「ゲノム編集」の版間の差分

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=== 原理 ===
=== 原理 ===
[[Image:ゲノム図1.png|thumb|right|400px|'''図1. DNA二本鎖切断の修復機構を利用したゲノム編集''']]
[[Image:ゲノム図1.png|thumb|right|400px|'''図1. DNA二本鎖切断の修復機構を利用したゲノム編集''']]
 ゲノム編集は、狙ったゲノム部位にDNAの二本鎖切断を起こし、その後に誘導されるDNAの修復機構を利用し、標的ゲノムの破壊・塩基置換、標的ゲノム部位への外来遺伝子の挿入([[ノックイン]])などを可能にする技術である('''図1''')。細胞にはDNA二本鎖切断に対する2つの主要な修復機構が存在する。一つは、非相同末端結合(non-homologous end joining, NHEJ)であり、切断された末端同士を直接連結する。NHEJによる修復は、再連結の際、ヌクレオチドの欠失(数塩基から数百塩基)・挿入(数塩基から数十塩基)を高頻度で起こすため、修復の正確性は低い。従って、DNA二本鎖切断をタンパク質のコード領域に起こし、NHEJを利用しフレームシフトを起こすことにより遺伝子機能を破壊することができる。もう一つの修復機構である相同組換えは、外部から導入した鋳型DNAを利用して正確な修復を行う。鋳型DNAに塩基置換や他の遺伝子を挿入することにより、標的ゲノムの塩基置換や外来遺伝子のノックインをすることができる。
 ゲノム編集は、狙ったゲノム部位にDNAの二本鎖切断を起こし、その後に誘導されるDNAの修復機構を利用し、標的ゲノムの破壊・塩基置換、標的ゲノム部位への外来遺伝子の挿入([[ノックイン]])などを可能にする技術である('''図1''')。


 さらに、ゲノム編集技術を用いると、同一染色体上の2箇所を切断することにより、大きな欠失や逆位、異なる染色体を切断することにより、染色体転座を起こすことができ、染色体の編集も可能である。NHEJによる修復は、細胞周期を通して作動するが、相同組換えによる修復はS期からG2期にしか起こらず頻度は低い。
 細胞にはDNA二本鎖切断に対する2つの主要な修復機構が存在する。一つは、[[非相同末端結合]](non-homologous end joining, NHEJ)であり、切断された末端同士を直接連結する。NHEJによる修復は、再連結の際、[[wj:ヌクレオチド|ヌクレオチド]]の欠失(数塩基から数百塩基)・挿入(数塩基から数十塩基)を高頻度で起こすため、修復の正確性は低い。従って、DNA二本鎖切断をタンパク質のコード領域に起こし、NHEJを利用し[[wj:フレームシフト突然変異|フレームシフト]]を起こすことにより遺伝子機能を破壊することができる。
 
もう一つの修復機構である[[相同組換え]]は、外部から導入した鋳型DNAを利用して正確な修復を行う。鋳型DNAに塩基置換や他の遺伝子を挿入することにより、標的ゲノムの塩基置換や外来遺伝子の[[ノックイン]]をすることができる。
 
 さらに、ゲノム編集技術を用いると、同一[[wj:染色体|染色体]]上の2箇所を切断することにより、大きな欠失や逆位、異なる染色体を切断することにより、[[wj:転座|染色体転座]]を起こすことができ、染色体の編集も可能である。NHEJによる修復は、[[細胞周期]]を通して作動するが、相同組換えによる修復は[[S期]]から[[G2期]]にしか起こらず頻度は低い。


=== ツール ===
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