16,040
回編集
細 (→組織からの細胞、細胞核の分離) |
細 (→総論) |
||
61行目: | 61行目: | ||
===データ処理の流れ=== | ===データ処理の流れ=== | ||
====総論==== | ====総論==== | ||
Illumina社に代表される次世代シーケンサーを用いて得られた結果は、ベースコールや細胞バーコードを用いたdemultiplexingなどの基礎解析を行うことで、各細胞における遺伝子の発現量のマトリックスを出力する。例えば、10XGenomics社のChromiumプラットフォームを用いた場合、10XGenomics社が提供するCell | Illumina社に代表される次世代シーケンサーを用いて得られた結果は、ベースコールや細胞バーコードを用いたdemultiplexingなどの基礎解析を行うことで、各細胞における遺伝子の発現量のマトリックスを出力する。例えば、10XGenomics社のChromiumプラットフォームを用いた場合、10XGenomics社が提供するCell Rangerの[https://support.10xgenomics.com/single-cell-gene-expression/software/pipelines/latest/using/tutorial_mr mkrefコマンド](Linux上で作動)などにより、各生物種ごとの[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/grc レファレンス配列リスト](マウスやヒトでは既製のものを利用できる)などを参考にしながら、細胞と転写産物量の対応マトリックスを作製する。その後のデータの処理についても、10x Genomics社がソフトウェアLoupeを提供している。しかしながら、その後のデータ解析を考慮して、[[R]], [[Python]], [[MATLAB]]などのデータ解析のための汎用プログラミング言語やコードで扱えるオブジェクトに変換するのが通常である。 | ||
scRNA-seq解析のためには、数多くのツールが公開されている。これらのツールは、バージョンが更新されたり、新しいものに置き換えられることがあるので、実際に利用する場合は最新の動向に注意を払う必要がある。scRNA-seqの解析に必要なツールは、[https://www.scrna-tools.org scRNA-tools], [https://github.com/seandavi/awesome-single-cell Awesome single cell], [https://www.bioconductor.org Bioconductor]などで紹介されており、ほとんどがダウンロード可能である。また、[[bioRxiv]]などの査読前のプレプリントサーバで公開されて、随時試用、評価されていくものが多く、scRNA-seqのデータ(下記参考)とともに、オープンサイエンス実践の好例となっている。 | |||
====Seurat==== | ====Seurat==== | ||
ここでは、scRNA-seqデータ解析のために最もよく利用されているRを用いたパッケージ「Seurat」<ref name=Butler2018><pubmed>29608179</pubmed></ref> <ref><pubmed> 31178118 </pubmed></ref>を中心に紹介しておきたい。なお、一部の解析操作は、University of WashingtonのCole Trapnell研究室で開発されてきた軌道推定(下記参考)によく使用されるMonocle3でも可能である([https://cole-trapnell-lab.github.io/monocle3/])。Pythonを利用したものでは、ドイツ・ミュンヘンInstitute of Computational Biologyの Fabian Theisらが開発しているScanpyが有名である<ref><pubmed> 29409532</pubmed></ref>。 | ここでは、scRNA-seqデータ解析のために最もよく利用されているRを用いたパッケージ「Seurat」<ref name=Butler2018><pubmed>29608179</pubmed></ref> <ref><pubmed> 31178118 </pubmed></ref>を中心に紹介しておきたい。なお、一部の解析操作は、University of WashingtonのCole Trapnell研究室で開発されてきた軌道推定(下記参考)によく使用されるMonocle3でも可能である([https://cole-trapnell-lab.github.io/monocle3/])。Pythonを利用したものでは、ドイツ・ミュンヘンInstitute of Computational Biologyの Fabian Theisらが開発しているScanpyが有名である<ref><pubmed> 29409532</pubmed></ref>。 |