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<font size="+1">[http://researchmap.jp/nobtak2010 武井 延之]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/nobtak2010 武井 延之]</font><br> | ||
''新潟大学 脳研究所 基礎神経科学部門 分子神経生物学分野''<br> | ''新潟大学 脳研究所 基礎神経科学部門 分子神経生物学分野''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2020年8月7日 原稿完成日:2020年8月12日<br> | ||
担当編集委員:[https://researchmap.jp/yamagatm 山形 方人](ハーバード大学・脳科学センター)<br> | 担当編集委員:[https://researchmap.jp/yamagatm 山形 方人](ハーバード大学・脳科学センター)<br> | ||
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Grb2から[[Gab1]]を介して、脂質キナーゼである[[phosphatidilyinositol 3-OH kinase]] ([[PI3キナーゼ]], PI3K)を活性化する。PI3Kは[[ホスファチジルイノシトール4,5-ビスホスフェート]] ([[PIP2]])から[[PIP3]]を産生し、[[PDK1]]-Aktを活性化するシグナルを伝える。[[アポトーシス]]の抑制に作用しているとともに、[[mTOR]]を活性化し[[翻訳]]調節などの細胞内代謝を制御している。 | Grb2から[[Gab1]]を介して、脂質キナーゼである[[phosphatidilyinositol 3-OH kinase]] ([[PI3キナーゼ]], PI3K)を活性化する。PI3Kは[[ホスファチジルイノシトール4,5-ビスホスフェート]] ([[PIP2]])から[[PIP3]]を産生し、[[PDK1]]-Aktを活性化するシグナルを伝える。[[アポトーシス]]の抑制に作用しているとともに、[[mTOR]]を活性化し[[翻訳]]調節などの細胞内代謝を制御している。 | ||
もう一つの経路は[[ホスホリパーゼCγ]] ([[phospholipase Cγ]])[[PLC&gamma]] | もう一つの経路は[[ホスホリパーゼCγ]] ([[phospholipase Cγ]])[[PLCγ]]の系で、TrkAではリン酸化したY791(TrkBではY833、TrkCではY834)にPLC&gammaが自身のSH2ドメインを介して結合し活性化され、PIP2から[[IP3イノシトール3リン酸]]([[IP3]])と[[ジアシルグリセロール]](DG)を産生する。IP3は細胞内カルシウム貯蔵部位からカルシウムを放出させることによってカルシウムシグナルを駆動させ、ジアシルグリセロールは[[プロテインキナーゼC]] ([[protein kinase C]], [[PKC]])を活性化させる。どちらも細胞内情報系として様々な重要な働きをしている。 | ||
==生理的機能== | ==生理的機能== |