「POU転写因子」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
2行目: 2行目:


 [[wikipedia:Homeodomain fold|ホメオドメイン]]タンパク質ファミリーのうち、POUドメインと呼ばれる、[[wikipedia:ja:C. elegans|線虫]]からヒトに至るまで動物界で進化上高度に保存された[[wikipedia:DNA-binding domain|DNA結合ドメイン]]を持った[[wikipedia:ja:転写因子|転写因子]]ファミリーの総称。POUは、いずれも1988年にその遺伝子クローニングが発表された最初のファミリーメンバーである、哺乳類の[[wikipedia:Pituitary-specific positive transcription factor 1|<u>P</u>it1]]、[[wikipedia:POU2F1 1|<u>O</u>ct1]]および[[wikipedia:Oct-2|<u>O</u>ct2]]と線虫の[[Unc86|<u>U</u>nc86]]遺伝子産物の頭文字を取って命名された<ref><pubmed>    3215510</pubmed></ref>。  
 [[wikipedia:Homeodomain fold|ホメオドメイン]]タンパク質ファミリーのうち、POUドメインと呼ばれる、[[wikipedia:ja:C. elegans|線虫]]からヒトに至るまで動物界で進化上高度に保存された[[wikipedia:DNA-binding domain|DNA結合ドメイン]]を持った[[wikipedia:ja:転写因子|転写因子]]ファミリーの総称。POUは、いずれも1988年にその遺伝子クローニングが発表された最初のファミリーメンバーである、哺乳類の[[wikipedia:Pituitary-specific positive transcription factor 1|<u>P</u>it1]]、[[wikipedia:POU2F1 1|<u>O</u>ct1]]および[[wikipedia:Oct-2|<u>O</u>ct2]]と線虫の[[Unc86|<u>U</u>nc86]]遺伝子産物の頭文字を取って命名された<ref><pubmed>    3215510</pubmed></ref>。  


= 構造  =
= 構造  =


{{Pfam_box
| Symbol = Pou
| Name = Pou domain - N-terminal to homeobox domain
| image = Protein POU1F1 PDB 1au7.png
| width =200px
| caption =  Structure of the POU1F1 based on {{PDB2:1au7}}
| Pfam= PF00157
| InterPro= IPR000327
| SMART=
| Prosite = PDOC00035
| SCOP = 1oct
| TCDB =
| OPM family=
| OPM protein=
}}


 POUドメインは、保存されていない15-56アミノ酸からなるリンカー配列によって2つのサブドメインに分かれており、N末端側の75アミノ酸からなるドメインはPOU特異的ドメイン(POU<sub>S</sub>: POU specific domain)、C末端側の60アミノ酸からなるドメインは、[[wikipedia:Homeobox|ホメオドメインタンパク質]]ファミリーに共通したDNA結合部位であるホメオドメインと相同性が高く、POUホメオドメイン(POU<sub>H</sub>: POU homeodomain)と名付けられている<ref name="b"><pubmed>7622033</pubmed></ref>。両方のサブドメイン共、DNA結合モチーフの一種である[[wikipedia:ja:ヘリックスターンヘリックス|helix-turn-helix]]構造をとり、オクタマー配列と呼ばれるDNA配列ATGCAAATに特異的に結合する<ref name="b" />。また、親和性は低いが、それぞれのドメイン単独でDNAに結合することが可能であり、POU<sub>S</sub>は5’側のATGC、POU<sub>H</sub>は3’側のA/Tリッチな配列を認識する<ref><pubmed>8156594</pubmed></ref>。さらに、POUドメインは標的遺伝子の転写調節において、結合配列上でのホモ二量体やあるいは他ファミリーメンバーとのヘテロ二量体形成や、共役する他因子との結合にも必要とされる場合がある<ref><pubmed>9105675</pubmed></ref><ref name="e"><pubmed>11183772</pubmed></ref>。リンカー配列は、2つのドメインの局所的濃度を高め二量体形成やDNA結合能を高めるだけでなく、その長さの違いが両ドメインの相対的な空間配置の自由度の違いを生出し、実際の認識配列の多様性を決定しているようである<ref name="e" /><ref><pubmed>12213595</pubmed></ref>。尚、転写制御ドメインは、フィミリーメンバーによってPOUドメイン外のN末端側かC末端側、あるいはその両方に存在している<ref name="g"><pubmed>11159814</pubmed></ref>。  
 
 POUドメインは、保存されていない15-56アミノ酸からなるリンカー配列によって2つのサブドメインに分かれており、N末端側の75アミノ酸からなるドメインはPOU特異的ドメイン(POU<sub>S</sub>: POU specific domain)、C末端側の60アミノ酸からなるドメインは、[[wikipedia:Homeobox|ホメオドメインタンパク質]]ファミリーに共通したDNA結合部位であるホメオドメインと相同性が高く、POUホメオドメイン(POU<sub>H</sub>: POU homeodomain)と名付けられている<ref name="b"><pubmed>7622033</pubmed></ref>。両方のサブドメイン共、DNA結合モチーフの一種である[[wikipedia:ja:ヘリックスターンヘリックス|helix-turn-helix]]構造をとり、オクタマー配列と呼ばれるDNA配列ATGCAAATに特異的に結合する<ref name="b" />。また、親和性は低いが、それぞれのドメイン単独でDNAに結合することが可能であり、POU<sub>S</sub>は5’側のATGC、POU<sub>H</sub>は3’側のA/Tリッチな配列を認識する<ref><pubmed>8156594</pubmed></ref>。さらに、POUドメインは標的遺伝子の転写調節において、結合配列上でのホモ二量体やあるいは他ファミリーメンバーとのヘテロ二量体形成や、共役する他因子との結合にも必要とされる場合がある<ref><pubmed>9105675</pubmed></ref><ref name="e"><pubmed>11183772</pubmed></ref>。リンカー配列は、2つのドメインの局所的濃度を高め二量体形成やDNA結合能を高めるだけでなく、その長さの違いが両ドメインの相対的な空間配置の自由度の違いを生出し、実際の認識配列の多様性を決定しているようである<ref name="e" /><ref><pubmed>12213595</pubmed></ref>。尚、転写制御ドメインは、フィミリーメンバーによってPOUドメイン外のN末端側かC末端側、あるいはその両方に存在している<ref name="g"><pubmed>11159814</pubmed></ref>。


= ファミリーメンバー  =
= ファミリーメンバー  =

案内メニュー