「アロディニア」の版間の差分

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<font size="+1">津田 誠、[http://researchmap.jp/read0003895/?lang=japanese 井上 和秀]</font><br>
<font size="+1">津田 誠、[http://researchmap.jp/read0003895/?lang=japanese 井上 和秀]</font><br>
''九州大学大学院薬学研究院''<br>
''九州大学大学院薬学研究院''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月23日 原稿完成日:2016年5月23日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月23日 原稿完成日:2016年5月23日 一部改訂:2021年6月3日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/keijitanaka 田中 啓治](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/keijitanaka 田中 啓治](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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同義語:異痛症
同義語:異痛症


 通常では[[痛み]]を引き起こさないような非侵害刺激(接触や軽度の圧迫、非侵害的な温冷刺激など)で痛みを生じてしまう感覚異常のこと。国際疼痛学会(IASP)では、「Pain due to a stimulus that does not normally provoke pain.」と定義されている。末期がん、[[糖尿病性ニューロパチー]]、[[wikipedia:ja:帯状疱疹|帯状疱疹]]後、[[脊髄]]損傷などで発症する[[神経障害性疼痛]]の代表的症状の一つである。
 通常では[[痛み]]を引き起こさないような非侵害刺激(接触や軽度の圧迫、非侵害的な温冷刺激など)で痛みを生じてしまう感覚異常のこと。国際疼痛学会(IASP)では、「Pain due to a stimulus that does not normally provoke pain.」と定義されている。末期がん、[[糖尿病性ニューロパチー]]、[[wj:帯状疱疹|帯状疱疹]]後、[[脊髄]]損傷などで発症する[[神経障害性疼痛]]の代表的症状の一つである。


 アロディニアのメカニズムは未だ不明であるが、一次求心性[[感覚神経]]の[[Aδ]]/[[C線維]]の閾値が低下した場合や[[Aβ線維]]が[[痛覚伝導路]]を経由して痛みを伝える可能性が考えられている<ref name=ref1><pubmed>19400724</pubmed></ref> <ref name=ref2><pubmed>22365541</pubmed></ref>。また、[[脊髄後角]]ニューロンの[[興奮性シナプス]]伝達の増加、[[抑制性シナプス]]伝達の低下が関与していることも報告されている<ref name=ref2 /> <ref name=ref3><pubmed>19837031</pubmed></ref>。さらに最近の研究では、脊髄の[[グリア細胞]]([[ミクログリア]]<ref name=ref4><pubmed>12917686</pubmed></ref> <ref name=ref5><pubmed>19380717</pubmed></ref> <ref name=ref6><pubmed>22832225</pubmed></ref>やアストロサイト<ref name=ref7><pubmed>18264108</pubmed></ref> <ref name=ref8><pubmed>21371995</pubmed></ref>)の活動性の増加が脊髄後角ニューロンの過剰興奮を引き起こし<ref name=ref9><pubmed>16355225</pubmed></ref>、アロディニアの発症維持に重要な役割を担っていることも示唆されている<ref name=ref10><pubmed>20948531</pubmed></ref> <ref name=ref11><pubmed>22837036</pubmed></ref>。
 アロディニアのメカニズムは未だ不明であるが、一次求心性[[感覚神経]]の[[Aδ]]/[[C線維]]の閾値が低下した場合や[[Aβ線維]]が[[痛覚伝導路]]を経由して痛みを伝える可能性が考えられている<ref name=ref1><pubmed>28704354</pubmed></ref><ref name=ref2><pubmed>30359601</pubmed></ref><ref name=ref3 />。また、[[脊髄後角]]ニューロンの[[興奮性シナプス]]伝達の増加、[[抑制性シナプス]]伝達の低下が関与していることも報告されている<ref name=ref2 /><ref name=ref3><pubmed>33431693</pubmed></ref>。さらに、脊髄の[[グリア細胞]]([[ミクログリア]]<ref name=ref4><pubmed>12917686</pubmed></ref><ref name=ref5><pubmed>29416128</pubmed></ref>やアストロサイト<ref name=ref6><pubmed>21371995</pubmed></ref><ref name=ref7><pubmed>31537912</pubmed></ref>)の活動性の増加が脊髄後角ニューロンの過剰興奮を引き起こし、アロディニアの発症維持に重要な役割を担っていることも示唆されている<ref name=ref5></ref><ref name=ref7></ref>。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />
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