「軸索」の版間の差分

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 髓鞘の機能は、軸索を保護し、絶縁する事である。軸索初節で発生した活動電位は、髓鞘で被覆されていない[[ランヴィエ絞輪]]と呼ばれる箇所(軸索の基部と同様、活動電位の発火のための特異的な膜の裏打ち構造を有し、電位依存性チャネルやアンキリンなどが集積するが、微小管の束化はみられない)を跳び跳びに伝導する。これを[[跳躍伝導]]と呼ぶ。
 髓鞘の機能は、軸索を保護し、絶縁する事である。軸索初節で発生した活動電位は、髓鞘で被覆されていない[[ランヴィエ絞輪]]と呼ばれる箇所(軸索の基部と同様、活動電位の発火のための特異的な膜の裏打ち構造を有し、電位依存性チャネルやアンキリンなどが集積するが、微小管の束化はみられない)を跳び跳びに伝導する。これを[[跳躍伝導]]と呼ぶ。


==軸索における活動電位の伝導-興奮伝導-の仕組み==
 軸索のような一様な径の管状の細胞膜に囲まれた突起中の細胞質に与えられた刺激電流による電位変化(電気緊張性電位)は海底ケーブルにおける電気伝導を記述するケーブル方程式と同様の電気的特性を示す。すなわち電位変化は刺激電流の注入箇所から離れるにつれて指数関数的に減少する。突起が細く、膜抵抗が低いほどこの減衰は著しい。軸索基部で発生する活動電位は静止膜の時定数と比較して短く、軸索のケーブル特性だけで軸索末端まで信号を送り届けること、すなわち興奮伝導は不可能である。このため、軸索には活動電位を伝える、興奮伝導のための特別な仕組みが存在する。軸索起始部における活動電位発生時には、同部において電位依存性ナトリウムチャネルの開放による内向き電流が生じる。軸索起始部における通常の活動電位の発火では、より末梢側の軸索膜が、興奮部に由来する外向き電流で刺激され、脱分極、興奮し、新たに活動電位を発生する。この新たな活動電位が同部において内向き電流を引き起こし、その近傍で外向き電流が発生する。その結果、同部より更に軸索末端側の軸索膜が新たに脱分極する。他方、興奮部より細胞体側では、興奮後しばらくは電位依存性ナトリウムチャネルが不活化状態にあり、電位依存性カリウムチャネルの開放により膜が再分極するために再度興奮することはない。このため、活動電位は細胞体から軸索末端側へ一方向性に進行する。伝導の速さは興奮部位の電位依存性チャネルの密度・開閉の速さと、静止部軸索の入力抵抗とのバランスで決まる。
 このように、興奮伝導は、無髄軸索の場合には軸索に沿って連続的に伝播する。軸索が髄鞘で被覆される有髄軸索の場合、被覆された部分の膜抵抗は高く、膜容量は小さい。髄鞘による被覆が途切れるランヴィエ絞輪部には電位依存性ナトリウムチャネルが高密度に局在し、カリウムチャネルも絞輪部近接部に存在するため、有髄軸索における興奮伝導は、絞輪部から隣接する絞輪部へ跳び跳びに、極めて高速におこる。この伝導様式を跳躍伝導と呼ぶ<ref>'''Tasaki I. (1959).''' <br>
"Conduction of the nerve impulse" ''Handbook of Physiology'', Section 1, 75</ref>。隣接する絞輪部間の距離は、髄鞘で被覆される部分の膜容量と軸索の太さの兼ね合いで至適値が決まり、通常軸索外径の100倍程度である。
 ''跳躍伝導を含めて、軸索の電気的活動の詳細は、[[有髓線維]]、[[ランヴィエ絞輪]]、[[伝導]]、[[活動電位]]、の項を参照。''
 ''跳躍伝導を含めて、軸索の電気的活動の詳細は、[[有髓線維]]、[[ランヴィエ絞輪]]、[[伝導]]、[[活動電位]]、の項を参照。''


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