ノンコーディングRNAの発現を抑制できる、などの利点がある。 | Feng Zhangのグループは微生物ゲノムデータベースを探索し、クラス2タイプⅥ型CRISPR/CasシステムのCas13(C2c2)が、標的RNAに相補的なRNA依存性に一本鎖RNAを切断する酵素であることを見つけた<ref><pubmed>27256883</pubmed></ref>[16]。Leptotrichia wadei由来のCas13a(LwaCas13a)をCRISPRシステムに組み込んだ系は、標的RNAを高効率かつ高い特異性でノックダウンすることができる<ref name=Abudayyeh2017><pubmed>28976959</pubmed></ref>[17]。CRISPR/Cas13aを用いた標的RNAのノックダウンはRNA干渉法(RNAi)に比べ、1)オフターゲットが少ない、2)長鎖ノンコーディングRNAの発現を抑制できる、などの利点がある。 | ||
さらに、失活させたCas13a(dCas13a)に蛍光タンパク質を融合させることにより、目的のRNAを可視化することができる<ref name=Abudayyeh2017/>[17]。最近、Cas13aより高効率かつ高い特異性で標的RNAをノックダウンすることができるCas13bが同定された<ref><pubmed>29070703</pubmed></ref>[18]。Cas13は、pre-CRISPR RNAをプロセッシングしcrRNAを生成できる活性を持っており、多数の標的RNAを含んだpre-CRISPR RNAをガイドRNAとして用いることにより、一度に多くのRNAをノックダウンできる<ref name=Abudayyeh2017/>[17]。 | さらに、失活させたCas13a(dCas13a)に蛍光タンパク質を融合させることにより、目的のRNAを可視化することができる<ref name=Abudayyeh2017/>[17]。最近、Cas13aより高効率かつ高い特異性で標的RNAをノックダウンすることができるCas13bが同定された<ref name=Cox2017><pubmed>29070703</pubmed></ref>[18]。Cas13は、pre-CRISPR RNAをプロセッシングしcrRNAを生成できる活性を持っており、多数の標的RNAを含んだpre-CRISPR RNAをガイドRNAとして用いることにより、一度に多くのRNAをノックダウンできる<ref name=Abudayyeh2017/>[17]。 | ||
==== CRISPR/dCas13-ADARシステム ==== | ==== CRISPR/dCas13-ADARシステム ==== | ||
Feng Zhangのグループは、失活させたCas13b(dCas13b)にRNAデアミネース(RNAのアデニン(A)をイノシン(I)に変化させる酵素,ADAR)を融合させ、標的RNAを編集できる系を確立した(REPAIR, RNA Editing for Programmable A to I Replacement、図3)[18]。この系は、RNAの変異を正常に戻すことができる。さらに、RNAを標的にした編集はオフターゲットが起きてもその影響は一過性であり、遺伝子治療としては安全性が高い。 | Feng Zhangのグループは、失活させたCas13b(dCas13b)にRNAデアミネース(RNAのアデニン(A)をイノシン(I)に変化させる酵素,ADAR)を融合させ、標的RNAを編集できる系を確立した(REPAIR, RNA Editing for Programmable A to I Replacement、図3)<ref name=Cox2017/>[18]。この系は、RNAの変異を正常に戻すことができる。さらに、RNAを標的にした編集はオフターゲットが起きてもその影響は一過性であり、遺伝子治療としては安全性が高い。 | ||
== CRISPR/Casシステムの神経科学への応用 == | == CRISPR/Casシステムの神経科学への応用 == |