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| <font size="+1">山形方人</font><[[br]]> | | <font size="+1">[http://researchmap.jp/yamagatm 山形方人]</font><br> |
| ''Harvard University''<br> | | ''Harvard University''<br> |
| DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:年月日 原稿完成日:年月日<br> | | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:年月日 原稿完成日:年月日<br> |
| 担当編集委員:<br> | | 担当編集委員:<br> |
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| 英:single cell RNA sequencing, scRNA-seq | | 英:single cell RNA sequencing, scRNA-seq |
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| シングルセルRNAシーケンシング(scRNA-seq)は、次世代シーケンシング (Next Generation Sequencing、NGS)技術を使用して個々の細胞が発現しているmRNA全体、つまりトランスクリプトームを質的、量的に網羅的に調べ、細胞ごとの違いを高解像度で検出、分類することで、細胞の分類を行うことができる技術である。また、刺激、発生など細胞の状況に応じて、個々の細胞のトランスクリプトームの情報を得ることで、病態や細胞系譜などの解析も可能である。特に多様なニューロンが存在する神経系では、この方法により、神経細胞の分類や状態について、深い理解が進んできている。} | | シングルセルRNAシーケンシング(scRNA-seq)は、次世代シーケンシング (Next Generation Sequencing、NGS)技術を使用して個々の細胞が発現しているmRNA全体、つまりトランスクリプトームを質的、量的に網羅的に調べ、細胞ごとの違いを高解像度で検出、分類することで、細胞の分類を行うことができる技術である。また、刺激、発生など細胞の状況に応じて、個々の細胞のトランスクリプトームの情報を得ることで、病態や細胞系譜などの解析も可能である。特に多様なニューロンが存在する神経系では、この方法により、神経細胞の分類や状態について、深い理解が進んできている。}} |
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| ==トランスクリプトーム== | | ==トランスクリプトーム== |
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| ===展望=== | | ===展望=== |
| | データベース |
| | Human Cell Atlas |
| | Human Brain Transcriptome project |
| | Single cell portal |
| | Allen Brain Atlas |
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| | 空間トランスクリプミクス |
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| | == 関連項目 == |
| | *[[]] |
| | *[[大脳皮質]] |
| | *[[樹状突起]] |
| | *[[軸索]] |
| | *[[大脳皮質の局所神経回路]] |
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| 一般的な方法としては、重鎖抗体を産生する動物を飼育し、それを抗原で免疫することで、重鎖抗体が得られる。比較的小型のリャマのほかに、アルパカ、ヒトコブラクダ、小型の[[wj:ネコザメ|ネコザメ]](''Heterodontus francisci'')などが免疫に利用されている。
| | == 参考文献 == |
| | | <references /> |
| 次に免疫された動物から血液を採集し、その中にある[[wj:B細胞|B細胞]]から、可変領域を含むcDNAライブラリーをM13ファージを使った[[ファージディスプレイ]]ライブラリーに組み込み、固定化した抗原を使ったスクリーニングすることで、cDNA配列を単離し、抗原に結合するナノボディ配列を知ることができる<ref><[[pubmed]]>24577359</pubmed></ref><ref><pubmed>19554288</pubmed></ref>。ラクダ科動物の遺伝子を組み込んだマウスも開発されているが、その利用は一般的ではないようである<ref><pubmed>16148123</pubmed></ref><ref><pubmed>17015837</pubmed></ref>。
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| このスクリーニングを効果的に行うための工夫が多数開発されてきている<ref><pubmed>29477934</pubmed></ref>。ファージディスプレイの担体の工夫、[[w:Staphylococcus carnosus|''Staphylococcus carnosus'']]のような[[wj:グラム陽性菌|グラム陽性菌]]表面へのディスプレイ、酵母細胞表面へのディスプレイ、[[mRNAディスプレイ]]、[[リボソームディスプレイ]]、細胞内での[[2ハイブリッドスクリーニング]]などが用いられてきている。
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| 特に、最近、これらの方法を組み合わせることで、効率的に行う戦略が考案されている。Fridyらは、免疫動物の結合抗体を精製しその質量スペクトルの結果とファージディスプレイのハイスループットな配列決定を組み合わせる方法で、蛍光タンパク質に結合する多数のナノボディを報告した<ref><pubmed>25362362</pubmed></ref>。Zimmermann は、リボソームディスプレイ、ファージディスプレイ、ELISAを組み合わせることで、短期間にナノボディ配列を得る戦略を報告している<ref><pubmed>29792401</pubmed></ref>。また、McMahon らは、酵母ディスプレイを用いて、免疫動物を用いない合成ライブラリーをスクリーニングすることで親和性の高いナノボディ配列を得ることができることを示している<ref><pubmed>29434346</pubmed></ref> 。
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| ただ、このような非免疫ライブラリーや合成ライブラリーを用いる方法については、まだ適用例が多くなく、標準的な方法とされるものが存在しないというのが実情であろう。また、ある程度の抗原親和性を示すナノボディの配列を調整することで、親和性の成熟(affinity maturation)を行うこともできる<ref><pubmed>15777944</pubmed></ref> 。
