「ゲノム編集」の版間の差分

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Nature Methods. 2018, 15(4):229-30. doi:10.1038/nmeth.4664</ref><ref>'''Schaefer KA, Darbo BW, Colgan DF, Tsang SH, Bassuk AG, Mahajan VB.'''<br>Corrigendum and follow-up: Whole genome sequencing of multiple CRISPR-edited mouse lines suggests no excess mutations.<br>bioRxiv. 2017, Posted Jun. 23. Doi: http://dx.org/10.1101/154450</ref>。
Nature Methods. 2018, 15(4):229-30. doi:10.1038/nmeth.4664</ref><ref>'''Schaefer KA, Darbo BW, Colgan DF, Tsang SH, Bassuk AG, Mahajan VB.'''<br>Corrigendum and follow-up: Whole genome sequencing of multiple CRISPR-edited mouse lines suggests no excess mutations.<br>bioRxiv. 2017, Posted Jun. 23. Doi: http://dx.org/10.1101/154450</ref>。


 在ゲノム編集で最もよく使われているSpCas9は''Streptococcus pyogenes''由来であり、DNA二本鎖切断の部位を決めるには標的DNA配列の下流に隣接するNGGというPAM配列が必要である。このPAM配列の制約により、ゲノムの全ての場所を編集できないという制限があった。David Liuのグループは、[[phage-assisted continuous evolution]] ([[PACE]])を利用して、NG、GAAおよびGATをPAMとするSpCas9変異体 (xCas9)の作成に成功した<ref><pubmed>29512652</pubmed></ref>。さらに、濡木らのグループは、SpCas9に7つのアミノ酸置換を導入し、NGをPAM配列として認識するSpCas9-NGを開発した[10]。野生型SpCas9はPAM配列としてNGGを要求するため、確率的にゲノムの1/16しか標的にできなかったが、SpCas9-NGはNGをPAM配列として認識するため、野生型の4倍のゲノム領域を標的とすることができる。Sp-Cas9は、培養細胞においてxCas9より高いDNA切断活性を持っている。
 在ゲノム編集で最もよく使われているSpCas9は''Streptococcus pyogenes''由来であり、DNA二本鎖切断の部位を決めるには標的DNA配列の下流に隣接するNGGというPAM配列が必要である。このPAM配列の制約により、ゲノムの全ての場所を編集できないという制限があった。David Liuのグループは、[[phage-assisted continuous evolution]] ([[PACE]])を利用して、NG、GAAおよびGATをPAMとするSpCas9変異体 (xCas9)の作成に成功した<ref><pubmed>29512652</pubmed></ref>。さらに、濡木らのグループは、SpCas9に7つのアミノ酸置換を導入し、NGをPAM配列として認識するSpCas9-NGを開発した<ref><pubmed> 30166441 </pubmed></ref>。野生型SpCas9はPAM配列としてNGGを要求するため、確率的にゲノムの1/16しか標的にできなかったが、SpCas9-NGはNGをPAM配列として認識するため、野生型の4倍のゲノム領域を標的とすることができる。Sp-Cas9は、培養細胞においてxCas9より高いDNA切断活性を持っている。
 従来、Cas9によるDNA二本鎖切断により誘導される標的部位での変異は20塩基未満の欠失・挿入であると考えられていた。しかし、ロングレンジPCR解析などにより、標的部位に大規模な欠失や逆位などの複雑な再編が起こることが報告された[11][12]。従って、ゲノム編集が目的通りに行われたかどうかは、サザンブロット解析などのにより慎重に行う必要がある。
 
 従来、Cas9によるDNA二本鎖切断により誘導される標的部位での変異は20塩基未満の欠失・挿入であると考えられていた。しかし、ロングレンジPCR解析などにより、標的部位に大規模な欠失や逆位などの複雑な再編が起こることが報告された<ref><pubmed> 30010673 </pubmed></ref><ref><pubmed> 30837594 </pubmed></ref>。従って、ゲノム編集が目的通りに行われたかどうかは、サザンブロット解析などのにより慎重に行う必要がある。


==== CRISPR/Cpf1====
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