「到達運動」の版間の差分

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===[[小脳]]===
===[[小脳]]===
小脳は、運動学習に重要な役割をする。到達運動のプリズム適応は、小脳に障害があると適応が起こらない。Kitazawa らは、プリズムをかけて到達運動をした結果生じた目標との誤差の情報が、登上線維によるプルキンエ細胞に発生する複雑スパイクに表現されていることを明らかにした。つまり、運動の結果のエラーが登上線維によって、小脳皮質に入力されることを示した。一方、平行線維による単純スパイクは運動制御の信号が表現されている。眼球運動においては、小脳の単純スパイクが、逆モデルとしての小脳の役割を反映していると考えられている(Kawato, M., 1999)が、上肢運動においては順モデルとしての役割を反映しているという考えもある(Ishikawa et al., 2016)。
小脳は、運動学習に重要な役割をする。到達運動のプリズム適応は、小脳に障害があると起こらない。Kitazawa らは、到達運動をした結果生じた目標との誤差の情報が、登上線維によるプルキンエ細胞に発生する複雑スパイクに表現されていることを明らかにした。つまり、運動の結果のエラーが登上線維によって、小脳皮質に入力されることを示した。先に述べた、運動前野あるいは一次運動野におけるエラーの情報が、小脳に入力されている可能性がある。一方、平行線維による単純スパイクは運動制御の信号が表現されている。眼球運動においては、小脳の単純スパイクが、逆モデルとしての小脳の役割を反映していると考えられている(Kawato, M., 1999)が、上肢運動においては順モデルとしての役割を反映しているという考えもある(Ishikawa et al., 2016)。


===[[大脳基底核]]===
===[[大脳基底核]]===
大脳基底核の障害は、筋緊張の異常をもたらし、さまざまな不随意運動を誘発する。神経生理学的な研究と合わせて、大脳基底核は、必要な運動と不必要な運動を切り分け、必要な運動発現のタイミングの制御に関わっていると考えられている。大脳基底核は強化学習に関与することも明らかになっている。到達運動のプリズム適応や学習には、小脳の教師あり学習だけでなく、強化学習を組み込んだモデルも考えられている(Sakaguchi et al., 2001)(Izawa et al., 2004)。
大脳基底核の障害は、筋緊張の異常をもたらし、さまざまな不随意運動を誘発する。神経生理学的な研究と合わせて、大脳基底核は、必要な運動と不必要な運動を切り分け、必要な運動発現のタイミングの制御に関わっていると考えられている。大脳基底核は強化学習に関与することも明らかになっている。到達運動のプリズム適応や学習には、小脳の教師あり学習だけでなく、強化学習を組み込んだモデルも考えられている(Sakaguchi et al., 2001)(Izawa et al., 2004)。
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