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===錐体=== | ===錐体=== | ||
錐体は明るいところで物を見る際に働く細胞である。錐体が働いているときの視覚を[[明所視]]と呼ぶ。錐体には、異なる波長の光に選択的に応答する複数の種類が存在する。たとえば、ヒトでは、三種類の錐体(吸収する光の波長が長いものから[[L錐体]]、[[M錐体]]、[[S錐体]]とよぶ)が存在する。それぞれの錐体には、それぞれの波長の光を吸収する光受容タンパク質([[錐体型視物質]])が発現している。明るい光環境下では、この3種類の錐体を使って光の波長を弁別することができる([[三色型色覚]])。 | 錐体は明るいところで物を見る際に働く細胞である。錐体が働いているときの視覚を[[明所視]]と呼ぶ。錐体には、異なる波長の光に選択的に応答する複数の種類が存在する。たとえば、ヒトでは、三種類の錐体(吸収する光の波長が長いものから[[L錐体]]、[[M錐体]]、[[S錐体]]とよぶ)が存在する。それぞれの錐体には、それぞれの波長の光を吸収する光受容タンパク質([[錐体型視物質]])が発現している。明るい光環境下では、この3種類の錐体を使って光の波長を弁別することができる([[三色型色覚]])。 | ||
なお、哺乳類以外の脊椎動物では、4種類の錐体をもつ[[四色型色覚]]が一般的である。また、桿体にも波長感受性の異なる複数の種類が存在する場合があり、この場合は暗いところでも波長識別ができると考えられている。 | |||
== 基本構造 == | == 基本構造 == | ||
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光に対する感度は桿体の方が数十倍から1000倍ほど高い。この違いのため、錐体は明るいところでものを見るとき(明所視)に働き、桿体は暗いところでものを見るときに働く(暗所視)。応答の持続時間は錐体の方が短い。このため、錐体が働く明るい光環境下では、高い時間分解能で光刺激の変化を検出できる。このように異なった応答特性の二種類の視細胞を使い分けることにより、動物は様々な光環境で物を見ることができる。 | 光に対する感度は桿体の方が数十倍から1000倍ほど高い。この違いのため、錐体は明るいところでものを見るとき(明所視)に働き、桿体は暗いところでものを見るときに働く(暗所視)。応答の持続時間は錐体の方が短い。このため、錐体が働く明るい光環境下では、高い時間分解能で光刺激の変化を検出できる。このように異なった応答特性の二種類の視細胞を使い分けることにより、動物は様々な光環境で物を見ることができる。 | ||
桿体と錐体の応答形成メカニズムは相同であるが、応答形成メカニズムに関わる酵素の多くについて、桿体では桿体型、錐体では錐体型の酵素が発現している。このため、錐体と桿体では応答形成に関わる酵素反応の速度・効率が異なる<ref name=ref18514002 ></ref> | 桿体と錐体の応答形成メカニズムは相同であるが、応答形成メカニズムに関わる酵素の多くについて、桿体では桿体型、錐体では錐体型の酵素が発現している。このため、錐体と桿体では応答形成に関わる酵素反応の速度・効率が異なる<ref name=ref18514002 ></ref>。たとえば、桿体では錐体よりも視物質によるトランスデューシンの活性化の効率が高い<ref><pubmed> 23045532 </pubmed></ref>[17]。また、応答を停止させる反応の効率は、錐体の方が高い<ref>'''Kawamura S, Tachibanaki S.''' <br>Explaining the functional differences of rods versus cones <br>''WIREs Membr Transp Signal'' 2012, 1:675–683</ref>。このような違いにより、桿体と錐体の応答特性は異なってくると考えられる。 | ||
Explaining the functional differences of rods versus cones <br> | |||
''WIREs Membr Transp Signal'' 2012, 1:675–683 | |||
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==無脊椎動物の視細胞== | ==無脊椎動物の視細胞== |