「脆弱X症候群」の版間の差分

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== 遺伝 ==
== 遺伝 ==
 原因遺伝子であるFMR1遺伝子の5’非翻訳領域(エクソン1内)にあるCGG繰り返し配列の繰り返し回数は、正常では6から44回、intermediate(中間型)では45から54回、premutation(前変異)では55回から200回、full mutation(全変異)では201回以上を呈し、脆弱X症候群症例は全変異である(図)。現時点では、正常範囲の回数の親から、こどものCGG繰り返し回数が全変異にまで伸長することはないとされ、中間型の回数を有する親からこどもが前変異の回数に、前変異の回数を有する親からこどもが全変異の回数への伸長が生じうると考えられている(表現促進現象)。そのためFMR1遺伝子の解析で全変異が見つかった場合には、母が前変異あるいは全変異を有している。一方、父が前変異を有する場合にも伸長することがあるが、こどもが全変異となる程は伸長しないとされている<ref name=難波2015 /></ref>。
 原因遺伝子であるFMR1遺伝子の5’非翻訳領域(エクソン1内)にあるCGG繰り返し配列の繰り返し回数は、正常では6から44回、intermediate(中間型)では45から54回、premutation(前変異)では55回から200回、full mutation(全変異)では201回以上を呈し、脆弱X症候群症例は全変異である(図)。現時点では、正常範囲の回数の親から、こどものCGG繰り返し回数が全変異にまで伸長することはないとされ、中間型の回数を有する親からこどもが前変異の回数に、前変異の回数を有する親からこどもが全変異の回数への伸長が生じうると考えられている(表現促進現象)。そのためFMR1遺伝子の解析で全変異が見つかった場合には、母が前変異あるいは全変異を有している。一方、父が前変異を有する場合にも伸長することがあるが、こどもが全変異となる程は伸長しないとされている<ref>[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1384/ FMR1-Related Disorders - GeneReviews® - NCBI Bookshelf.] 15th May, 2017.</ref>。


 なお、FMR1遺伝子のCGG繰り返し配列中には所々AGG配列があり、このAGG配列の出現頻度が少ない場合に、CGGリピートが伸長しやすいことが知られている<ref name=Eichler1994><pubmed>7987398</pubmed></ref><ref name=Nolin2011><pubmed>21717484</pubmed></ref> 。ただし、AGG配列出現頻度によるこどもの繰り返し回数の伸長予測方法としての臨床応用はまだされていない。
 なお、FMR1遺伝子のCGG繰り返し配列中には所々AGG配列があり、このAGG配列の出現頻度が少ない場合に、CGGリピートが伸長しやすいことが知られている<ref name=Eichler1994><pubmed>7987398</pubmed></ref><ref name=Nolin2011><pubmed>21717484</pubmed></ref> 。ただし、AGG配列出現頻度によるこどもの繰り返し回数の伸長予測方法としての臨床応用はまだされていない。

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