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=== 歴史的推移 === | === 歴史的推移 === | ||
1965年に初めて提唱されて以降<ref name=Adams1965><pubmed>14303656</pubmed></ref> 、特発性正常圧水頭症に関する報告が続き、1970年代は“治療可能な認知症(treatable | 1965年に初めて提唱されて以降<ref name=Adams1965><pubmed>14303656</pubmed></ref> 、特発性正常圧水頭症に関する報告が続き、1970年代は“治療可能な認知症(treatable dementia)”として注目された。しかし、診断基準や手術適応が曖昧なままにシャント術が過剰に行われた結果、術後に症状が改善しない症例や、逆に悪化した症例が増加し、治療介入に否定的な医師が増え、特発性正常圧水頭症に対するシャント術が一時廃れた暗黒時代があった。それでも、1982年にWikkelsöが[[正常圧水頭症#髄液排除試験(タップテスト)|髄液排除試験(タップテスト)]]を初めて報告し<ref name=Wikkelso1982><pubmed> 7062072 </pubmed></ref> 、同時期に米国のCodman社が正常圧水頭症の名付け親であるHakimと共同で髄液排出量を調整できるシャントバルブの開発に着手し、1992年にCodman-Medos Programmable Hakim valveが誕生して髄液排出量が調整できるになると、治療に伴う重篤な合併症、死亡率が大幅に減り、再び正常圧水頭症に対する積極的な診断・治療介入の機運が高まるきっかけとなった。 | ||
我が国では2000年に石川正恒が発起人となって第1回日本正常圧水頭症研究会(2012年に研究会から学会へと移行)が発足し、2004年に世界に先駆けて「特発性正常圧水頭症診療ガイドライン」が刊行された<ref name=Guideline2004>'''日本正常圧水頭症研究会「特発性正常圧水頭症診療ガイドライン作成委員会」''' (2004).<br>特発性正常圧水頭症診療ガイドライン〔第1版〕. ''メディカルレビュー社''</ref> | 我が国では2000年に石川正恒が発起人となって第1回日本正常圧水頭症研究会(2012年に研究会から学会へと移行)が発足し、2004年に世界に先駆けて「特発性正常圧水頭症診療ガイドライン」が刊行された<ref name=Guideline2004>'''日本正常圧水頭症研究会「特発性正常圧水頭症診療ガイドライン作成委員会」''' (2004).<br>特発性正常圧水頭症診療ガイドライン〔第1版〕. ''メディカルレビュー社''</ref>。この初版のガイドラインでは、[[正常圧水頭症#タップテスト|タップテスト]]で慎重に手術適応を検討した上でシャント手術を勧めるよう、診断基準を厳格にすることで、治療成績が向上し、特発性正常圧水頭症が再認識されるようになった。さらに、2004年に石川正恒が中心となって全国多施設前向きコホート研究Study of idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus on Neurological Improvement(SINPHONI)が行われ、特発性正常圧水頭症に特徴的な画像所見を[[正常圧水頭症#DESH|Disproportionately Enlarged Subarachnoid-space Hydrocephalus(DESH)]]と命名し、世界で広くDESHが認知されるようになった<ref name=Hashimoto2010><pubmed>21040519</pubmed></ref> 。 | ||
海外では同じ頃、2004年にWikkelsöが中心となってヨーロッパ13ヵ国が参加した多施設共同研究がスタートし、2005年にMarmarouが中心となって初の国際ガイドラインが刊行され<ref name=Marmarou2005><pubmed>16160424</pubmed></ref> 、2006年にWikkelsöが発起人となって第1回国際水頭症学会がスウェーデンで開催された。 | 海外では同じ頃、2004年にWikkelsöが中心となってヨーロッパ13ヵ国が参加した多施設共同研究がスタートし、2005年にMarmarouが中心となって初の国際ガイドラインが刊行され<ref name=Marmarou2005><pubmed>16160424</pubmed></ref> 、2006年にWikkelsöが発起人となって第1回国際水頭症学会がスウェーデンで開催された。 |