「高親和性ニューロトロフィン受容体」の版間の差分

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== 生化学的機能 ==
== 生化学的機能 ==
 受容体型チロシンキナーゼに共通の仕組みとして、リガンドの結合によって受容体分子が2量体化し、キナーゼドメインによって相手側のチロシン残基がリン酸化される。リン酸化チロシンにアダプター分子が結合し、リン酸化カスケードが駆動され、様々なシグナルが細胞内に伝わる('''図3''')<ref name=Chao2003><pubmed>12671646</pubmed></ref><ref name=Huang2003><pubmed>12676795</pubmed></ref>  (7,8)。Trkの特徴として、下流シグナルも含めて、活性化の時間経過がEGF受容体などに比べて長く持続することが知られている。TrkAではリン酸化したY496(ヒトの場合、以下同じ。TrkBはY532、TrkCはY516)にShcあるいはFRS2が結合し、Ras-MAPK系とPI3K-Akt系が活性化される('''図3''')。
 受容体型チロシンキナーゼに共通の仕組みとして、リガンドの結合によって受容体分子が2量体化し、キナーゼドメインによって相手側のチロシン残基がリン酸化される。リン酸化チロシンにアダプター分子が結合し、リン酸化カスケードが駆動され、様々なシグナルが細胞内に伝わる('''図4''')<ref name=Chao2003><pubmed>12671646</pubmed></ref><ref name=Huang2003><pubmed>12676795</pubmed></ref>  (7,8)。Trkの特徴として、下流シグナルも含めて、活性化の時間経過がEGF受容体などに比べて長く持続することが知られている。TrkAではリン酸化したY496(ヒトの場合、以下同じ。TrkBはY532、TrkCはY516)にShcあるいはFRS2が結合し、Ras-MAPK系とPI3K-Akt系が活性化される('''図4''')。


 ShcあるいはFRS2を介してGrb2-Sosから、癌遺伝子rasの産物で、低分子GTP結合蛋白質であるRasを活性化する。さらにRaf、MEK (MAPキナーゼキナーゼ, MAPKKとも呼ばれる)を介しErk1,2 (Extracellular regulated kinase 1, 2、あるいはmitogen activated protein kinase (MAPK)とも呼ばれる)を活性化する経路であり、転写調節などを中心として多くの細胞応答を引き起こす。
 ShcあるいはFRS2を介してGrb2-Sosから、癌遺伝子rasの産物で、低分子GTP結合蛋白質であるRasを活性化する。さらにRaf、MEK (MAPキナーゼキナーゼ, MAPKKとも呼ばれる)を介しErk1,2 (Extracellular regulated kinase 1, 2、あるいはmitogen activated protein kinase (MAPK)とも呼ばれる)を活性化する経路であり、転写調節などを中心として多くの細胞応答を引き起こす。

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