「一次体性感覚野」の版間の差分

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=== 自己身体の触刺激部位の同定に関する研究===
=== 自己身体の触刺激部位の同定に関する研究===
 体部位局在が存在する一次体性感覚野は自己身体に接触刺激を与えた際、その刺激部位の同定([[tactile localization]])に重要な役割を果たしていると考えられる。しかし、自己身体刺激部位の同定には、他の高次脳領域が深く関わることを明らかにした研究が行われた。被験者の異なる指に接触刺激を加えた直後に一次体性感覚野後部に[[経頭蓋磁気刺激]]([[TMS]])を加える実験では<ref><pubmed>17239452</pubmed></ref>、刺激後150msのTMSでは、被験者は刺激の検出をすることが出来たが、どの指が刺激されたか(tactile localization)を答えることが出来なかった。しかし、300ms後のTMSでは、刺激された指を答えることが出来た。このことは、触刺激の検出と刺激部位の同定が異なるプロセスであり、段階を踏んで連続的に行われることを示唆している。また、被験者の手指の異なる指節に接触刺激を加えた時の脳活動を[[fMRI]]で調べた実験では、刺激の検出には一次体性感覚野の活動が重要で、その刺激部位の同定に関しては、[[縁上回]]等の頭頂連合野の活動が重要である事が示された<ref><pubmed>25653609</pubmed></ref>(Kim et al. 2015)。
 体部位局在が存在する一次体性感覚野は自己身体に接触刺激を与えた際、その刺激部位の同定([[tactile localization]])に重要な役割を果たしていると考えられる。しかし、自己身体刺激部位の同定には、他の高次脳領域が深く関わることを明らかにした研究が行われた。被験者の異なる指に接触刺激を加えた直後に一次体性感覚野後部に[[経頭蓋磁気刺激]]([[TMS]])を加える実験では<ref><pubmed>17239452</pubmed></ref>、刺激後150msのTMSでは、被験者は刺激の検出をすることが出来たが、どの指が刺激されたか(tactile localization)を答えることが出来なかった。しかし、300ms後のTMSでは、刺激された指を答えることが出来た。このことは、触刺激の検出と刺激部位の同定が異なるプロセスであり、段階を踏んで連続的に行われることを示唆している。また、被験者の手指の異なる指節に接触刺激を加えた時の脳活動を[[fMRI]]で調べた実験では、刺激の検出には一次体性感覚野の活動が重要で、その刺激部位の同定に関しては、[[縁上回]]等の頭頂連合野の活動が重要である事が示された<ref><pubmed>25653609</pubmed></ref>


 これらの研究から、自己身体触刺激部位の同定には、体部位再現局在の情報を持つ一次体性感覚野の情報が、頭頂連合野など他の高次の脳領域に運ばれて処理されることが不可欠である事を示している。
 これらの研究は、自己身体触刺激部位の同定には、体部位再現局在の情報を持つ一次体性感覚野の情報が頭頂連合野など他の高次の脳領域に運ばれて処理されることが不可欠である事を示している。


==関連項目==
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