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Shahら<ref name=Shah2005><pubmed>16096062</pubmed></ref> はさらに、DAPドメインが基質のN末端を認識し、γセクレターゼ複合体と基質との結合を仲介すること、すなわち細胞外領域の刈り込み(シェディング)を受けたタイプⅠ膜タンパク質を選別して基質として認識し、そのドッキングに働くことを示した。さらに、既知のアミノペプチダーゼ構造モデルに基づきGlu333が基質ドッキングのポケット構造の形成に与ると予想し、Glu333Ala変異体がγセクレターゼ切断を阻害することを示した。これに対して、Glu333は複合体の会合と成熟に関与するものの、γセクレターゼ切断には必要でないとする報告もある<ref name=Chavez-Gutierrez2008><pubmed>18502756</pubmed></ref><ref name=Dries2009><pubmed>19729449</pubmed></ref> 。 | Shahら<ref name=Shah2005><pubmed>16096062</pubmed></ref> はさらに、DAPドメインが基質のN末端を認識し、γセクレターゼ複合体と基質との結合を仲介すること、すなわち細胞外領域の刈り込み(シェディング)を受けたタイプⅠ膜タンパク質を選別して基質として認識し、そのドッキングに働くことを示した。さらに、既知のアミノペプチダーゼ構造モデルに基づきGlu333が基質ドッキングのポケット構造の形成に与ると予想し、Glu333Ala変異体がγセクレターゼ切断を阻害することを示した。これに対して、Glu333は複合体の会合と成熟に関与するものの、γセクレターゼ切断には必要でないとする報告もある<ref name=Chavez-Gutierrez2008><pubmed>18502756</pubmed></ref><ref name=Dries2009><pubmed>19729449</pubmed></ref> 。 | ||
基質とγセクレターゼ複合体との結合は膜貫通領域を介したものであり、ニカストリンの細胞外領域は、その立体構造を介し、細胞外ドメインの長いタイプⅠ膜タンパク質と複合体との結合を妨害するとの指摘もある<ref name=Bolduc2016><pubmed>26699478</pubmed></ref> 。等間隔に位置するCys残基については、C248S変異がγセクレターゼが不活性化する一方、C213S変異やC230S変異は[[Notch]]切断に影響せず[[APP]]切断のみを抑制するとされる<ref name=Pamren2011><pubmed>21768095</pubmed></ref> 。糖鎖付加については、ニカストリンの安定化と複合体への編入に必要だがγセクレターゼ活性には関与しないとする報告とともに、活発現性や基質指向性にも関与するとの報告も見られる<ref name=Moniruzzaman2018><pubmed>29787759</pubmed></ref> 。 | |||
一方で、ニカストリンがγセクレターゼ活性に必須でない可能性も指摘されている。ニカストリン欠失[[マウス]]の胎仔[[線維芽細胞]]でも、弱いながらγセクレターゼ活性が残存する他、プレセニリン単独でもγセクレターゼ活性をもつとされる。ただし、ニカストリンに特異的に結合する抗体短鎖可変領域はγセクレターゼ切断を明瞭に阻害することや<ref name=Hayashi2009><pubmed>19684016</pubmed></ref><ref name=Zhang2014><pubmed>25352592</pubmed></ref> 、ニカストリンを欠いた複合体は細胞内では不安定であることなどを合わせ、生理的機能に充分なγセクレターゼ活性の発現にはニカストリンが欠かせないと考えられる。 | 一方で、ニカストリンがγセクレターゼ活性に必須でない可能性も指摘されている。ニカストリン欠失[[マウス]]の胎仔[[線維芽細胞]]でも、弱いながらγセクレターゼ活性が残存する他、プレセニリン単独でもγセクレターゼ活性をもつとされる。ただし、ニカストリンに特異的に結合する抗体短鎖可変領域はγセクレターゼ切断を明瞭に阻害することや<ref name=Hayashi2009><pubmed>19684016</pubmed></ref><ref name=Zhang2014><pubmed>25352592</pubmed></ref> 、ニカストリンを欠いた複合体は細胞内では不安定であることなどを合わせ、生理的機能に充分なγセクレターゼ活性の発現にはニカストリンが欠かせないと考えられる。 |