「デルタ型グルタミン酸受容体」の版間の差分

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== デルタ1受容体 ==
== デルタ1受容体 ==
 デルタ1受容体(GluD1)は成体では、大脳皮質、線条体、海馬、扁桃体中心核、小脳皮質など、多くの脳領域に発現するほか、内耳の有毛細胞に強く発現している。
 デルタ1受容体(GluD1)は成体では、大脳皮質、線条体、海馬、[[扁桃体中心核]]、小脳皮質など、多くの脳領域に発現するほか、[[内耳]]の[[有毛細胞]]に強く発現している。


 GluD1もCbln1(やそのファミリー分子)やニューレキシンとin vitroにて結合する。小脳では、分子層介在ニューロンの細胞体における平行線維とのシナプスにGluD1が局在する<ref name=Konno2014><pubmed>24872547</pubmed></ref> 。GluD1欠損マウスでは同シナプスが減少するので、GluD2と同様、ニューレキシン-Cbln1-GluD1の3者コンプレックスがシナプス形成に寄与していると考えられる。また、GluD1欠損マウスは高周波の聴覚障害を示すほか<ref name=Gao2007><pubmed>17438141</pubmed></ref> 、うつ様行動、攻撃性の亢進、社会性の障害などが見られ<ref name=Yadav2012><pubmed>23560106</pubmed></ref> 、以下に述べるヒトゲノム研究の成果も併せ、精神疾患との関連が示唆される。
 GluD1もCbln1(やそのファミリー分子)やニューレキシンとin vitroにて結合する。小脳では、分子層介在ニューロンの細胞体における平行線維とのシナプスにGluD1が局在する<ref name=Konno2014><pubmed>24872547</pubmed></ref> 。GluD1欠損マウスでは同シナプスが減少するので、GluD2と同様、ニューレキシン-Cbln1-GluD1の3者コンプレックスがシナプス形成に寄与していると考えられる。また、GluD1欠損マウスは高周波の聴覚障害を示すほか<ref name=Gao2007><pubmed>17438141</pubmed></ref> 、[[うつ病|うつ]]様行動、[[攻撃性]]の亢進、[[社会性]]の障害などが見られ<ref name=Yadav2012><pubmed>23560106</pubmed></ref> 、以下に述べるヒトゲノム研究の成果も併せ、[[精神疾患]]との関連が示唆される。


 GluD1の細胞内シグナリングについてはまだ十分分かっていない。GluD1欠損マウスでは、海馬においてmGluR5刺激によるAMPA受容体のエンドサイトーシスが障害されており、Akt-mTORシグナリングの亢進が示唆されている<ref name=Suryavanshi2016><pubmed>27231330</pubmed></ref> 。また、GluD1のC末端にもGluD2と同じPDZタンパク質が結合するので、シグナリング経路を共有する可能性がある。
 GluD1の細胞内シグナリングについてはまだ十分分かっていない。GluD1欠損マウスでは、海馬において[[mGluR5]]刺激によるAMPA型受容体受容体のエンドサイトーシスが障害されており、[[Akt]]-[[mTOR]]シグナリングの亢進が示唆されている<ref name=Suryavanshi2016><pubmed>27231330</pubmed></ref> 。また、GluD1のC末端にもGluD2と同じPDZタンパク質が結合するので、シグナリング経路を共有する可能性がある。


== GluDと疾患 ==
== GluDと疾患 ==

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