「脆弱X症候群」の版間の差分

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== 治療 ==
== 治療 ==
 脆弱X症候群は知的障害、自閉症状をきたす単一遺伝子疾患であり、これらの症状に対する治療研究対象疾患として、現時点で確立した治療はないものの、現在も海外では盛んに治療研究が行われている。様々な薬剤の臨床研究の進行については、各ウェブサイトで調べることができる<ref>[http://www.clinicaltrials.gov. ClinicalTrials.gov.]</ref>。ここでは、現在も治験が行われている主な候補薬剤を解説する。
 脆弱X症候群は知的障害、自閉症状をきたす単一遺伝子疾患であり、これらの症状に対する治療研究対象疾患として、現時点で確立した治療はないものの、現在も海外では盛んに治療研究が行われている。様々な薬剤の臨床研究の進行については、各ウェブサイトで調べることができる<ref name=clinicaltraials>[http://www.clinicaltrials.gov. ClinicalTrials.gov.]</ref>。ここでは、現在も治験が行われている主な候補薬剤を解説する。
=== 代謝型グルタミン酸受容体拮抗薬 ===
=== 代謝型グルタミン酸受容体拮抗薬 ===
 神経細胞における局所的mRNAの翻訳調節は、代謝型グルタミン酸受容体5型(mGluR5)からのシグナルが引き金になっており、リン酸化されたFMRPのみがタンパク質翻訳に抑制的に働く。脆弱X症候群ではFMR1の発現が抑制され、FMRPが産生されないため、治療薬の候補としてmGluR5拮抗薬が以前から挙げられている<ref name=Protic2019><pubmed>31241016</pubmed></ref> 。
 神経細胞における局所的mRNAの翻訳調節は、代謝型グルタミン酸受容体5型(mGluR5)からのシグナルが引き金になっており、リン酸化されたFMRPのみがタンパク質翻訳に抑制的に働く。脆弱X症候群ではFMR1の発現が抑制され、FMRPが産生されないため、治療薬の候補としてmGluR5拮抗薬が以前から挙げられている<ref name=Protic2019><pubmed>31241016</pubmed></ref> 。
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 GABA経路は抑制系の中枢神経経路で、イオンチャネル型のGABA<sub>A</sub>受容体と代謝型のGABA<sub>B</sub>受容体の2つの主な受容体のサブタイプがある。
 GABA経路は抑制系の中枢神経経路で、イオンチャネル型のGABA<sub>A</sub>受容体と代謝型のGABA<sub>B</sub>受容体の2つの主な受容体のサブタイプがある。


 Fmr1ノックアウトマウスではGABA<sub>A</sub>受容体が減少していることが知られている<ref>[http://www.clinicaltrials.gov. ClinicalTrials.gov.]</ref>。一方、GABA<sub>B</sub>受容体はシナプス前にあり、GABA放出を調節している。脆弱X症候群のGABA<sub>B</sub>の標的はGABAシステムの抑制機能の増強及び、mGluRの過剰な活動からの入力を減らすことで、GABA<sub>B</sub>受容体作動薬であるアーバクロフェン(バクロフェンのR−異性体)が候補薬として挙げられている。その他に、GABA<sub>A</sub>、GABA<sub>B</sub>両方に作用するアカンプロセートの臨床研究が行われている<ref name=Ligsay2016><pubmed>27672538</pubmed></ref> 。
 Fmr1ノックアウトマウスではGABA<sub>A</sub>受容体が減少していることが知られている<ref name=clinicaltraials />。一方、GABA<sub>B</sub>受容体はシナプス前にあり、GABA放出を調節している。脆弱X症候群のGABA<sub>B</sub>の標的はGABAシステムの抑制機能の増強及び、mGluRの過剰な活動からの入力を減らすことで、GABA<sub>B</sub>受容体作動薬であるアーバクロフェン(バクロフェンのR−異性体)が候補薬として挙げられている。その他に、GABA<sub>A</sub>、GABA<sub>B</sub>両方に作用するアカンプロセートの臨床研究が行われている<ref name=Ligsay2016><pubmed>27672538</pubmed></ref> 。


=== ミノサイクリン ===
=== ミノサイクリン ===

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