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=== 遺伝性脊髄小脳変性症 === | === 遺伝性脊髄小脳変性症 === | ||
遺伝性脊髄小脳変性症は、大きく顕性 (優性) 遺伝と潜性 (劣性) 遺伝の脊髄小脳変性症が存在する。現在まで遺伝子座または原因遺伝子が同定された遺伝性脊髄小脳変性症の概略を表1,2に示す。顕性 (優性) 遺伝の脊髄小脳変性症では、原因遺伝子により発症年齢が異なるが、spinocerebellar ataxia 1 (SCA1)、spinocerebellar ataxia 2 (SCA2)、Machado-Joseph disease (MJD)、spinocerebellar ataxia 6 (SCA6)、dentatorubral-pallidoluysian atrophy (DRPLA) のように遺伝子変異がC(シトシン)、A(アデニン)、G(グアニン)、3塩基の組み合わせであるCAGリピートの異常伸長により発症する疾患は、CAGリピート長が長いほど、発症年齢は若年化し、より重症化する。また親から子に異常遺伝子が伝達される際に、子どものCAGリピート長が親のリピート長より伸長することにより、子供の発症年齢の若年化、症状が重症化する表現促進現象を認める。ただし、SCA6では、表現促進現象は認められてない<ref name=Ishikawa1997><pubmed>9311738</pubmed></ref> 。潜性 (劣性) 遺伝の脊髄小脳変性症は、一般的に原因遺伝子蛋白の機能喪失 (loss of function) により発症すると考えられており、そのため若年発症の疾患が多い。 | 遺伝性脊髄小脳変性症は、大きく顕性 (優性) 遺伝と潜性 (劣性) 遺伝の脊髄小脳変性症が存在する。現在まで遺伝子座または原因遺伝子が同定された遺伝性脊髄小脳変性症の概略を表1,2に示す。顕性 (優性) 遺伝の脊髄小脳変性症では、原因遺伝子により発症年齢が異なるが、spinocerebellar ataxia 1 (SCA1)、spinocerebellar ataxia 2 (SCA2)、Machado-Joseph disease (MJD)、spinocerebellar ataxia 6 (SCA6)、dentatorubral-pallidoluysian atrophy (DRPLA) のように遺伝子変異がC(シトシン)、A(アデニン)、G(グアニン)、3塩基の組み合わせであるCAGリピートの異常伸長により発症する疾患は、CAGリピート長が長いほど、発症年齢は若年化し、より重症化する。また親から子に異常遺伝子が伝達される際に、子どものCAGリピート長が親のリピート長より伸長することにより、子供の発症年齢の若年化、症状が重症化する表現促進現象を認める。ただし、SCA6では、表現促進現象は認められてない<ref name=Ishikawa1997><pubmed>9311738</pubmed></ref> 。潜性 (劣性) 遺伝の脊髄小脳変性症は、一般的に原因遺伝子蛋白の機能喪失 (loss of function) により発症すると考えられており、そのため若年発症の疾患が多い。 | ||
[[ファイル:Yokoseki spinocerebellar degeneration Fig2.png|サムネイル|赤印が、障害部位を示し、濃い印は障害の程度が強いことを示す。参考文献<ref name=Tada2015 />より改変。]] | |||
[[ファイル:Yokoseki spinocerebellar degeneration Fig3.png|サムネイル|破線は小脳への入力、実線は小脳からの出力を示す。]] | |||
[[ファイル:Yokoseki spinocerebellar degeneration Fig4.png|サムネイル|破線は小脳への入力、実線は小脳からの出力を示す。]] | |||
[[ファイル:Yokoseki spinocerebellar degeneration Fig5.png|サムネイル|破線は小脳への入力、実線は小脳からの出力を示す。]] | |||
== 病態生理 == | == 病態生理 == | ||
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{| class="wikitable" style="text-align:center;" | {| class="wikitable" style="text-align:center;" | ||
|+表5. 各脊髄小脳変性症の変性部位 (参考文献<ref name=Tada2015/>より改変) | |+表5. 各脊髄小脳変性症の変性部位 (参考文献<ref name=Tada2015/>より改変) | ||
!障害される機能!!colspan="3"|感覚系からのフィードバック情報の障害!!大脳からの入力障害!! | !障害される機能!!colspan="3"|感覚系からのフィードバック情報の障害!!大脳からの入力障害!! !!内部モデル本体の障害!!出力の障害!!誤差情報の障害 | ||
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! 変性部位 !! 後根神経節 !! クラーク柱 !! 前庭神経核 !! 橋核 !! 顆粒細胞 !! プルキンエ細胞 !! 歯状核 !! 下オリーブ核 | ! 変性部位 !! 後根神経節 !! クラーク柱 !! 前庭神経核 !! 橋核 !! 顆粒細胞 !! プルキンエ細胞 !! 歯状核 !! 下オリーブ核 |