「脳死」の版間の差分

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60 バイト追加 、 2021年2月27日 (土)
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 実際の判定は「法的脳死判定マニュアル」に従う<ref name=脳死判定基準のマニュアル化に関する研究班2011 /> [16]。その概要は以下の通りである。
 実際の判定は「法的脳死判定マニュアル」に従う<ref name=脳死判定基準のマニュアル化に関する研究班2011 /> [16]。その概要は以下の通りである。


==== 前提条件を完全に満たすことの確認 ====
{| class="wikitable"
#器質的脳障害により深昏睡および無呼吸を来している症例
|-
##深昏睡<br>Japan Coma Scale(JCS):III-300 (JCS)<br>Glasgow Coma Scale(GCS):3 (GCS)
! style="text-align:left;"|前提条件を完全に満たすことの確認
##無呼吸<br>人工呼吸器により呼吸が維持されている状態  
|-
#原疾患が確実に診断されている症例<br>病歴、経過、検査(CT等の画像診断は必須)、治療等から確実に診断された症例
|
#現在行い得るすべての適切な治療をもってしても回復の可能性が全くないと判断される症例
#器質的脳障害により深昏睡および無呼吸を来している症例<br>
 
##深昏睡<br>Japan Coma Scale(JCS):III-300 (JCS)<br>Glasgow Coma Scale(GCS):3 (GCS)<br>
==== 除外例の確実な除外 ====
##無呼吸<br>人工呼吸器により呼吸が維持されている状態 <br>
 医学的詳細に関しては文献を参照されたい<ref name=園生雅弘2018 /> [13]。
#原疾患が確実に診断されている症例<br>病歴、経過、検査(CT等の画像診断は必須)、治療等から確実に診断された症例<br>
#現在行い得るすべての適切な治療をもってしても回復の可能性が全くないと判断される症例<br>
|-
! style="text-align:left;"|除外例の確実な除外
|-
|
# 脳死と類似した状態になり得る症例(急性薬物中毒、代謝・内分泌障害など)
# 脳死と類似した状態になり得る症例(急性薬物中毒、代謝・内分泌障害など)
# 知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者
# 知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者
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# 低体温(直腸温32°C未満(6歳未満の者にあっては、35°C(未満)の状態にある者)
# 低体温(直腸温32°C未満(6歳未満の者にあっては、35°C(未満)の状態にある者)
# 生後12週未満(在胎週数が40週未満であった者にあっては、出産予定日から起算して12週未満)
# 生後12週未満(在胎週数が40週未満であった者にあっては、出産予定日から起算して12週未満)
 
|-
 従って、週齢不明の新生児・乳児例、原因不明例、極度の低体温例、急性薬物中毒を否定出来ない例、原因不明の散瞳・縮瞳例などは脳死となり得ない<ref name=永山正雄2016 /> [22]。
! style="text-align:left;"|生命徴候の確認
 
|-
==== 生命徴候の確認====
|
# 体温
# 体温
# 血圧の確認(収縮期血圧)
# 血圧の確認(収縮期血圧)
# 心拍、心電図などの確認をして重篤な不整脈がないこと
# 心拍、心電図などの確認をして重篤な不整脈がないこと
 
|-
====必須項目 ====
! style="text-align:left;"|必須項目
 医学的詳細に関しては文献を参照されたい<ref name=園生雅弘2018 /> [13]
|-
|
# 深昏睡  
# 深昏睡  
# 瞳孔が固定し両側瞳孔径4mm以上
# 瞳孔が固定し両側瞳孔径4mm以上
181行目: 187行目:
# 脳波活動の消失[いわゆる平坦脳波(Electrocerebral inactivity、ECI)]の確認  
# 脳波活動の消失[いわゆる平坦脳波(Electrocerebral inactivity、ECI)]の確認  
# 自発呼吸消失の確認(無呼吸テスト)  
# 自発呼吸消失の確認(無呼吸テスト)  
|-
! style="text-align:left;"|判定
|-
|
 脳死判定は2名以上の判定医で実施し、少なくとも1人は第1回目、第2回目の判定を継続して行う。第1回目の脳死判定ならびに第2回目の脳死判定ですべての項目が満たされた場合、法的脳死と判定する。死亡時刻は第2回目の判定終了時とする。
 第1回目の脳死判定が終了した時点から6歳以上では6時間以上、6歳未満では24時間以上を経過した時点で第2回目の脳死判定を開始する。
|}
 医学的詳細に関しては文献を参照されたい<ref name=園生雅弘2018 /> [13]。


