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=== 抗Lrp4抗体 === | === 抗Lrp4抗体 === | ||
2011年、一部の重症筋無力症患者血清中にLrp4の細胞外領域に対する自己抗体が本邦から報告された<ref name=Higuchi2011><pubmed>21387385</pubmed></ref> 。その後、諸外国からも抗Lrp4抗体に関する同様の報告が行われた <ref name=Shiraishi2005><pubmed>15668981</pubmed></ref><ref name=Zhang2011><pubmed>22158716</pubmed></ref> 。MuSKと複合体をなすLrp4に対する自己抗体は,重症筋無力症の病原性自己抗体として有力な候補であるが、筋萎縮性側索硬化症などの他疾患の血清からも一定の割合で検出されることが明らかになっており、抗AChR抗体やMuSK抗体と同列の重症筋無力症に特異的な病原性自己抗体であるという認識には至っていない。今後の臨床的検討と免疫動物モデルの作製が期待される。 | |||
疫学・臨床症状 | == 疫学・臨床症状 == | ||
=== 疫学 === | |||
臨床疫学的には、重症筋無力症はもともと若年者に多い疾患であったが、近年高齢発症重症筋無力症の増加が国内外で報告されている。2006年に行われた本邦の重症筋無力症 全国臨床疫学調査でも高齢発症重症筋無力症の増加が顕著であることが報告された<ref name=Murai2011><pubmed>21440910</pubmed></ref>。 | |||
臨床病型 | |||
病初期に重症筋無力症症状が眼筋に限局している場合でも発症後2年以内は全身型へ進展することがあるため、眼筋型重症筋無力症かどうかの判断は発症後2年を経過してから行うべきである。成人発症重症筋無力症は発症年齢と胸腺腫の有無から、胸腺腫非合併早期発症 重症筋無力症(early-onset MG: EOMG)、胸腺腫非合併後期発症重症筋無力症(late-onset MG: LOMG)、胸腺腫関連重症筋無力症(thymoma-associated MG: TAMG)に分類(E-L-T分類)され、早期と後期の境界を発症年齢50歳にすることが多かった<ref name=日本神経学会2014><pubmed>日本神経学会(監修),「重症筋無力症診療ガイドライン」作成委員会(編集).重症筋無力症診療ガイドライン2014,南江堂,2014.</pubmed></ref> 。E-L-T分類は発症年齢と胸腺腫の有無に基づいたわかりやすい病型分類であったが、重症筋無力症の臨床的特徴が発症年齢によって二分できるかどうかは不明であった。 | |||
2014年,Akaishi et alは臨床病型、病原性自己抗体、胸腺病理などの臨床的特徴が発症年齢によってどのように分類できるかをtwo-step cluster解析によって明らかにした<ref name=Akaishi2014><pubmed>25192469</pubmed></ref> 。それによると、成人発症重症筋無力症は統計学的に、眼筋型、胸腺過形成を伴う全身型、胸腺異常が示唆されない抗AChR抗体陽性の全身型、TAMG全身型、抗AChR抗体陰性全身型の5型に分類され、MuSK抗体陽性重症筋無力症はこの5型とは区別された。この解析から、EOMGの主成分が過形成胸腺重症筋無力症であり、LOMGの主成分が眼筋型重症筋無力症と胸腺異常のない抗ACh抗体陽性全身型重症筋無力症であることが明らかになった(図1)。 | |||
最近、海外からも新しい病型分類が提唱されているが<ref name=Gilhus2015><pubmed>26376969name=Gilhus2016><pubmed>27103470</pubmed></ref> 、Akaishi et al の病型分類と同様である。 |