「Eph受容体」の版間の差分

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== 細胞内シグナル==
== 細胞内シグナル==


 Eph受容体が細胞内にシグナルを伝達するためには、エフリンリガンドとの結合に加えて細胞膜上で受容体同士がお互いに結合すること (clustering) が必要である。Eph受容体は、その細胞内領域にチロシンキナーゼドメイン、[[wikipedia:JA:SAMドメイン|SAMドメイン]]、 [[PDZ]]結合モチーフを有している。リガンドの結合により、膜貫通領域の近傍に位置する[[wikipedia:JA:チロシン|チロシン]]と[[wikipedia:JA:セリン|セリン]]が[[wikipedia:JA:リン酸化|リン酸化]]され、チロシンキナーゼドメインが活性化されることで、下流分子にシグナルを伝達する。Eph受容体は様々な細胞内シグナル系を制御しているが、特に[[Ras]]/[[Rho]]ファミリーの[[低分子量Gタンパク質]]を介したシグナルは、[[アクチン]]フィラメントの構築を制御し、細胞の形態変化や[[接着]]性の低下、あるいは亢進を誘導する。 こうしたEph受容体を介した細胞特性の変化は、細胞の移動や突起の伸張、また細胞選別といった基本的な発生現象において極めて重要な役割を担っている。Eph受容体を介して、受容体を発現する細胞に伝達されるシグナルを正方向性シグナル (forward signal)、またエフリンリガンドを介してリガンド発現細胞に伝達されるシグナルを逆方向性シグナル (reverse signal) と呼んでいる<ref name=ref3><pubmed>12808016</pubmed></ref> <ref><pubmed>9233798</pubmed></ref> <ref><pubmed>10508149</pubmed></ref>。  
 Eph受容体が細胞内にシグナルを伝達するためには、エフリンリガンドとの結合に加えて細胞膜上で受容体同士がお互いに結合すること (clustering) が必要である。Eph受容体は、その細胞内領域にチロシンキナーゼドメイン、[[wikipedia:JA:SAMドメイン|SAMドメイン]]、 [[PDZ]]結合モチーフを有している。リガンドの結合により、膜貫通領域の近傍に位置する[[wikipedia:JA:チロシン|チロシン]]と[[wikipedia:JA:セリン|セリン]]が[[wikipedia:JA:リン酸化|リン酸化]]され、チロシンキナーゼドメインが活性化されることで、下流分子にシグナルを伝達する。Eph受容体は様々な細胞内シグナル系を制御しているが、特に[[Ras]]/[[Rho]]ファミリーの[[低分子量Gタンパク質]]を介したシグナルは、[[アクチン]]フィラメントの構築を制御し、細胞の形態変化や[[接着]]性の低下、あるいは亢進を誘導する。 こうしたEph受容体を介した細胞特性の変化は、細胞の移動や突起の伸張、また細胞選別といった基本的な発生現象において極めて重要な役割を担っている。Eph受容体を介して、受容体を発現する細胞に伝達されるシグナルを正方向性シグナル (forward signal)、またエフリンリガンドを介してリガンド発現細胞に伝達されるシグナルを逆方向性シグナル (reverse signal) と呼んでいる<ref name=ref3><pubmed>12808016</pubmed></ref><ref><pubmed>9233798</pubmed></ref><ref><pubmed>10508149</pubmed></ref>。


== 中枢神経系における機能 ==
== 中枢神経系における機能 ==

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