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| 将来的には人工知能などを使ったナノボディのデザインなども可能になるのかもしれない<ref><pubmed>29672675</pubmed></ref><ref><pubmed>28953867</pubmed></ref>。
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| 通常、ナノボディは、目的別に発現ベクターにクローニングした後、哺乳類細胞だけなく、[[wj:細菌|細菌]]、[[wj:酵母|酵母]]、[[wj:植物|植物]]でも産生させることができる。哺乳類細胞では、抗体が本来機能する細胞外だけでなく、細胞内部でも発現させることが可能である([[ナノボディ#イントラボディ、クロモボディ|イントラボディ]])。ただし、ナノボディの配列はそれぞれ異なり、[[wj:ジスルフィド結合|ジスルフィド結合]]の生成が抗原との結合力あるコンフォメーションを取るために必要な場合、細胞外とは還元環境の異なる細胞内や細菌などでは活性のあるものが産生できないものもある。ナノボディの中には90℃という高温でも失活しないものもあるように<ref><pubmed>10209277</pubmed></ref><ref><pubmed>24739391</pubmed></ref>、一般に安定性は高いが、これも各ナノボディのアミノ酸配列から生じる特性による。
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| ===既知ナノボディ=== | |
| ナノボディの情報を系統的に収集してきている中国の南京にある[[wj:東南大学|東南大学]]の[http://ican.ils.seu.edu.cn iCAN (Institute Collection & Analysis of Nanobody)]<ref><pubmed>29041922</pubmed></ref>には、2018年8月現在、約2400のナノボディ配列が登録されている。
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| 1つのナノボディは、120アミノ酸(cDNAとして360bp)ほどなので、クローニングなどに利用するための配列を付加しても500bp未満の長さに収めることができる。したがって、利用したい特定ナノボディのアミノ酸配列がわかっていれば、いくつかの民間会社が提供している長鎖DNAを化学合成するサービスなどを利用することで短期間のうちにcDNA配列が入手可能である。
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| ===修飾===
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| ナノボディだけでは 通常の抗体と違い定常領域を欠いているため、何らかの修飾が必要である。このことはナノボディが抗体のように簡便に利用できないという不便さになっているが、修飾を実験に合わせて自在に工夫できるという利点にもなっている。また、余分な構造を持たないので、バックグラウンドを低下させ、感度や精度の高い解析が可能になるという長所もある。
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| ====化学的カップリング====
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| 免疫組織化学に最もよく用いられているのは、ナノボディをタンパク質として精製後、色素分子などを化学的にカップリングするという方法である。このような試薬は既製のナノボディ試薬として市販もされている(例、ChromoTek社<ref>https://www.chromotek.com/</ref> )。最近、1次抗体を認識する「2次抗体」の活性を持つナノボディが報告されている<ref><pubmed>29263082</pubmed></ref> 。ナノボディの多くは、大腸菌で活性あるものを大量産生、精製することができるので、一度、配列がわかれば、動物を使用する必要がなくなる。
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| また、化学的なカップリングなので、カップリングする分子を変化させ工夫することで、目的に合わせて様々な標識ナノボディ(薬剤を結合した[[wj:武装抗体|武装抗体]]など)を作製できる可能性がある<ref><pubmed>28883823 </pubmed></ref> 。しかし、カップリングによるアミノ酸残基を修飾する反応により抗原結合能を失うことも想定される。この問題については、修飾するアミノ酸残基の位置を制御することで解決は可能である<ref><pubmed>26633879</pubmed></ref> 。
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| ====RANbody====
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| 化学的カップリング反応は、しばしばナノボディの活性を消失させるが、実験的にも条件決定など必ずしも容易ではない。この問題を克服するために開発されたプラットフォームがRANbody(Receptor-and-Nanobody)である<ref name=yamagata2018><pubmed>29440485</pubmed></ref>。
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| RANbodyは、1つのナノボディを酵素(改良型[[wj:西洋ワサビペルオキシダーゼ|西洋ワサビペルオキシダーゼ]] HRP)、抗原性のあるニワトリ抗体IgYのFc断片、あるいは多重エピトープタグなどのうち1つと、組み換えDNA技術により融合させることで、検出可能にしたものである。プラスミドを293T細胞などの動物細胞に導入するだけで、培地中に放出されるので多くの生物医学系の実験室で利用できる。HRPは大腸菌の中では活性のある酵素として発現させることができない。その一つの解決策として、[[アスコルビン酸オキシダーゼ]] ([[APEX2]])との融合タンパク質を大腸菌で発現させて用いることができるが、APEX2はHRPに比べて活性が弱い<ref><pubmed>29915061</pubmed></ref><ref><pubmed>25419960</pubmed></ref> 。
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| ==利用法==
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| [[ファイル:nanobody4.jpg |サムネイル|300px|'''図4.ナノボディの利用法''']]
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| ==参考文献==
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| <references/> | |