「Αシヌクレイン」の版間の差分

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== 発現分布 ==
== 発現分布 ==
=== 組織発現 ===
=== 組織発現 ===
組織分布上、αシヌクレインはヒト成人では中枢神経系で特に高発現し、脳可溶性蛋白の約1%を占め前シナプス末端に豊富に分布する<ref name=Goedert2001><pubmed>11433374</pubmed></ref> 。ノザンブロット解析では脳のほか腎臓、肺、胎盤などで発現がみられ<ref name=Ueda1993><pubmed>8248242</pubmed></ref> 、タンパクレベルでは赤血球でも豊富に存在している<ref name=Araki2016><pubmed>27469540</pubmed></ref> 。一方、ヒト胎児では脳、肝臓、心臓、精巣、肺、腎臓、副腎などより広範な臓器で比較的高い発現が確認され、αシヌクレインは発達過程においてダイナミックな発現制御を受ける可能性が示唆されている<ref name=Ltic2004><pubmed>14997013</pubmed></ref> 。
 組織分布上、αシヌクレインはヒト成人では中枢神経系で特に高発現し、脳可溶性蛋白の約1%を占め前シナプス末端に豊富に分布する<ref name=Goedert2001><pubmed>11433374</pubmed></ref> 。ノザンブロット解析では脳のほか腎臓、肺、胎盤などで発現がみられ<ref name=Ueda1993><pubmed>8248242</pubmed></ref> 、タンパクレベルでは赤血球でも豊富に存在している<ref name=Araki2016><pubmed>27469540</pubmed></ref> 。一方、ヒト胎児では脳、肝臓、心臓、精巣、肺、腎臓、副腎などより広範な臓器で比較的高い発現が確認され、αシヌクレインは発達過程においてダイナミックな発現制御を受ける可能性が示唆されている<ref name=Ltic2004><pubmed>14997013</pubmed></ref> 。


=== 細胞内分布 ===
=== 細胞内分布 ===
細胞内においてαシヌクレインの大半は細胞質中に存在し、一部はシナプス小胞などの生体膜と結合して存在している<ref name=Maroteaux1988><pubmed>3411354</pubmed></ref><ref name=Pirc2015><pubmed>26119565</pubmed></ref> 。このほか、ミトコンドリア内膜、小胞体とミトコンドリアの接触領域(Mitochondria-associated membrane, MAM)、ゴルジ体、エンドソームなどにも存在が確認されている<ref name=Tompkins2003><pubmed>12932858</pubmed></ref><ref name=Li2007><pubmed>17885598</pubmed></ref><ref name=Guardia-Laguarta2014><pubmed>24381286</pubmed></ref><ref name=Hasegawa2011><pubmed></pubmed></ref> 。名前の由来となった核におけるαシヌクレインの存在はほ乳動物においては微量と考えられているが、ヒストンあるいはDNA結合タンパクとして機能し、種々の遺伝子発現制御に関与する可能性が指摘されている<ref name=Sugeno2016><pubmed>27808254</pubmed></ref><ref name=Goers2003><pubmed>12859192</pubmed></ref><ref name=Jiang2018><pubmed>30102440</pubmed></ref> 。この様にαシヌクレインは主に細胞内で機能するタンパクと考えられているが、一方で脳脊髄液や血清、尿などの体液中や培養神経細胞の培地上清にも微量ながら検出され<ref name=Hasegawa2011><pubmed></pubmed></ref><ref name=Tokuda2006><pubmed>16930553</pubmed></ref><ref name=El-Agnaf2006><pubmed>16507759</pubmed></ref><ref name=Eller2009><pubmed>19724250</pubmed></ref> 、一部は細胞外に分泌されると推定されている<ref name=Hasegawa2017><pubmed>28539529</pubmed></ref> 。細胞外αシヌクレインは、後述するLewy病理のプリオン様伝播との関連で注目されている。
 細胞内においてαシヌクレインの大半は細胞質中に存在し、一部はシナプス小胞などの生体膜と結合して存在している<ref name=Maroteaux1988><pubmed>3411354</pubmed></ref><ref name=Pirc2015><pubmed>26119565</pubmed></ref> 。このほか、ミトコンドリア内膜、小胞体とミトコンドリアの接触領域(Mitochondria-associated membrane, MAM)、ゴルジ体、エンドソームなどにも存在が確認されている<ref name=Tompkins2003><pubmed>12932858</pubmed></ref><ref name=Li2007><pubmed>17885598</pubmed></ref><ref name=Guardia-Laguarta2014><pubmed>24381286</pubmed></ref><ref name=Hasegawa2011><pubmed></pubmed></ref> 。名前の由来となった核におけるαシヌクレインの存在はほ乳動物においては微量と考えられているが、ヒストンあるいはDNA結合タンパクとして機能し、種々の遺伝子発現制御に関与する可能性が指摘されている<ref name=Sugeno2016><pubmed>27808254</pubmed></ref><ref name=Goers2003><pubmed>12859192</pubmed></ref><ref name=Jiang2018><pubmed>30102440</pubmed></ref> 。この様にαシヌクレインは主に細胞内で機能するタンパクと考えられているが、一方で脳脊髄液や血清、尿などの体液中や培養神経細胞の培地上清にも微量ながら検出され<ref name=Hasegawa2011><pubmed></pubmed></ref><ref name=Tokuda2006><pubmed>16930553</pubmed></ref><ref name=El-Agnaf2006><pubmed>16507759</pubmed></ref><ref name=Eller2009><pubmed>19724250</pubmed></ref> 、一部は細胞外に分泌されると推定されている<ref name=Hasegawa2017><pubmed>28539529</pubmed></ref> 。細胞外αシヌクレインは、後述するLewy病理のプリオン様伝播との関連で注目されている。


== 機能 ==
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