16,040
回編集
細 (→微小透析法とは) |
細 (→微小透析法とは) |
||
13行目: | 13行目: | ||
[[脳]]を含む臓器の局所の細胞外液中の物質を透析膜を介して回収し、濃度などを測定するための方法。半透膜を介して比較的低分子の物質を脳組織から回収したという報告は1966年に遡る<ref name=ref1><pubmed>5924657</pubmed></ref>。1972年には半透膜で囲まれた袋の中に潅流液を流し細胞外液中の物質を回収したという報告がなされている<ref name=ref2><pubmed>4626478</pubmed></ref>。組織の損傷を少なく半透膜を介して、脳の局所あるいは様々な末梢臓器から細胞外液中の標的物質を継時的に回収する方法として[[w:Urban Ungerstedt|Ungerstedt]]らにより確立されたのは1970年代後半から1980年代である<ref name=ref3><pubmed>1919432</pubmed></ref>。微小透析法は、生体組織の局所の細胞外液中の物質を回収するのに今日広く用いられている<ref name=ref4><pubmed>19340812</pubmed></ref> <ref name=ref5><pubmed>23856056</pubmed></ref> <ref name=ref6><pubmed>24022232</pubmed></ref>。 | [[脳]]を含む臓器の局所の細胞外液中の物質を透析膜を介して回収し、濃度などを測定するための方法。半透膜を介して比較的低分子の物質を脳組織から回収したという報告は1966年に遡る<ref name=ref1><pubmed>5924657</pubmed></ref>。1972年には半透膜で囲まれた袋の中に潅流液を流し細胞外液中の物質を回収したという報告がなされている<ref name=ref2><pubmed>4626478</pubmed></ref>。組織の損傷を少なく半透膜を介して、脳の局所あるいは様々な末梢臓器から細胞外液中の標的物質を継時的に回収する方法として[[w:Urban Ungerstedt|Ungerstedt]]らにより確立されたのは1970年代後半から1980年代である<ref name=ref3><pubmed>1919432</pubmed></ref>。微小透析法は、生体組織の局所の細胞外液中の物質を回収するのに今日広く用いられている<ref name=ref4><pubmed>19340812</pubmed></ref> <ref name=ref5><pubmed>23856056</pubmed></ref> <ref name=ref6><pubmed>24022232</pubmed></ref>。 | ||
[[ノルアドレナリン]]、[[セロトニン]]、[[ドーパミン]]、[[ヒスタミン]]、[[アセチルコリン]]、[[GABA]]、[[アミノ酸]]([[グリシン]]、[[グルタミン酸]]を含む)、各種[[神経ペプチド]]、[[cAMP]]、[[cGMP]]、[[サイトカイン]]、[[活性酸素]]、[[NO2-|NO<sup> | [[ノルアドレナリン]]、[[セロトニン]]、[[ドーパミン]]、[[ヒスタミン]]、[[アセチルコリン]]、[[GABA]]、[[アミノ酸]]([[グリシン]]、[[グルタミン酸]]を含む)、各種[[神経ペプチド]]、[[cAMP]]、[[cGMP]]、[[サイトカイン]]、[[活性酸素]]、[[NO2-|NO<sub>2</sub><sup>-</sup>]]/[[NO3-|NO<sub>3</sub><sup>-</sup>]]、などの[[神経伝達物]]、[[神経修飾物質]]、生体の様々な低分子物質([[グルコース]]、[[乳酸]]、[[ピルビン酸]]、[[グリセロール]]、[[尿素]]など)、タンパク質、或は、外来性薬物の濃度を測定することに用いられる<ref name=ref5 /> <ref name=ref6 />。近年、[[アミロイドβ]]、[[タウ]]、[[αシヌクレイン]]といった病態に関連する因子も微小透析法で収集され、解析されている<ref name=ref5 />。 | ||
時間分解能は、分単位(1分から30分程度)である場合が多く、[[モノアミン]]の測定や酵素被覆電極を使用してグルタミン酸、GABAの測定を行う[[生体内ボルタンメトリ-法]]、あるいは、ニューロンの[[活動電位]]の電気生理学的方法による解析に比べ良くない。また、空間分解能は、標的物質の収集するためのプローブの大きさ(通常、直径0.2 mm x 長さ0.5 mm以上)により制限を受ける。しかし、物質の同定が可能であり、長時間にわたる測定を意識下[[動物]]において行うことが可能である。その時間分解能と空間分解能から、脳における拡散性の信号伝達(volume transmission)を担う物質、外来性薬物の解析に適している。 | 時間分解能は、分単位(1分から30分程度)である場合が多く、[[モノアミン]]の測定や酵素被覆電極を使用してグルタミン酸、GABAの測定を行う[[生体内ボルタンメトリ-法]]、あるいは、ニューロンの[[活動電位]]の電気生理学的方法による解析に比べ良くない。また、空間分解能は、標的物質の収集するためのプローブの大きさ(通常、直径0.2 mm x 長さ0.5 mm以上)により制限を受ける。しかし、物質の同定が可能であり、長時間にわたる測定を意識下[[動物]]において行うことが可能である。その時間分解能と空間分解能から、脳における拡散性の信号伝達(volume transmission)を担う物質、外来性薬物の解析に適している。 |