「ジストニア」の版間の差分

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* 全身性ジストニア (generalized dystonia)
* 全身性ジストニア (generalized dystonia)
:ジストニアは罹患範囲によって局所性、分節性、多巣性、全身性、片側性に分類される。全身性ジストニアは小児期発症に多く、しばしば遺伝性であり、背景疾患を持つことが少なくない。代表的な遺伝性全身性ジストニアはTOR1A遺伝子変異による「DYT-TOR1A」(従来のDYT1)<ref name=Marras2016><pubmed>27079681</pubmed></ref> 9)である。なお補足として、従来「DYT+番号」で表記された遺伝性ジストニアのうち代表的な病型を表に挙げた。
:ジストニアは罹患範囲によって局所性、分節性、多巣性、全身性、片側性に分類される。全身性ジストニアは小児期発症に多く、しばしば遺伝性であり、背景疾患を持つことが少なくない。代表的な遺伝性全身性ジストニアはTOR1A遺伝子変異による「DYT-TOR1A」(従来のDYT1)<ref name=Marras2016><pubmed>27079681</pubmed></ref> 9)である。なお補足として、従来「DYT+番号」で表記された遺伝性ジストニアのうち代表的な病型を表に挙げた。
{| class="wikitable"
|+表. 代表的な遺伝性ジストニア
! 名称 !! 旧称 !! 遺伝形式 !! 特徴
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| DYT-TOR1A || DYT1 || AD || Oppenheim’s dystonia. Dystonia musculorum deformansのプロトタイプ。典型例では小児期に上肢または下肢から発症し全身に広がる。
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| DYT/PARK-TAF1 || DYT3 || XR || X-linked dystonia-parkinsonism. フィリピンのPanay島に集積。ジストニアで発症しパーキンソン症候群を続発。
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| DYT-TUBB4A || DYT4 || AD || Hereditary whispering dysphonia. 喉頭ジストニアのほか、頸部、上肢、全身に広がりうる。H-ABC (hypomyelination with atrophy of the basal ganglia and cerebellum)も同一遺伝子異常。
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| DYT/PARK-GCH1 || DYT5 || AD, AR || ADは瀬川病、ARは重症型。旧称では瀬川病をDYT5a、ARのチロシン水酸化酵素欠損症軽症型 (DYT/PARK-TH)、セピアプテリン還元酵素欠損症 (DYT-SPR)などをDYT5bとし、ドパ反応性ジストニアとして一括していた。
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| DYT-THAP1 || DYT6 || AD || 典型例は小児〜青年期発症で、頭頸部・喉頭・上肢など上半身を主に侵し、しばしば全身化する。
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| DYT-PRRT2 || DYT10 || AD || Paroxysmal kinesigenic dystonia (表現形によりdyskinesiaまたはchoreoathetosisとも記載される). 持続は多くが30秒以内(5分以内)。Benign familial infantile convulsions、infantile convulsions and paroxysmal choreoathetosisも同一遺伝子異常。 *kinesigenicの訳は一般に「運動誘発性」とされるが、「運動開始時」が正しい。「運動誘発性」ではparoxysmal exercise-induced dystoniaと区別ができなくなる。
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| DYT-SGCE || DYT11 || AD || Myoclonus-dystonia. 上半身優位で、ミオクローヌスを主症状とすることが多い。アルコールで改善。強迫性障害など精神症状の合併が多い。
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| DYT/PARK-ATP1A3 || DYT12 || AD || Rapid-onset dystonia-parkinsonism. Early infantile epileptic encephalopathy(一部)、小児交互性片麻痺 (alternating hemiplegia of childhood)、CAPOS (cerebellar ataxia, areflexia, pes cavus, optic atrophy, sensorineural hearing loss)症候群、RECA (relapsing encephalopathy with cerebellar ataxia)も同一遺伝子異常であり、多くの中間型がある。
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| DYT-GNAL || DYT25 || AD || 成人発症の頭頸部ジストニア。
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| DYT-KMT2B || DYT28 || AD || 幼小児期にしばしば下肢から発症し、全身化しうる。構音障害・嚥下障害。小声のためコミュニケーションに支障を来たしやすい。しばしば低身長。精神発育遅滞や種々の精神症状を呈する。
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AD; autosomal dominant, AR; autosomal recessive, XR; X-linked recessive
 背景疾患を他に持たない遺伝性ジストニアは、かつて「DYT+番号」で表記されたが、現在では遺伝性運動異常症に共通した形式を採用し、「主要症候+原因遺伝子」で表記される<ref name=Marras2016><pubmed>27079681</pubmed></ref>9)。DYTはジストニアが、DYT/PARKはジストニアとパーキンソン症候群とが、それぞれ主症状であることを意味する。ここでは旧名が「DYT+番号」であった遺伝性ジストニアのうち、日本人に比較的関わりの大きい病型および文献に比較的多く現れる病型を挙げた(日本人に報告はあるが省略した病型もある)。また「特徴」の欄内にある斜体病名は別称であるが、逆は必ずしも正しくない。例えばDYT-SGCEとmyoclonus-dystoniaとでは後者の方が広い意味を持ち、後者の代表的な病型がDYT-SGCEである(ε-サルコグリカンを原因遺伝子としないmyoclonus-dystoniaも存在する)。


== 病態生理 ==
== 病態生理 ==

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