 眼科手術・緑内障・虹彩炎・薬物等による瞳孔変形や瞳孔サイズ・反応の異常例、重症顔面外傷例、眼球損傷例、頸髄損傷例、的確な神経所見の評価や脳波所見の判読が出来ない場合などは、脳死判定に大きな困難を伴う<ref name=永山正雄2016 /> [22]。
 週齢不明の新生児・乳児例、原因不明例、極度の低体温例、急性薬物中毒を否定出来ない例、原因不明の散瞳・縮瞳例などは脳死となり得ない<ref name=永山正雄2016 /> [22]。また、眼科手術・緑内障・虹彩炎・薬物等による瞳孔変形や瞳孔サイズ・反応の異常例、重症顔面外傷例、眼球損傷例、頸髄損傷例、的確な神経所見の評価や脳波所見の判読が出来ない場合などは、脳死判定に大きな困難を伴う<ref name=永山正雄2016 /> [22]。


 瞳孔所見の評価にあたっては、近年、ベッドサイドで臥位であっても使用可能な電子瞳孔計が臨床導入された。瞳孔所見の評価は、脳幹の機能評価上、とくに重要であるにもかかわらず、従来、prompt、sluggish、absentなどの半定量的評価のままであった。これは、意識レベルをstupor、somnolenceと表現することと同じレベルであり、瞳孔径、瞳孔反応の評価上、著しく定量性に欠けていた。われわれは集中治療室(intensive care unit, ICU)における検討の結果、定量的瞳孔計の有用性が期待される臨床状況として、観察者・職種による評価結果の標準化、意識レベル(FOURスコアほか)や対光反射変動の早期検出、アウトカム・脳死・死亡の正確な評価、ほかを指摘している。今後、脳死判定の標準化の観点から電子瞳孔計の普及が望ましく、規格、価格上の向上が急務といえよう。
 瞳孔所見の評価にあたっては、近年、ベッドサイドで臥位であっても使用可能な電子瞳孔計が臨床導入された。瞳孔所見の評価は、脳幹の機能評価上、とくに重要であるにもかかわらず、従来、prompt、sluggish、absentなどの半定量的評価のままであった。これは、意識レベルをstupor、somnolenceと表現することと同じレベルであり、瞳孔径、瞳孔反応の評価上、著しく定量性に欠けていた。われわれは集中治療室(intensive care unit, ICU)における検討の結果、定量的瞳孔計の有用性が期待される臨床状況として、観察者・職種による評価結果の標準化、意識レベル(FOURスコアほか)や対光反射変動の早期検出、アウトカム・脳死・死亡の正確な評価、ほかを指摘している。今後、脳死判定の標準化の観点から電子瞳孔計の普及が望ましく、規格、価格上の向上が急務といえよう。
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 反射、自動症に関しては、thumb extension, leg flexion, Babinski sign, Lazarus sign、深部腱反射、脊髄反射、呼吸様運動ほかについて認識、習熟が必要である。
 反射、自動症に関しては、thumb extension, leg flexion, Babinski sign, Lazarus sign、深部腱反射、脊髄反射、呼吸様運動ほかについて認識、習熟が必要である。


 また、脳波検査に併せて聴性脳幹反応(ABR)を行うことが望ましい。
 脳波検査に併せて聴性脳幹反応(ABR)を行うことが望ましい。
 
==== 判定 ====
 脳死判定は2名以上の判定医で実施し、少なくとも1人は第1回目、第2回目の判定を継続して行う。第1回目の脳死判定ならびに第2回目の脳死判定ですべての項目が満たされた場合、法的脳死と判定する。死亡時刻は第2回目の判定終了時とする。
 
 第1回目の脳死判定が終了した時点から6歳以上では6時間以上、6歳未満では24時間以上を経過した時点で第2回目の脳死判定を開始する。


=== 補助検査 ===
=== 補助検査 ===

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