「銅・亜鉛-スーパーオキシドディスムターゼ」の版間の差分

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=== 分泌SOD1のパラクライン作用 ===
=== 分泌SOD1のパラクライン作用 ===
細胞質に存在するSOD1が小胞体(ER)-ゴルジ経路で細胞外に輸送され[83]、特に変異SOD1はクロモグラニンBと結合して分泌され細胞毒性に関与していることが報告された[84]。さらに、細胞外のカリウムイオンによって誘導された脱分極によってSOD1が細胞外に分泌されること[85]や神経細胞においてSOD1がムスカリン性アセチルコリン受容体を介してERK1/2とAKTを活性化すること<ref name=Damiano2013><pubmed>23147108</pubmed></ref>  [86]が報告されている。また細胞外に放出されたミスフォールドSOD1が隣接する細胞に取り込まれ、その細胞内のSOD1をミスフォールディングさせるプリオン伝播作用を示すことが提唱された><<ref name=Grad2014><pubmed>25551548</pubmed></ref>  [87, 88]。さらに、ALS患者脳脊髄液中に存在する可溶性ミスフォールド野生型SOD1が運動ニューロン様細胞に対して細胞毒性を示す<ref name=Tokuda2019><pubmed>31744522</pubmed></ref>  [27]。そこで、細胞外(脳脊髄液)のミスフォールドSOD1をターゲットにした新たなALS治療法が開発されるようになってきた。マウスを用いた実験段階であるが、ミスフォールドSOD1に特異的な抗体を髄腔内投与する療法やSOD1を投与して生体内で抗体を作らせるワクチン療法の効果が報告されている><<ref name=Takeuchi2010><pubmed>20838241</pubmed></ref> [89, 90]。さらにはSOD1の翻訳を阻害する核酸医薬の開発競争も始まっている><><<ref name=Mueller2020><pubmed>32640133</pubmed></ref> [91, 92, 93]。既にSOD1変異を持つ患者に対して、SOD1 mRNAを分解するアンチセンス薬tofersenの髄腔内投与の効果・安全性を検討する第1/第2相試験が行われており、第3相試験への期待が高まっている[94]。
細胞質に存在するSOD1が小胞体(ER)-ゴルジ経路で細胞外に輸送され<ref name=Urushitani2008><pubmed>18337461</pubmed></ref>[83]、特に変異SOD1はクロモグラニンBと結合して分泌され細胞毒性に関与していることが報告された<ref name=Urushitani2006><pubmed>16369483</pubmed></ref>[84]。さらに、細胞外のカリウムイオンによって誘導された脱分極によってSOD1が細胞外に分泌されること<ref name=Cruz-Garcia2017><pubmed>28794127</pubmed></ref>[85]や神経細胞においてSOD1がムスカリン性アセチルコリン受容体を介してERK1/2とAKTを活性化すること<ref name=Damiano2013><pubmed>23147108</pubmed></ref>  [86]が報告されている。また細胞外に放出されたミスフォールドSOD1が隣接する細胞に取り込まれ、その細胞内のSOD1をミスフォールディングさせるプリオン伝播作用を示すことが提唱された><<ref name=Grad2014><pubmed>25551548</pubmed></ref>  [87, 88]。さらに、ALS患者脳脊髄液中に存在する可溶性ミスフォールド野生型SOD1が運動ニューロン様細胞に対して細胞毒性を示す<ref name=Tokuda2019><pubmed>31744522</pubmed></ref>  [27]。そこで、細胞外(脳脊髄液)のミスフォールドSOD1をターゲットにした新たなALS治療法が開発されるようになってきた。マウスを用いた実験段階であるが、ミスフォールドSOD1に特異的な抗体を髄腔内投与する療法やSOD1を投与して生体内で抗体を作らせるワクチン療法の効果が報告されている<ref name=Urushitani2007><pubmed>17277077</pubmed></ref><ref name=Takeuchi2010><pubmed>20838241</pubmed></ref>[89, 90]。さらにはSOD1の翻訳を阻害する核酸医薬の開発競争も始まっている<ref name=Ralph2005><pubmed>15768029</pubmed></ref><ref name=Stoica2016><pubmed>26891182</pubmed></ref><ref name=Mueller2020><pubmed>32640133</pubmed></ref>[91, 92, 93]。既にSOD1変異を持つ患者に対して、SOD1 mRNAを分解するアンチセンス薬tofersenの髄腔内投与の効果・安全性を検討する第1/第2相試験が行われており、第3相試験への期待が高まっている<ref name=Miller2020><pubmed>32640130</pubmed></ref>[94]。


== 関連項目 ==
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