「限局性恐怖症」の版間の差分

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 多くの患者は恐怖症の発症について特定の理由を思い出すことができない。発症年齢は二峰性を示すが、通常小児期早期に始まり、大多数は10歳前に発症する(中央値は7~11歳の間)。ほとんどが青年期までに発症するが、いずれの年齢においても発症する可能性がある23。女性においては、中年期と老年期にもピークを示す<ref name=Eaton2018 /></ref><ref name=Eaton2012 /> </ref>1,25。心的外傷的経験の結果として発症する場合(例えば窒息)は、どんな年齢でもその経験に近い出来事の後にほとんど常に生じる<ref name=日本精神神経学会2014>日本精神神経学会. (2014). DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル (高橋三郎, 大野裕, 染矢俊幸, 神庭重信, 尾崎紀夫, 三村將, & 村井俊哉, Trans.). 医学書院.</ref>23。航空機、閉所等の状況性の限局性恐怖症は、嵐、水等の自然環境、動物、血液・注射・負傷を恐怖刺激とする限局性恐怖症より、発症年齢が遅い傾向にある。成人期まで持続した恐怖症では、大多数の人で寛解しない傾向がある。
 多くの患者は恐怖症の発症について特定の理由を思い出すことができない。発症年齢は二峰性を示すが、通常小児期早期に始まり、大多数は10歳前に発症する(中央値は7~11歳の間)。ほとんどが青年期までに発症するが、いずれの年齢においても発症する可能性がある23。女性においては、中年期と老年期にもピークを示す<ref name=Eaton2018 /></ref><ref name=Eaton2012 /> </ref>1,25。心的外傷的経験の結果として発症する場合(例えば窒息)は、どんな年齢でもその経験に近い出来事の後にほとんど常に生じる<ref name=日本精神神経学会2014>日本精神神経学会. (2014). DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル (高橋三郎, 大野裕, 染矢俊幸, 神庭重信, 尾崎紀夫, 三村將, & 村井俊哉, Trans.). 医学書院.</ref>23。航空機、閉所等の状況性の限局性恐怖症は、嵐、水等の自然環境、動物、血液・注射・負傷を恐怖刺激とする限局性恐怖症より、発症年齢が遅い傾向にある。成人期まで持続した恐怖症では、大多数の人で寛解しない傾向がある。


 危険因子としては、女性、離婚または死別、18歳未満の早婚、教育歴の低さなどが考えられている<ref name=Eaton2018 /></ref><ref name=Stinson2007><ref name=Stinson2007><pubmed>17335637</pubmed></ref><ref name=Breslau2011><pubmed>21534936</pubmed></ref>1,27,28。また、否定的感情、行動抑制といった気質要因、親の過保護、親の喪失、身体的または性的虐待、恐怖の対象や状況との否定的または心的外傷的な経験といった環境要因がある23。双子研究のメタ解析では、約30%(動物32%、状況25%、血液・注射・負傷33%)の平均遺伝率を持つことから、遺伝的要因が存在する可能性がある<ref name=Van Houtem2013><pubmed>23774007</pubmed></ref>29。
 危険因子としては、女性、離婚または死別、18歳未満の早婚、教育歴の低さなどが考えられている<ref name=Eaton2018></ref><ref name=Stinson2007><pubmed>17335637</pubmed></ref><ref name=Breslau2011><pubmed>21534936</pubmed></ref>1,27,28。また、否定的感情、行動抑制といった気質要因、親の過保護、親の喪失、身体的または性的虐待、恐怖の対象や状況との否定的または心的外傷的な経験といった環境要因がある23。双子研究のメタ解析では、約30%(動物32%、状況25%、血液・注射・負傷33%)の平均遺伝率を持つことから、遺伝的要因が存在する可能性がある<ref name=VanHoutem2013><pubmed>23774007</pubmed></ref>29。
 
== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />
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