「シャルコー・マリー・トゥース病」の版間の差分

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== 病態生理 ==
== 病態生理 ==
シャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子は既に70以上発見されている。それらの遺伝子を病態別に分類すると以下の9つに分類できる。
 シャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子は既に70以上発見されている。それらの遺伝子を病態別に分類すると以下の9つに分類できる。
 
 PMP22タンパク質は'''1. '''ミエリンコンポーネントの代表的なタンパク質であり、シャルコー・マリー・トゥース病1Bの原因遺伝子であるMPZ(myelin protein zero)遺伝子、シャルコー・マリー・トゥース病X1の原因遺伝子であるGJB1(gap junction protein beta 1)遺伝子などもこれに該当する遺伝子である。
 
 '''2.''' ミエリン関連タンパク質転写因子、'''3. '''ミエリン関連タンパク質の輸送・代謝・処理、'''4. '''細胞分化・維持に関連する遺伝子にはそれぞれEGR2(early growth response 2)遺伝子、SBF2(SET binding factor 2)遺伝子、NDRG1(N-myc downstream regulated 1)遺伝子などがこれに該当する。これらの遺伝子は主にミエリン形成に関連する遺伝子であるが、'''3. '''ミエリン関連タンパク質の輸送・代謝・処理関連遺伝子に該当するRAB7(rab protein 7)遺伝子は小胞輸送と膜貫通の調節機構により細胞内物質輸送と関連し、軸索型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病2B)の原因である。
 
 '''5.''' ニューロフィラメント・タンパク質輸送関連遺伝子にはNEFL(neurofilament, light polypeptide)遺伝子などが該当し、NEFL遺伝子変異は脱髄型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病1F)にも軸索型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病2E)のどちらにもなりうる。
 
 '''6.''' ミトコンドリア関連遺伝子で最も重要なものはMFN2(mitofusin 2)遺伝子である。MFN2遺伝子変異は軸索型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病2A2)の原因となり軸索型シャルコー・マリー・トゥース病のなかで最も多い<ref name=Yoshimura2019><pubmed>30257968</pubmed></ref>[7]。
 
 '''7.''' DNA修復・転写・核酸合成関連遺伝子に該当するPRPS1(phosphoribosyl pyrophosphate synthetase 1)遺伝子はX染色体にありプリン・核酸代謝に関連し、シャルコー・マリー・トゥース病X5の原因遺伝子である。
 
 '''8.''' イオンチャネル関連遺伝子には、TRPV4(transient receptor potential cation channel, subfamily V, member 4)遺伝子が該当する。TRPV4はCa2+浸透圧性カチオンチャネルをコードしており、シャルコー・マリー・トゥース病2Cの原因遺伝子である。
 
 '''9.''' アミノアシルtRNA合成酵素関連遺伝子はシャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子として近年複数同定されている。特定のtRNAに、対応するアミノ酸を結合させるアミノアシル化と関連するためアミノ酸の数だけ存在する。GARS(glycyl-tRNA synthetase)を始め、AARS(alanyl-tRNA synthetase), YARS(tyrosyl-tRNA synthetase)などがシャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子として既に同定されている。記述した遺伝子はほんの一部でありそれぞれの病態関連遺伝子が多数報告されている。


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gigaxonin 1(GAN1)、
gigaxonin 1(GAN1)、
K-Cl cotransporter family 3(KCC3)など。
K-Cl cotransporter family 3(KCC3)など。
 PMP22タンパク質は'''1. '''ミエリンコンポーネントの代表的なタンパク質であり、シャルコー・マリー・トゥース病1Bの原因遺伝子であるMPZ(myelin protein zero)遺伝子、シャルコー・マリー・トゥース病X1の原因遺伝子であるGJB1(gap junction protein beta 1)遺伝子などもこれに該当する遺伝子である。
 '''2.''' ミエリン関連タンパク質転写因子、'''3. '''ミエリン関連タンパク質の輸送・代謝・処理、'''4. '''細胞分化・維持に関連する遺伝子にはそれぞれEGR2(early growth response 2)遺伝子、SBF2(SET binding factor 2)遺伝子、NDRG1(N-myc downstream regulated 1)遺伝子などがこれに該当する。これらの遺伝子は主にミエリン形成に関連する遺伝子であるが、'''3. '''ミエリン関連タンパク質の輸送・代謝・処理関連遺伝子に該当するRAB7(rab protein 7)遺伝子は小胞輸送と膜貫通の調節機構により細胞内物質輸送と関連し、軸索型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病2B)の原因である。
 '''5.''' ニューロフィラメント・タンパク質輸送関連遺伝子にはNEFL(neurofilament, light polypeptide)遺伝子などが該当し、NEFL遺伝子変異は脱髄型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病1F)にも軸索型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病2E)のどちらにもなりうる。
 '''6.''' ミトコンドリア関連遺伝子で最も重要なものはMFN2(mitofusin 2)遺伝子である。MFN2遺伝子変異は軸索型シャルコー・マリー・トゥース病(シャルコー・マリー・トゥース病2A2)の原因となり軸索型シャルコー・マリー・トゥース病のなかで最も多い<ref name=Yoshimura2019><pubmed>30257968</pubmed></ref>[7]。
 '''7.''' DNA修復・転写・核酸合成関連遺伝子に該当するPRPS1(phosphoribosyl pyrophosphate synthetase 1)遺伝子はX染色体にありプリン・核酸代謝に関連し、シャルコー・マリー・トゥース病X5の原因遺伝子である。
 '''8.''' イオンチャネル関連遺伝子には、TRPV4(transient receptor potential cation channel, subfamily V, member 4)遺伝子が該当する。TRPV4はCa2+浸透圧性カチオンチャネルをコードしており、シャルコー・マリー・トゥース病2Cの原因遺伝子である。
 '''9.''' アミノアシルtRNA合成酵素関連遺伝子はシャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子として近年複数同定されている。特定のtRNAに、対応するアミノ酸を結合させるアミノアシル化と関連するためアミノ酸の数だけ存在する。GARS(glycyl-tRNA synthetase)を始め、AARS(alanyl-tRNA synthetase), YARS(tyrosyl-tRNA synthetase)などがシャルコー・マリー・トゥース病の原因遺伝子として既に同定されている。記述した遺伝子はほんの一部でありそれぞれの病態関連遺伝子が多数報告されている。


== 治療 ==
== 治療 ==

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